&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「料理が広がる3種のソース」。渡辺有子の料理教室2年目5月May 10, 2025
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目5月のテーマは、「料理が広がる3種のソース」。3つのソースを使ったレシピを紹介します。

料理が広がる3種のソース。
先生:今日は直子さんが悩ましげな様子ですが、一体どうしたっていうの?
生徒:ここのところ夕飯作りに煮詰まってしまって。1つ覚えるだけでレパートリーが2、3倍に増えるような、そんな万能ソースがあったらいいなぁと思っているんです。
先生:そのソース、私が教えますよ。
生徒:さすが。先生に不可能の文字はない。
先生:ではまず、「卵とレモンのソース」を作りましょう。ボウルの中で、ゆで卵をフォークでつぶして、アボカドを加えてさらにつぶしたら、ヨーグルト、削ったレモンの皮、オリーブオイルと塩を加えてよく混ぜます。これでソースは完成です。今日みたいに鶏の唐揚げにのせるのも良し。揚げた魚に添えたり、サラダやパンにのせてもいいの。
生徒:なんて簡単なんでしょう。ぜひ、鶏の唐揚げの作り方も教えてください!
先生:鶏もも肉を4〜5等分に切って、醤油と酒に20分以上漬けて下味をつけます。フライパンの半分ほどの高さまで油を注いで、片栗粉を薄くまぶした鶏もも肉を並べてから火をつける。揚がったら油をよくきります。
生徒:熱々の油でジャーじゃないんですね。
先生:常温の油からゆっくり揚げていくと、中までしっかり火が入るの。皮のほうから、強火で片面5〜6分くらいずつが目安です。
生徒:もう唐揚げで失敗しません!
先生:器に盛り付けてソースをたっぷりのせて、もしあれば穂ジソをちぎってかけてもきれいです。
生徒:卵とアボカドのコクをレモンがスッキリまとめて。理想のソースであります。
先生:つづいては「グリーンオリーブとパセリのソース」。みじん切りにしたグリーンオリーブとパセリ、アンチョビをボウルに入れて、オリーブオイルをまわしかけ、黒胡椒を粗めに挽きながら混ぜ合わせたら完成です。
生徒:ぎょぎょ。簡単すぎやしませんか?
先生:フードプロセッサーで、すべての食材をまとめてガーッと混ぜてもいいのよ。素材自体に塩気があるので、味付けは黒胡椒だけ。今日はこれを、20分ほど蒸した新ジャガと和えましたが、茹でたばかりのパスタに絡めたり、野菜のディップにしたり、カリッと焼いたバゲットにのせるのもお勧めです。冷蔵庫で1〜2週間ほど保存できますよ。
生徒:さっそく常備します!
先生:最後は「ラズベリーと赤玉ネギのソース」です。国産のベリーは5月末から出回りはじめ、晩夏までが旬なので試してみてね。ラズベリーは洗うとソースが水っぽくなってしまうので、ペーパーで汚れを拭き取ってください。赤玉ネギはみじん切りにして、塩をふってなじませたら、水にさらしてザルにあげ、ペーパーで水気を絞ります。ボウルにラズベリーを入れて、フォークで軽めにつぶしたら、赤玉ネギ、赤ワインビネガー、蜂蜜を加えて混ぜて、ハイ出来上がり。
生徒:危うくヨーグルトに入れて食べそうになる、スイートなビジュアルです。
先生:赤玉ネギが入っているのをお忘れなく。さあ、このソースでカルパッチョを作りましょう。お皿にラズベリーと赤玉ネギのソースを敷いて、薄切りにした刺身とラディッシュを盛ってオリーブオイルをまわしかけてね。牛ステーキに添えてもおいしいソースです。
生徒:美しすぎて食べられないかも~。
ラズベリーと赤玉ネギのソース&グリーンオリーブとパセリのソース&卵とレモンのソース

