&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

渡辺有子の料理教室_1年目8月「酸味のチカラで残暑を乗り切る」。September 21, 2024

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目8月のテーマは、「酸味のチカラで残暑を乗り切る」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 レモン、トマト、赤ワインビネガーにバルサミコ酢。おいしく酸味を取り入れて夏バテ知らずの体に。
レモン、トマト、赤ワインビネガーにバルサミコ酢。おいしく酸味を取り入れて夏バテ知らずの体に。

酸味のチカラで残暑を乗り切る。

先生:ねぇ直子さん、この夏はまだまだ暑いのかしら? さすがに少し弱ってきたわよね。

生徒:前回までは夏バテ知らずの私でしたが、ここに来てついに弱気になっています。気づけば素麺ばかり茹でてますし……。

先生:夏の疲れた体は酸味を欲しがっているの。お酢やレモンを取り入れて、残暑を乗り切れるような体にリセットしましょう。

生徒:頼りにしておりますっ!

先生:最初に、「トマトと赤ワインビネガーの冷たいパスタ」のソースを仕込みたいので、トマトの湯むきから始めますよ。ヘタを取ったら十字に切れ目を入れて。お湯に10秒くぐらせてから氷水につけて皮をむきます。

生徒:いとも簡単にむけました!

先生:次にトマトを4等分のくし形切りにして、横半分に切ります。みじん切りにした赤玉ネギを塩でなじませて、水にさらしてからザルにあげて、水気をよくきりましょう。

生徒:これをミキサーにかけるんですね!

先生:その通り。ミキサーにはさらに、ニンニク、赤ワインビネガー、オリーブオイル、粗塩を加えて、なめらかになるまで撹拌したら、冷蔵庫で冷やしておきますよ〜。

生徒:いまもう飲んでしまいたい〜。

先生:つづいて、「砂肝とペコロスのバルサミコ酢煮」。炒め煮にしていきます。

生徒:先生、ペコロスって何ですか?

先生:小玉ネギのことよ。厚手の鍋にオリーブオイルをひいて、ニンニク、砂肝、ペコロスをざっと炒めます。次にバルサミコ酢、ハチミツ、セージ、粗塩を加えたら全体を混ぜて、フタをして弱火で20分ほど煮ます。

生徒:じっくり煮えて甘くなった小玉ネギ……いやペコロス。おいしそうだなぁ〜。

先生:ペコロスだけのお酢煮もお勧めよ。さて、パスタの湯を沸かしながら、「イカと枝豆のさっと炒め」を準備していきましょう。白イカは内臓を取って皮をむき、3㎝幅の輪切りにします。枝豆は4〜5分ほど茹でて、さやから出しましょう。青唐辛子は薄切りに、ショウガは小さめの乱切りにします。

生徒:青唐辛子、よく買うのですが、常に数本あまらせがちです。

先生:生のものが買えたらまとめて冷凍しておくの。それか、細かく刻んで醤油漬けにしてもいいのよ。さて、お鍋にオリーブオイルを熱して白イカを炒めますよ〜。ショウガ、白イカ、枝豆、青唐辛子の順に入れて、白ワインをふってさっと炒めます。最後にバターを加えて全体を混ぜてね。

生徒:冷えたワインください〜!

先生:まだよまだ(笑)。器に盛ったらレモンを搾って、白胡椒をふってミントを散らしてね。さあこのままパスタも仕上げていきましょう。表示時間通りに茹でたらザルにあげ、氷水で冷やして水気をきります。冷蔵庫で冷たくしておいたソースを器によそって、その上にパスタを丸めてのせますよ。

生徒:先生! パスタをくるっとする瞬間が速すぎて見逃しました! 

先生:1人分のパスタをトングでつかんで、もう片方の手でくるりとトングに巻き付けるの。簡単でしょ? 盛りつけたら赤ワインビネガーとオリーブオイルをまわしかけて、しっかり酸味をきかせてね。最後に黒胡椒と実山椒を散らしたら完成です。

生徒:前言撤回。私の胃袋バテてません!

