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ふたたび“学生”になる人の話。写真と文:前田エマ (モデル) #2August 11, 2025

“学生”という季節を一度通り過ぎてから、ふたたび“学生”という肩書きを持った人に興味がある。私自身、30歳を過ぎてから韓国・ソウルに留学し、そこで何人もの「2度目の学生」に出会った。
まだ私が20歳になる前、おもしろい大人と知り合った。その人は大学を中退して10年近く会社員として働き、30歳を過ぎてから、留学したり、大学に入り直したり、さらに10年ほど大学院で学んだりと、大人になってから“学生”を謳歌していたのだ。
私はその少しあとにオーストリアへ留学したのが、そこには様々な年齢の“学生”がいた。そういう人たちを20代前半の頃に見ていたので、いつか私もまた“学生”になりたいと願う日が来るのかもしれないと、当時からぼんやりと思っていた。

最近出したエッセイ集『過去の学生』にも、大人になってから“学生”になることの楽しさを綴ってみた。そんな私が今とても興味を持っているのは、60歳を過ぎてから保育の専門学校に通い、66歳の現在も保育士として働く、元プロ野球選手の高沢秀昭さんである。彼のインタビューなどを読んでいると、私が憧れる“大人の生き方”が詰まっているような気がして、なんだかウキウキしてくるのだ。
edit : Sayuri Otobe
モデル 前田 エマ

まえだ・えま/1992年神奈川県生まれ。東京造形大学在学中にウィーン芸術アカデミーへ留学。モデル、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティ、キュレーションや勉強会の企画など、活動は多岐にわたり、エッセイやコラムの執筆も行っている。連載中のものに、オズマガジン「続、とりとめのない日々のこと。」、me&you「前田エマ、韓国の服にあう。」がある。現在、Podcast『日々の句読点。』ではパーソナリティーを務める。著書に小説集『動物になる日』(ちいさいミシマ社)、『アニョハセヨ韓国』(株式会社三栄)、そして初のエッセイ集『過去の学生』(ミシマ社)が2025年6月17日に刊行。