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好きな器に囲まれる、食卓の時間。写真と文:石原文子 (『工芸喜頓』店主) #2June 12, 2025

「どのような料理を盛って、器や料理を楽しんでいるか?」
すべては、その時の天気(室内に入る光の具合)や、食卓に生けている草花の色合い、そして何より私の心と時間次第ですが、今まで撮っていた写真を眺めてみると、こんな感じでしょうか。

広島の惣堂窯・掛谷康樹(そうどうがま・かけややすき)さんの練り上げの大きな長角の「耳付き鉢」。
ほぼ黒に近い藍色で、食材がとても映えます。深さがあるので、酢飯を作り、その上に薄味で茹でて切った食材をのせています。まだまだ食べ盛りの子どもたちがいるので、揚げ物やソーセージも添えて。

こちらは一年中食べたい冷やし中華。お酢が好きなので、毎日何かしら酸味のあるものが食べたくなります。
器は島根・出西窯の「三彩リム付き皿」。カレーやパスタにもちょうどよく、ふちの緑と茶色、そして白の余白が料理にアクセントをつけてくれます。
具材はたっぷりとのせて、いただきます。
色のある器の使い方がわからないとお客さまから聞くこともありますが、このようにざっと大胆に盛り付けてもいいと思います。
私はおいしいものを食べることは大好きですが、料理を作ることはそれほど得意ではありません。器が本当に助けてくれます。

次は、沖縄の読谷山焼北窯・松田共司工房の「唐草模様入り7寸皿」。
豚ひき肉にほうれん草や玉ねぎ、じゃがいもをオイスターソースとナンプラーで炒めた料理は、茶色ベースで(よくありますよね。赤の食材を足せばよかったという時!)だったので、本当にいいアクセントになってくれました。

こちらは冷蔵庫に白インゲンがあったので、素揚げした茄子に冷蔵庫にあったミニトマトと薬味を混ぜて、胡麻油に醤油や砂糖など王道のおいしい組み合わせで和えて、いただきました。
どなたのものか忘れてしまったのですが、益子で作陶されている方の24cmほどの器です。益子らしい日本の伝統的な釉薬の組み合わせともぴったりです。

主人がおいしいトマトソースを作ってくれたので、シンプルにいただきました。
30cm以上ある大鉢は、フランスのブルゴーニュ地方の作家さんのものです。
フランスのフォーククラフトの作家さんは、黄色やオレンジ、黄緑や緑などの色みを多く使って作陶している方が多く、トマト料理との相性が良いです。
ではでは、また次回!
『工芸喜頓』店主 石原文子
