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電線と旅行。 連載コラム : 石山蓮華 #2January 13, 2025
昨年は生活圏である東京近郊から札幌、京都、博多、大分、台北と、国内外の電線を愛でた。
ところ変われば電線もちょっとずつ変わる。
札幌の電線
(1枚目)曲線の処理がかわいくてカニっぽい。線をぐるりと曲げておくことで雪に強くなるのだろうか?
(2枚目)このぐるりとした曲げられ方がなんともかわいい。こうしてみると柔らかそうだけれど、電線は金属製なので実際はちゃんと硬い。
大分の電線
電柱の上に設置されたポリバケツのような柱上変圧器のカラーリングが落ち着いたベージュだった。おしゃれ〜。
台北の電線
台湾の首都、台北市は東京よりも電柱地中化が進んでいる。建物の壁面に配線された電線をよく見かけた。
電線は人の手でつなぐインフラだ。
電気工事士さんが電柱を立て、高所作業車に乗ったり電柱に登ったりして、一本ずつ手作業でつないでいる。
だからこそ、同じ用途の電線であっても、ちょっとした曲線や線の扱いに作業された方の個性が出て見応えがある。
以前、電気工事士の方から「電柱から家の壁に電線を引き込むときの処理に技術が出る」「電柱の中を通す接地線(アース線として感電を防止する)をハートの形に整えた」など、それぞれのこだわりを感じるお話を伺ったことがある。
ハートの形の接地線は、関東近郊のどこかの電柱に今もひっそりあるらしい。
photo:Renge Ishiyama edit : Sayuri Otobe
電線愛好家、文筆家、俳優 石山蓮華
1992年生まれ。TBS ラジオ『こねくと』(毎週月〜木曜日14:00〜17:30放送)メインパーソナリティ。電線愛好家として『タモリ倶楽部』などのメディアに出演するほか、日本電線工業会公認“電線アンバサダー”としても活動。著書に『犬もどき読書日記』(晶文社)、『電線の恋人』(平凡社)。