BOOK 本と言葉。
台湾在住の文筆家・栖来ひかりさんの新刊 『台湾りずむ 暮らしを旅する二十四節気』が発売。July 26, 2023
四季を彩る台湾の文化と暮らし、そして「今」。
2006年より台湾・台北に在住し、現地の暮らしを丁寧に見つめてきた文筆家・栖来ひかりさん。『台湾りずむ 暮らしを旅する二十四節気』は、台湾の歴史や文化、そして「今」について、四季折々の歳時記を通して紹介する一冊だ。編集を担当したのは、沖縄・宜野湾の『カフェ ユニゾン』のオーナーであり、本誌でも活躍する三枝克之さん。立春、雨水、啓蟄……と順に綴られる現地の十二ヶ月の様子を通して、移ろう日々を慈しむ、台湾の暮らしのリズムが伝わる構成になっている。
節気をさらに細分化した「七十二候」とともに、台湾の人々の暮らしぶりを描き出す本書。その細やかさは現地に長年暮らす著者ならではで、日本との共通点や違いも分かりやすく示されている。例えば「端午節(端午の節句)」。日本では鯉のぼりを飾るが、台湾では「香包」と呼ばれる人形型の香り袋を子どもの首にかけて厄を祓う。香包から漏れる白檀の匂いが漂う様子は、「香り」の風物詩だ。
ガイドブックよりも一歩踏み込んだ描写に、現地の風景が浮かび上がる一冊。知られざる台湾の表情を見つけに、本書を片手に旅に出かけたい。
BOOK INFORMATION
『台湾りずむ 暮らしを旅する二十四節気』
著者:栖来ひかり
価格:本体1800円+税
仕様:四六判 208ページ
発行:西日本出版社