BOOK 本と言葉。
20代のときに、私の生き方を変えた本。『たそがれ時に見つけたもの 『りぼん』のふろくとその時代』/東京・国分寺『早春書店』 が届けるベターライフブックス。October 09, 2025
This Week Theme20代のときに、私の生き方を変えた本。
Book of the Week『たそがれ時に見つけたもの 『りぼん』のふろくとその時代』 大塚英志 著 (太田出版)

多くの人にとって、10代の間に作り上げてきた自分を社会と出合わせる時期として、20代という時代がある。私もそうだった。そして、ヘンなサブカルチャーを追いかけることの楽しさだけでそれまで生き繋いできた自分は、社会というものに相対することにとても苦労した。
大塚英志が書いた評論本諸作は、その頃の自分にとって命綱のようなものだったと思う。世間では取るに足らないとされるようなサブカルチャーが、どのような社会的・歴史的文脈のなかに位置するかを考える方法を、彼の著作は私に教えてくれたのだ。
本書では、1970年代の『りぼん』のふろくが、当時の読者少女たちに対して80年代消費社会的感性を準備させた、という観点で、論が展開される。自分が「ヘンなもの」に何かを託していたように、「かわいいもの」に切実に何かを託した人々がかつてたくさんいたことを、この本で自分は知った。
BOOKSHOP 早春書店

店主の下田裕之さんは、長年大型新刊書店で勤務したのち、国分寺駅のそばに2019年に開店。文学、音楽、サブカル、批評を織り交ぜた本を取り揃えている。テキストユニット〈TVOD〉のコメカという名前で、サブカルチャーや社会のことに関する執筆活動もしている。
住所:東京都国分寺市本町2-22-5
営業時間:12:00~20:00
定休日:月
詳細はInstagram(@so_shun_shoten)より確認を。