1.イカと枝豆のさっと炒め

渡辺有子の料理教室 イカと枝豆のさっと炒め
最初に炒めるのは乱切りにしたショウガ。しっかり炒めて香りを引き出す。
最初に炒めるのは乱切りにしたショウガ。しっかり炒めて香りを引き出す。
白ワインを加えて短時間で仕上げると、ふっくらやわらかなイカが味わえる。
白ワインを加えて短時間で仕上げると、ふっくらやわらかなイカが味わえる。

    〈材料〉2人分

    白イカ…小2杯 
    枝豆…150g 
    青唐辛子…2本 
    ショウガ…1かけ
    オリーブオイル…適量 
    白ワイン…大さじ2 
    バター…5g 
    レモン…1個
    白胡椒…適量 
    ミント…適量
    〈作り方〉
    1.白イカは内臓を取り除き、皮をむいて3㎝幅の輪切りにする。枝豆は4〜5分ほど茹で、さやから出す。青唐辛子は薄切りにする。ショウガは小さめの乱切りにする。

    2.鍋にオリーブオイルを熱し、ショウガ、白イカ、枝豆、青唐辛子を入れて炒め、白ワインを加えてさっと炒め、バターを加えて全体を混ぜる。

    3.器に盛り、レモンを搾り、白胡椒をふってミントを散らす。

2.トマトと赤ワインビネガーの冷たいパスタ

渡辺有子の料理教室 トマトと赤ワインビネガーの冷たいパスタ
ミキサーで混ぜた具材と調味料は、冷蔵庫で冷やしている間に味もなじむ。
ミキサーで混ぜた具材と調味料は、冷蔵庫で冷やしている間に味もなじむ。
トングでつかんだパスタをもう片方の手で巻くと、美しく盛りつけられる。
トングでつかんだパスタをもう片方の手で巻くと、美しく盛りつけられる。
    〈材料〉2人分

    カッペリーニ…60〜80g 
    トマト…中2個 
    赤玉ネギ…1/8個 
    ニンニク…少々 
    赤ワインビネガー…大さじ1 
    オリーブオイル…大さじ1/2 
    粗塩…適量 
    黒胡椒…適量 
    実山椒(乾燥)…適量
    〈作り方〉
    1.トマトはヘタを取って十字に切れ目を入れ、沸いた湯に10秒ほどくぐらせてから氷水につけて皮をむく。4等分のくし形切りにし、横半分に切る。赤玉ネギはみじん切りにして塩(分量外)でなじませ、水にさらしてザルにあげて水気をよくきる。

    2.ミキサーに1、ニンニク、赤ワインビネガー、オリーブオイル、粗塩を入れ、なめらかになるまで撹拌して冷蔵庫でよく冷やす。

    3.鍋に湯をたっぷりと沸かし、塩(分量外)を入れ、カッペリーニを表示時間茹でる。茹で上がったらザルにあげ、氷水で冷やし水気をよくきる。

    4.器に2のソース、カッペリーニを盛り、オリーブオイル、赤ワインビネガー(ともに分量外)をまわしかけ、黒胡椒、実山椒を散らす。

3.砂肝とペコロスのバルサミコ酢煮

渡辺有子の料理教室 砂肝とペコロスのバルサミコ酢煮
少量の調味料で作るので、鍋中で蒸気が保たれる厚手の鍋を使うとうまくいく。
少量の調味料で作るので、鍋中で蒸気が保たれる厚手の鍋を使うとうまくいく。
バルサミコ酢など調味料を加えたら弱火で煮る。重たいフタが調理に役立つ。
バルサミコ酢など調味料を加えたら弱火で煮る。重たいフタが調理に役立つ。

    〈材料〉作りやすい分量

    砂肝…300g 
    ペコロス…8個 
    ニンニク…1/2かけ 
    オリーブオイル…適量
    バルサミコ酢…大さじ3 
    ハチミツ…小さじ2 
    セージ…6枚 
    粗塩…適量 
    黒胡椒…適量
    〈作り方〉
    1.砂肝は半分にそぎ切りにし、ペコロスは皮をむく。ニンニクは薄切りにする。

    2.厚手の鍋にオリーブオイルをひき、ニンニク、砂肝、ペコロスを加えてざっと炒め、バルサミコ酢、ハチミツ、セージ、粗塩を加えて全体を混ぜ、フタをして弱火で20分ほど煮る。

    3.器に盛り、黒胡椒をふる。

渡辺有子の料理教室 レモンは1個分をたっぷり。半分に切ってから搾る。「イカは大きめに切って食べ応えを出してね」と有子先生。
レモンは1個分をたっぷり。半分に切ってから搾る。「イカは大きめに切って食べ応えを出してね」と有子先生。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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