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エレガンスを象徴する、スワトウ刺繍のハンカチ。インテリアスタイリスト・黒田美津子さんのエレガントな嗜み。October 12, 2023

エレガンスを物語る8つの心得について、それを実践する8人に話を聞いた、本誌「エレガンス、であること」特集の企画「エレガントな、8つの嗜み」。なにげない日常のなかでも、丁寧な動作を心がけ、相手を思いやったり、自分を大切にすることで、エレガンスは醸し出されていくもの。インテリアスタイリスト・黒田美津子さんの嗜みを紹介します。

エレガンスを象徴する、スワトウ刺繍のハンカチ。インテリアスタイリスト・黒田美津子さんのエレガントな嗜み。
一番上が自分のために香港で買ったもの。他は頂き物や、スワトウ刺繍好きだった母から譲られたもの。

エレガンスを象徴する、スワトウ刺繍のハンカチ。

 1800年代にヨーロッパの刺繍と中国の伝統刺繍が合わさって生まれたスワトウ刺繍は、当時のヨーロッパ社交界で大人気を呼んだ。手刺繍こそ希少になったものの、現代にもその美しさは連綿と受け継がれている。そのスワトウ刺繍のハンカチが大好きという黒田美津子さんが、初めて手に入れたのは1980年代の香港にて。

「ずっと憧れていて。たぶん手刺繍で、当時としてはかなり上等なものを買いました。自分で持っているハンカチのなかで一番、いいものという感じです」

 なので、持ち歩くのもふだんというより、それなりの支度をしたときだという。

「そう思うと、やはり冠婚葬祭の場が多いかもしれません。おしゃれして結婚式に行って素敵なバッグから出てくるのが普通のハンカチだと色気がない。私のなかでエレガンスにはそこはかとない色気があることも含まれています。それに加えて控えめさ。セレモニーのときって自分の好きな格好をすればいいわけではなく、場に合わせた身なりを整えますよね。それって相手を慮(おもんぱか)るからなんです。その慮る気持ちが、スワトウ刺繍のハンカチにも表れている気がします。会食に行くなどもそうですが、上質なハンカチを手にして、TPOにそった格好をする。そのちょっと自分を抑える感じが上品だと私は思っていて、エレガンスとは、そういう人としてのあり方にあるのかもしれません」

PROFILE

黒田美津子 Mitsuko Kuroda インテリアスタイリスト

雑誌でのスタイリングの他、広告、イベント、展示、ホテル、住宅、家具店などのインテリアディレクションやキュレーションと、幅広く活動する。20年以上使ってきたものと、これから20年使いたいものを紹介する本誌連載「&Lifelong Items」のディレクションも行う。Instagram:@mitsulab

黒田美津子 Mitsuko Kuroda

この記事は、『アンドプレミアム』NO.119「エレガンス、であること。」に掲載されたものです。

photo : Takashi Ehara illustration : Shapre text & edit : Wakako Miyake

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