&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

渡辺有子の料理教室_1年目5月「爽やかに旬を楽しむ、夏初め」。August 31, 2024

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目5月のテーマは、「爽やかに旬を楽しむ、夏初め」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 緑や赤の食材がおいしくなる初夏。特にこの時季のみずみずしいキュウリは有子先生のお気に入りです。
緑や赤の食材がおいしくなる初夏。特にこの時季のみずみずしいキュウリは有子先生のお気に入りです。

爽やかに旬を楽しむ、夏初め。

先生:直子さん、前回のサンドイッチとポタージュは家でおさらいしてみました?

生徒:はい。「ハムチーズとクミンのサンドイッチ」と「キュウリとディルのサンドイッチ」は我が家の朝の定番になりました。「新ジャガのさらさらポタージュ」も、この時季しか食べられないと思って何度も作ってます。

先生:よし、優秀(笑)。今日は初夏らしいお料理を教えますよ。ワイン好きの直子さんにはたまらないはず〜。

生徒:大急ぎで学びたいです!

先生:まずは「グリーン野菜のバター蒸し」から。そら豆はさやをむいて、インゲンはヘタを除いて半分にしてね。キュウリは食感を楽しみたいので、皮をむいて種を取り、斜めにカットしてください。ズッキーニも斜め切りにして、こちらはアクが出るので水にさらしましょう。食感を残すために少し太めに切ってね。

生徒:サンドイッチの回でキュウリに開眼しました。切り方ひとつで味まで変わる。実は楽しい食材でしたね。

先生:この季節になると、私、急にキュウリ好きになるの。それじゃあ、同時進行で「アジの赤玉ねぎビネガーソース」も作っていきましょう。まずはアジの上にのせる〝赤玉ねぎのマリネ〟から仕込みますよ。

生徒:マリネ。常備できそうな予感……。

先生:まさしく(笑)。一度作っておけばお肉に添えたり、ゆで卵にかけたり、あれこれ使えて重宝するの。保存もきくのよ。

生徒:おす! 赤玉、刻みます!

先生:みじん切りしたら塩をして、赤ワインビネガーをヒタヒタに注いでしめらせます。

生徒:弱火で2分、焦げないように炒めて、冷めたら瓶に移して、赤ワインビネガーを表面がかぶるまで注ぐ。ですね!

先生:このレシピで使う分は大さじ1と₁⑊₂だけなので、あとは常備菜として活躍させてね。

生徒:はーい!

先生:続いてトマトを細かく切って、バジルと香菜をみじん切りにしたら、赤玉マリネと合わせてボウルに入れて、レモン汁、塩、黒胡椒、オリーブオイルを加えて混ぜ合わせます。ここまで進めたら、「グリーン野菜のバター蒸し」の作業に戻るわよ〜。鍋にキュウリ以外の具を入れて、水を大さじ3、旨味を出すためにオリーブオイルを少し加えます。粗挽き唐辛子と粗塩を入れたら、フタをして弱火にかけて15分蒸し煮に。キュウリは食感を残したいので最後に入れて、塩をふって全体を混ぜましょう。フタをしてもう8分蒸して、火を止めたらバターを加えてね。

生徒:続いては「甘夏ショウガのデザート」。

先生:甘夏の皮をむいたら小房に分けて、みじん切りにした新ショウガ、きび砂糖と一緒にボウルの中で混ぜて冷蔵庫で冷やします。その間にメイン料理のアジを背開きしましょう。塩をふったら大さじ2のオリーブオイルをフライパンに。薄めに粉をまぶしたら皮目からカリッと香ばしく焼いてください。上にソースをたっぷりかけたら出来上がり。

生徒:デザートのつづきは!?

先生:サワークリームをボウルに入れて練り、プレーンヨーグルトを加えて混ぜて、蜂蜜を入れてさらに混ぜて冷蔵庫で冷やします。食べる直前に盛り付けてくださいね。

生徒:ひゃー、冷える前に食べちゃいたい!

