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言葉を糸口として広がる世界。編集後記「明日を生きるための言葉」July 21, 2024

「ブランクーシ 本質を象る」で見た作品《雄鶏》。なぜ彼がこうしたシンプルな造形を追求していったのか、その言葉も本誌で紹介しています。
「ブランクーシ 本質を象る」で見た作品《雄鶏》。なぜ彼がこうしたシンプルな造形を追求していったのか、その言葉も本誌で紹介しています。

言葉を糸口として広がる世界。

 最新号の特集は「明日を生きるための言葉」。SNSをはじめとして、たくさんの言葉が溢れている今の社会。明日を前向きに生きるための、心をふるわす言葉をたくさん集めました。

「アーティストが残した生命力に溢れた力強い言葉」に関する取材で、キュレーター・編集者の河内タカさんと話していたときのこと。「アーティストは本来、言葉ではなくて作品そのものを自由に鑑賞してほしいんじゃない」と語るタカさんはこう続けます。「でも、彼らが発する言葉は紛れもない真実だから」と。作家のパーソナリティが評価を左右するわけではないですが、その言葉を糸口として作品を見つめることで、理解が深まったり、新たな発見があったり、目の前の世界が広がることを教えてくれました。

 取材の翌日、東京・京橋のアーティゾン美術館で開催されていた「ブランクーシ 本質を象る」展を見に行きました。創作に関する言葉を発することを強く意識していたといわれるブランクーシ。その言葉を心に留めて作品と対峙してみると、なんだか彼の内面にまで触れているような気がして、シンプルで力強い造形に明日を生きるための力をもらったように思います。

 エッセイや日記、詩や短歌から心をふるわす力強い言葉を集めた一冊から、ベターライフのヒントを見つけてみてください。

(本誌編集部/利根正彦)

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