&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「秋の味覚、キノコを楽しむ」。渡辺有子の料理教室1年目10月October 12, 2024
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目10月のテーマは、「秋の味覚、キノコを楽しむ」。3つのレシピを紹介します。
秋の味覚、キノコを楽しむ。
先生:もうすっかり秋。野菜も果物もおいしくて、新米もあり、言うことなしの季節ね。
生徒:秋と聞いただけで食欲が湧いちゃうのは、幼少期からの刷り込みでしょうか。
先生:さすがに直子さんほどじゃないけど、私も「秋だ」と思うだけで、買い出しも料理も楽しい気分でやれてしまうの。
生徒:味覚の秋と言えば……。
先生:今月の教室は「キノコづくし」です。
生徒:わわわ。先生に思いが通じた!
先生:なぜなら私も大好きなの。さあ、「キノコのポタージュ」から作っていきましょう。玉ネギはみじん切りに、シイタケ、ブラウンマッシュルームは4等分にします。エリンギはほかのキノコと同じサイズに切りますよ。
生徒:3種類のキノコが入るんですか。
先生:そのほうがブラウンマッシュルームだけで作るよりも味に深みが出るの。
生徒:シイタケとエリンギはほかのお料理にも使うんですね。
先生:同じキノコがそれぞれ全く違った料理になる。今回はそんな楽しみもお伝えしたいと思っています。では最初に玉ネギをバターで炒めますよ。しんなりしてきたらキノコを加えてさらに炒めます。ローリエを入れてフタをして、弱火で12分蒸し煮にしてね。
生徒:(12分後、フタを開ける先生を見て)今、フタについた水分を一滴も無駄にせずお鍋の中に入れましたね!
先生:よく気づいたわね〜。キノコから出る水分も大切に使うのがおいしさの秘訣です。次に生クリーム、牛乳を加えて中火でひと煮たちさせたら弱火で2〜3分ほど煮ます。
生徒:ローリエを取り、ハンディブレンダーで撹拌したらベース作りは完了ですね。
先生:このベースは半量使うので残りは保存袋に小分けにして冷凍すると便利よ。牛乳で好みの濃度に調整して、塩で味を調えてね。
生徒:はいっ。
先生:さて、「焼きキノコと柿のサラダ」のキノコをグリルしていきましょう。弱火でじっくりじゃダメですよ。水分と一緒に旨味が逃げます。油はひかずに、強火で焼いてね。
生徒:キノコは手で裂くんですね?
先生:こうすることで表面に動きが出て、味がしみやすくなるんです。柿はくし形切りに、春菊はやわらかい葉だけ摘みましょう。みじん切りにした赤玉ネギは、塩でなじませてから水にさらして、水気をきり、赤ワインビネガー、きび砂糖と合わせてなじませます。そこに柿を加えてざっと和えておきますよ。
生徒:私は焼いたキノコをボウルに入れて、醤油で和えるところまでやりました。
先生:そこに春菊と赤玉ネギを加えて、 オリーブオイルと粗塩で味を調えたら完成よ。
生徒:締めは「キノコのオープンサンド」。キノコを切り、ニンニクをつぶして、パセリをみじん切りにするところまでやりました。
先生:鍋にオリーブオイルとニンニク、タカの爪を熱します。パセリを加えて炒めたら、キノコ、粗塩、白ワインを加えてフタをして、10分ほど蒸し煮にします。オープンサンドにしたいので、フェタチーズをのせてトースターで焼くんですが、縦半分に切るとき、バゲットは立たせて切ると上手にできます。蒸し煮にしたキノコをのせて、黒胡椒をしたら完成です。
生徒:食べたさゆえいつになく働きました〜。
1.キノコのポタージュ
〈材料〉作りやすい分量
玉ネギ…1/3個
シイタケ…3枚
ブラウンマッシュルーム…6個
エリンギ…3本
バター…20g
ローリエ…1枚
生クリーム…100㎖
牛乳…200㎖(調整の牛乳は適量)
塩…適量
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〈作り方〉
1.玉ネギはみじん切りにする。シイタケ、ブラウンマッシュルームは4等分。エリンギはほかのキノコと同じサイズに切る。
2.鍋にバターを溶かし、玉ネギをしんなりするまで弱火で炒める。シイタケ、ブラウンマッシュルーム、エリンギを加えてさらにしんなりするまで炒め、ローリエを入れてフタをし、弱火で12分蒸し煮にする。
3.生クリーム、牛乳を加えて、中火でひと煮たちさせ、2〜3分弱火でさらに煮る。ローリエは取り出す。
4.ハンディブレンダーで撹拌し、このベースの半量を使い(約3皿分)、牛乳(分量外。目安は200㎖ほど)で好みの濃度に。塩で味を調える。
2.焼きキノコと柿のサラダ
〈材料〉2〜3人分
マイタケ…100g
エリンギ…2本
シイタケ…4枚
柿…1個
春菊…小1/2束
赤玉ネギ…1/6個
塩…適量
赤ワインビネガー…大さじ1〜2
きび砂糖…適量
醤油…小さじ2
オリーブオイル…大さじ1〜2
粗塩…適量
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〈作り方〉
1.マイタケは手で3〜4等分に裂く。エリンギは長さを半分に切り縦6等分に裂く。シイタケは石づきを切り、半分に裂く。柿は16等分のくし形切りに。春菊はやわらかい葉の部分を摘む。赤玉ネギはみじん切りにし、塩でなじませてから水にさらし、水気をきる。
2.フライパンを熱し、マイタケ、エリンギ、シイタケを焼き目をつけるようにして強火で焼く。
3.1の赤玉ネギは、赤ワインビネガー、きび砂糖を合わせてなじませる。柿を加えてざっと和える。
4.ボウルに焼いたマイタケ、エリンギ、シイタケを入れ、醤油をふり、ざっと和えたら春菊と3を加え、 オリーブオイルをふって全体を和え、粗塩で味を調える。
3.キノコのオープンサンド
〈材料〉2〜3人分
シイタケ…6枚
エリンギ…2本
ホワイトマッシュルーム…8個
ニンニク…1/3かけ
パセリ…2本
オリーブオイル…大さじ2
タカの爪…1本
粗塩…適量
白ワイン…40㎖
バゲット…1/2本
フェタチーズ…80g
黒胡椒…適量
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〈作り方〉
1.シイタケは石づきを取って4〜6等分に切る。エリンギは縦半分に切り、長さを3等分にしたものをさらに3等分に切る。ホワイトマッシュルームは十字に4等分に切る。ニンニクはつぶし、パセリはみじん切りにする。
2.鍋にオリーブオイルとニンニク、タカの爪を熱し、ニンニクは香りをうつしたら取り出す。パセリを加えてざっと炒め、シイタケ、エリンギ、ホワイトマッシュルーム、粗塩、白ワインを加え、フタをして10分ほど中火弱で蒸し煮にする。
3.バゲットを7〜8㎝幅に切ってから縦半分に切る。フェタチーズをのせてトースターでカリッと焼く。2を適量のせて、黒胡椒をふる。
渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。
吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida