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ワンちゃんが繋いでくれるご縁。 写真と文:橋口菜花 (『TONE』店主) #2April 11, 2025
私は朝に考えごとをする時が多い。
できるだけスッキリしている状態でものごとを考えるようにしているのだけれど、最近ふと思い出したことがある。
「優しさとはなんだと思いますか?」
10年前くらいにされた質問だが、何年経っても、その答えは変わらず、「言葉と行動」だと思っている。
これはあくまで私の考えなのだけれど、相手に対する思いやりが相手に伝わった瞬間、反対に自分自身に相手からの思いやりを感じた瞬間に、優しさが生まれると思っていて、愛情もそうだと思う。
それを伝える手段として言葉や行動があり、言葉にしたから行動したから相手にやっと届く。
伝えなきゃもったいない。そうやって距離も信頼も築いていけると思う。

それは人と人、人と動物でも一緒のことだと思う。
前置きはさておき。カフェという場所は、物事が始まるためのきっかけとなる出来事が生まれる場でもあると思う。
働いている側も同じであり、些細な会話や交流がきっかけとなり、あらゆるところで繋がりとなる。今のお店で働くようになってから、より一層そう感じている。
そして、何気ない日常のなかで思いがけない瞬間的な出来事が、日常に溶け込み、「日課」という言葉に変化した時、なんて幸せなんだと嬉しくなった。
駒沢という町には、ワンちゃんがたくさんいて、彼ら自然と人と人との繋がりを生んでくれる。
「日課」というのも、ワンちゃんの朝のお散歩と結びついていると思う。たまたま隣の席に座ったお客さま同士が笑顔で会話していたり、私たちスタッフとお客さまの距離をぐっと近づけてくれたりと、ワンちゃんという存在がコミュニケーションの架け橋になっている。
とはいえ、ワンちゃんとも最初はお互いに絶妙な距離感があるもの。そんな時は、おやつという圧倒的存在の力を借りて、じりじりと距離を縮める。
その時間は、お客さまとの関係性を築く時間でもあり、当たり障りのない会話からはじまり、いつの間にかお店の話、ファッションの話、情報交換、日常の出来事など様々な話題へと広がり、良い時間が生まれている。
今となっては、いつも来てくれている方々に「親戚の人」なんて言われている(定期的に会う人という意味なのだろう)。
「なんだか久しぶりに感じますね」「2日間、雨で来られなかったからね」
尻尾が振り乱れるワンちゃんを横目に「愛だね」と、さらりというその言葉も、また嬉しくてたまらない。
最後には絶対「またね」と手を振る。
そんな日常が幸せです。みなさん本当にいつもありがとうございます。
愛ですね!
お店に来てくれるワンちゃんをちょっとご紹介。
edit : Sayuri Otobe
『TONE』店主 橋口菜花
