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歳を重ねることのポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4January 29, 2025

30代後半になって、お肌や身体の様子に変化が出てきた。

何もケアしなくても、呑んだくれても、遊びほうけても良好状態であった20代に比べると確実に何かが違う。

気になる点を挙げ出すと数え切れず、そんな話をしているからか、インスタグラムで大量に流れ込んでくる美容広告。ついついポチってしまい、アンチエイジングという美容界の至上主義に飲み込まれそうになる日々。

この先を考えると少しゾッとしたりもする。

ただ、歳を重ねて変化してきた要素にはネガティブだけでなくポジティブな部分も多い。

色々な人に出会い、考え方に触れて、自分の感性が豊かになること。世界が広がっていく瞬間は希望があって、キラキラしている。

加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4
加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4
加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4

そして、いつもそんな時間に立ち合わせてくれる私にとってのパワースポットがある。

前職の先輩夫婦がオーナーを務める『HIKE』。

熊本県玉名市にあるホステルで、地元の生産者や旬の食材を使用したカフェや手仕事の生活道具を集めたショップも併設している。

加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4
加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4

先輩夫婦は東京で勤めた後に、各国のルーツを探る世界一周の旅に出て、たくさんの文化に触れ、地元の玉名市で『HIKE』をスタート。

加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4
加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4

“誰もが集いカタル場所”。

「カタル」は語る以外に熊本の方言で参加する、加わるという意味を持つのだそう。

その名の通り、ここではたくさんの初めましてがあり、人が混ざり合っていくことによる偶然的な出力とそれを包み込む二人の大きな愛が素晴らしい空間を生み出している。

加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4
加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4

写真は音楽と色を繋ぐイベントとして秋に『HIKE』で行われた「TRIBUTE(トリビュート)」。

屋上から見えるサンセット。その絶景の中で聴く井上薫さんの心地良い音楽はこの上ない幸せ。最高な時間だった。

難しい話をしなくても、そこに集まる人達との触れ合いが自然と前向きな道筋を描いてくれる。“大人って、歳を重ねるって良いなぁ”といつもたくさん勇気をもらえる場所。

加齢のネガティブとポジティブ。 連載コラム : 中山良子 #4

そんな居場所があるだけでとても豊かな人生だとこの文章を書きながら感じる。

歳に抗う部分はありながらも、愉しみに触れた時の感情を大切に、恵みある時間を作っていきたい。

edit : Sayuri Otobe


クリエイティブディレクター 中山 良子

大手セレクトショップで販売職、VMDを経験した後、レディース部門のバイヤーとなる。2022年よりフリーランスとしてファッションディレクター、バイヤー、PRとして活動。週末は夫が営むインテリアや雑貨のリサイクルショップ『FUNagain』を手伝う。

instagram.com/nakatiin

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