From Editors 『アンドプレミアム』本誌の特集を担当した編集者から。

編集後記「やっぱり、ひとりでも京都。」:京都を京都たらしめるものは。February 21, 2024

編集後記「やっぱり、ひとりでも京都。」:京都を京都たらしめるものは。
京都のセンスを知るために、伏見人形唯一の窯元『丹嘉』にて土鈴を買いました。一見端正だけどちょっとだけユルくて、見るほどに愛らしい。この塩梅が京都っぽさなんでしょうか。

京都を京都たらしめるものは。

 AMラジオ局・KBS京都に「レコ室からこんにちは」(月〜水17:15〜17:30)という番組があります。週替わりのセレクターが局内のレコード室から自由に音楽を選び、トークとともに紹介するという内容。京都に縁のあるミュージシャンや音楽専門ライター、音楽好きのクリエイターらが登場するのですが、オンエアされる曲のジャンルは選者によって全く異なり、しかもなかなかにマイナーな楽曲もかかります。自由に音源がセレクトされますから、番組内に音楽的な統一感はありません。しかし冒頭の端正なタイトルコールと、セレクターたちの品のよい京都弁の挨拶に様式美が感じられ、毎度するすると楽曲が耳に入ってきます。

「レコ室からこんにちは」を聴きながら今回の特集を作っていたら、京都らしさが少し分かってきたような気がしました。様式美の上にカオティックな選曲が並び、番組がバランスよく成り立っているように、京都もますます開発が進んで、町家からモダン建築、真新しいビルまでが通りに並んでも、ここに暮らす人々の何かよそ者には分からない美意識が、碁盤の目状の筋を満たし、街を支え、“いい塩梅”にしてくれているのだと思います。

 じゃあどんな美意識か?と問われると難しく、これまで50回ほど京都を訪れましたが、まだ掴みきれません。でもそのセンスがあまりにも魅力的で憧れて、いつかきっかけがあれば理解できるのではないかと淡い期待をして、またひとり、京都に足を伸ばしてしまうのです。

(本誌編集部/松崎彬人)

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