-
ラズベリーと赤玉ネギのソース
〈材料〉作りやすい分量
ラズベリー…40g
赤玉ネギ…1/4個
赤ワインビネガー…大さじ1
蜂蜜…小さじ1
塩…小さじ1/3
-
〈作り方〉
1.ラズベリーはペーパーで汚れを拭き取る。赤玉ネギはみじん切りにし、塩をふってしばらくなじませ、水にさらしてザルにあげる。ペーパーで水気を絞る。
2.ボウルにラズベリーを入れ、フォークで軽くつぶす。赤玉ネギ、赤ワインビネガー、蜂蜜を加えて混ぜる。
牛ステーキに添えたり、葉野菜のサラダのドレッシングなどに。
保存容器や瓶などに入れて冷蔵庫で1週間ほど保存可。
-
グリーンオリーブとパセリのソース
〈材料〉作りやすい分量
グリーンオリーブ…5g
パセリ…2本
アンチョビ…2枚
オリーブオイル…大さじ4
粒黒胡椒…小さじ2
-
〈作り方〉
1.グリーンオリーブ、パセリ、アンチョビはそれぞれ、みじん切りにする。
2.ボウルに1を入れてオリーブオイルをまわしかけ、黒胡椒を粗めに挽きながら混ぜ合わせる。
茹でたばかりのパスタに絡めたり、野菜のディップに、カリッと焼いたバゲットにのせても。
保存容器や瓶などに入れて冷蔵庫で1〜2週間保存可。
-
卵とレモンのソース
〈材料〉作りやすい分量
卵…2個
アボカド…1/2個
プレーンヨーグルト…大さじ2
削ったレモンの皮…1個分
オリーブオイル…大さじ1
塩…適量
-
〈作り方〉
1.卵は沸騰した湯に入れて9分茹で、殻をむく。
2.ボウルにゆで卵を入れてフォークでつぶし、アボカドを加えてさらに全体を細かくつぶす。ヨーグルト、レモンの皮、オリーブオイル、塩を加えてよく混ぜる。
パンにのせたり、揚げた魚に添えたり、サラダにも。
アボカドは変色するため、その日のうちに食べきる。
1.卵とレモンのソースで鶏の唐揚げ
〈材料〉2人分
卵とレモンのソース…出来上がり全量
鶏もも肉…2枚
醤油…大さじ2と1/2
酒…大さじ1
片栗粉…適量
揚げ油…適量
穂ジソ…適宜
-
〈作り方〉
1.鶏もも肉は余分な脂を取り除き、4~5等分に切り、醤油、酒に20分以上漬けておく。
2.フライパンに油を半分ほどの高さに注ぎ、片栗粉を薄くまぶした1を並べてから点火し、強火でカラリと揚げる。油をしっかりきる。
3.器に2を盛り、卵とレモンのソースをたっぷりのせ、あればレモンの皮(分量外)と穂ジソをかける。
2.グリーンオリーブとパセリのソースでジャガイモ和え
〈材料〉2〜3人分
グリーンオリーブとパセリのソース…出来上がりの半量
新ジャガ(小)…24個
-
〈作り方〉
1.新ジャガはよく洗い、蒸気の上がった蒸し器で20分ほど蒸す。
2.温かいうちに大きめのものは皮をむく。小さめのものは皮付きのままで楽しむ(好みで、すべて皮をむいてもよい)。
3.ボウルにソース半量を入れ、温かい新ジャガを加えてざっと和える。
3.ラズベリーと赤玉ネギのソースでカルパッチョ
〈材料〉2〜3人分
ラズベリーと赤玉ネギのソース…出来上がりの半量
カンパチ、ヒラメ、アジなどの刺身…100g
ラディッシュ…2個
オリーブオイル…適量
-
〈作り方〉
1.ラディッシュは薄い輪切りにする。刺身は薄切りにする。
2.皿にラズベリーと赤玉ネギのソースを敷き、刺身とラディッシュを盛り、オリーブオイルをまわしかける。


渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida