&EYES あの人が見つけたモノ、コト、ヒト。
曖昧に混じり合うこと。『ISETAN HOME ESSENCE』バイヤー・松岡歩#3March 17, 2025
曖昧さを楽しめる人は魅力的だなと思う。
時にはっきり境界線をつけたほうがスムーズに運ぶこともあるのは確かだが、何もかもをはっきりさせる必要もないし、はっきりしないことを楽しむ姿に、その人の余裕と懐の深さを感じる。
私は仕事とプライベートの境目が極めて曖昧だ。
プライベートの時間を使って考えを巡らせたり、実際に手を動かしたりする時間を過ごすことも多い。
それが自分にとっては適した曖昧さである。そう考える理由は単純で、今の自分の仕事は“好き”と“得意”が混じり合っているからだと思う。
私は今、新卒で入社した『三越伊勢丹』での仕事と「それ以外の仕事」にも取り組んでいる。
『三越伊勢丹』の人として過ごすときの肩書きは、バイヤー。2025年1月末に伊勢丹新宿店 本館5階に新しくオープンした『ISETAN HOME ESSENCE』というライフスタイルセレクトショップを担当している。本当に愛せるものとの出合い、そしてその先にある暮らしが豊かになるアイテムをセレクトしているショップだ。そのショップのコンセプト設計からバイイング、コミュニケーションディレクションに至るまで全てを担っている。
そして「それ以外の仕事」と表現したものは、目には見えにくい製品やサービスの魅力を適した人に伝えていく仕事を指す。
一般的な働き方の観点で言うと、いわゆる副業と呼ばれる形式になるのかもしれないが、『三越伊勢丹』の仕事と同じ熱量で取り組んでいる。短期的にスポットライトが当たるような「バズらせる」ことを目的にするのではなく、中長期的な成長を見据えた視点を持ち、クライアントと二人三脚で一緒に進んでいくことを大切にしている。それは、私自身が本質的な価値を持ち長く愛されるモノやコトを好むからかもしれない。
“好き”なことと“得意”なことを掛け合わせたことで見えてきた私が夢中になれる仕事だからこそ、こんなにものめりこんで取り組むことができるのだと思う。
昨年、「それ以外の仕事」をさらに量も質も充実させていくために『HABICHT(ハービヒト)』をスタートした。ドイツ語で鷹を意味するこの社名には、悠々自適に大空を飛び、時に気流の流れを読みながら滑空と急降下を駆使して獲物を捕らえる鷹のような姿を事業のスタイルとして据えたいという想いを込めている。個人としてではなく、これからは会社だからこそチャレンジできるような仕事も増やしていきたい。
仕事とプライベート、そして2つの仕事の境界線が曖昧だからこそ時に混ざり合い、そして曖昧だからこそ生まれる価値がある。上手にバランスを取りながら、曖昧さを楽しめる生き方をしたいと思う。
edit : Sayuri Otobe
『ISETAN HOME ESSENCE』バイヤー / HABICHT Inc. 松岡歩