1.アジの赤玉ねぎビネガーソース

渡辺有子の料理教室 アジの赤玉ねぎビネガーソース
作り置きできる赤玉ねぎのマリネ。小鍋で煮れば赤ワインビネガーも少量ですむ。
作り置きできる赤玉ねぎのマリネ。小鍋で煮れば赤ワインビネガーも少量ですむ。
塩で臭み取りをしたアジ。強火で焼くと、外はカリッと中はふわっと仕上がる。
塩で臭み取りをしたアジ。強火で焼くと、外はカリッと中はふわっと仕上がる。
    あじの赤玉ねぎビネガーソース
    〈材料〉2〜3人分

    アジ…小6〜8尾 
    赤玉ねぎ…1/2個 
    フルーツトマト…小1個 
    赤ワインビネガー…適量 
    バジル…6枚 
    香菜…1茎分 
    塩…適量 
    レモン汁…小さじ2 
    黒胡椒…適量 
    オリーブオイル…適量 
    薄力粉…適量
    〈作り方〉
    1.アジは背開きにし、塩を軽くふってしばらくおき、ペーパーでおさえて臭みや水分を取る。

    2.赤玉ねぎはみじん切りにして塩を少々ふり、なじませる。小鍋に移して赤ワインビネガーをヒタヒタに注ぎ、弱火で2分ほど焦げないように炒める。冷めたら瓶などに移し、赤ワインビネガーを
    表面がかぶるまで注ぐ(2の「赤玉ねぎのマリネ」のうち、本レシピでは大さじ1と1/2を使う)。

    3.フルーツトマトを5㎜角に切る。バジル、香菜はみじん切りにする。これらを赤玉ねぎのマリネと合わせてボウルに入れる。レモン汁、塩、黒胡椒、オリーブオイルを加えて混ぜ合わせておく。

    4.フライパンにオリーブオイル大さじ2を熱し、アジに薄く薄力粉をまぶして強火でカリッと短時間で焼く。

    5.器にアジを並べ、3をかける。

    *「赤玉ねぎのマリネ」はゆで卵やサラダに、焼いたお肉に添えたり重宝する。冷蔵庫で1〜2か月保存可。

2.グリーン野菜のバター蒸し

渡辺有子の料理教室 グリーン野菜のバター蒸し
キュウリの種はスプーンを使ってこそげ取る。皮と種がないとより良い食感に。
キュウリの種はスプーンを使ってこそげ取る。皮と種がないとより良い食感に。
斜め棒状に切ったズッキーニは、水に軽くさらしてから使うようにする。
斜め棒状に切ったズッキーニは、水に軽くさらしてから使うようにする。
    〈材料〉2〜3人分

    そら豆…8さや 
    インゲン…20本 
    ズッキーニ…1本 
    キュウリ…2本 
    水…大さじ3 
    オリーブオイル…小さじ1 
    粗挽き唐辛子…小さじ1/2 
    粗塩…適量 
    バター…10g
    〈作り方〉
    1.そら豆はさやをむく。インゲンはヘタを除いて半分に切る。ズッキーニは斜め棒状に切る。キュウリは皮をむき、縦半分にして種をスプーンで取り除き、斜め棒状に切る。

    2.厚手の鍋にそら豆とインゲン、ズッキーニ(水にさらしたもの)を入れて、水、オリーブオイル、粗挽き唐辛子、粗塩を加え、フタをして弱火にかけ、15分蒸し煮にする。

    3.キュウリを加えて粗塩をふり、全体をざっと混ぜ、フタをしてさらに8分蒸す。火を止めて、バターを加えて溶かす。

3.甘夏ショウガのデザート

渡辺有子の料理教室 甘夏ショウガのデザート
甘夏だけではなく、夏ミカンでも。新ショウガがいいアクセントになる。
甘夏だけではなく、夏ミカンでも。新ショウガがいいアクセントになる。
    〈材料〉2〜3人分

    甘夏…1個 
    新ショウガ…大1かけ 
    きび砂糖…大さじ1と1/2
    サワークリーム …100g 
    プレーンヨーグルト…30g 
    蜂蜜…小さじ2
    〈作り方〉
    1.甘夏は薄皮をむき、小房にする。新ショウガは皮をこそげ、みじん切りにする。ボウルに合わせてきび砂糖をふり、果汁が出てくるまで冷蔵庫でなじませておく。

    2.サワークリームをボウルに入れて練り、プレーンヨーグルトを加えて混ぜ、蜂蜜を加えてよく混ぜ冷蔵庫で冷やす。

    3.器に2を盛り、1を果汁ごとのせる。

渡辺有子の料理教室 常備したい”赤玉ねぎのマリネ”。先生のいち押しは、「アンチョビ、フレンチマスタードとマリネを混ぜて、ゆで卵にトッピング」。
常備したい”赤玉ねぎのマリネ”。先生のいち押しは、「アンチョビ、フレンチマスタードとマリネを混ぜて、ゆで卵にトッピング」。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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