Food 食の楽しみ。

著述家・山本 薫さんが教えてくれた、たけのこご飯とだし入り卵のあんかけオムライスのレシピ。June 09, 2024

少ない材料で手早く作れるとか、時間はかかるけれどシンプルな手順で仕上がるとか。2024年5月20日発売の特集「すぐ作りたくなる、手料理のアイデア」では、家庭料理ならではの気楽さとアイデアが詰まった、料理上手たちのひと皿を集めました。ここでは、著述家・山本 薫さんが教えてくれた、たけのこご飯とだし入り卵のあんかけオムライスのレシピを紹介します。

和風オムライスは東京・赤坂にあった名店のメニューに倣ったもの。「我が家では薄焼き卵ではなく、卵を火にかけすぎず、しっとりと肉厚に焼いた、だし入り卵をのせて」
和風オムライスは東京・赤坂にあった名店のメニューに倣ったもの。「我が家では薄焼き卵ではなく、卵を火にかけすぎず、しっとりと肉厚に焼いた、だし入り卵をのせて」

飲んでしまいたくなるくらい、あんも卵もとろとろな。

とろとろのあんに半ば浸かるようにして湯気を立ち上らせるそれが、オムライスだと誰が信じよう。ふわふわで厚みのあるだし入り卵にれんげを入れると、たけのこご飯が現れる。山本薫さん手製のオムライスは和の味。同じくだしのきいたたっぷりのあんを絡めながら食すのだ。山本さんが「大パパ」と呼ぶ亡き義理の父、作曲家の山本丈晴との思い出の味である。

「もともと大パパと大ママ(義理の母)が通っていた赤坂の『旬香亭』にあったメニューなんです。15年ほど前、大パパが体調を崩して外出できなくなったとき自宅で再現してあげたのをきっかけに、作るようになりました。店はもうなく、今はこうして食卓で味わい、思い出に浸っています」

そもそも「”あんかけ”好き一家」だそうで、無性にあんが食べたくなると作るひと皿。「パックのたけのこを使えば難しいことは何もありません」。冷凍しておいた、余った炊き込みご飯を代用することもあるそうだ。

「大ママも外でおいしい料理に出合うと、家族のためそれに倣って料理してくれる人で。私のこのオムライスを家族が笑顔で囲むのを見ては『みんな、おいしいものを家でいただけるって幸せね』と褒めてくれるんです」

義母は俳優の山本富士子。「料理上手で、様々作っては届けてくれるんです。レシピも兼ねた手紙が添えてあり、ここから教わることもたくさん」
義母は俳優の山本富士子。「料理上手で、様々作っては届けてくれるんです。レシピも兼ねた手紙が添えてあり、ここから教わることもたくさん」
「醤油より味が優しい」とだし醤油を愛用。
「醤油より味が優しい」とだし醤油を愛用。
亡くなった母自筆のレシピノート。「『次は何を作ろうかな』と考えるとワクワクが止まらなくなるのは、母に似たのかもしれません」
亡くなった母自筆のレシピノート。「『次は何を作ろうかな』と考えるとワクワクが止まらなくなるのは、母に似たのかもしれません」
「卵でご飯をくるむのは難しいから、ご飯の上にだし入り卵をのせ、ラップ越しに手で成形しちゃうんです(笑)」
「卵でご飯をくるむのは難しいから、ご飯の上にだし入り卵をのせ、ラップ越しに手で成形しちゃうんです(笑)」
愛用のエプロンには〈ウエダジュエラー〉のカトラリーモチーフのブローチが。
愛用のエプロンには〈ウエダジュエラー〉のカトラリーモチーフのブローチが。
    材料(2~3人分)
    [たけのこご飯]
    米…2合 
    ボイルたけのこ…200g 
    だし汁…330㎖ 
    だし醤油…大さじ2 
    [だし入り卵]
    卵…3個 
    だし汁…60㎖ 
    だし醤油…小さじ1 
    木の芽…少量 
    [あん]
    だし汁…200㎖ 
    片栗粉…大さじ1弱 
    *だし汁はまとめて作り、分けて使う。水590㎖(約3カップ)にだしパック2袋を入れて一晩おき、濃い口に。
    米をとぎ、薄切りにしたたけのこ、だし汁、だし醤油を加えて炊く。卵をボウルに割り溶きほぐし、だし汁、だし醤油を加えて卵液を作る。フライパンにサラダオイルを適量ひき中火で熱し、ひとり分の卵液を流し込む。フライパンを回しながら広げ、表面が固まりすぎないうちに火を止める。ひとり分のたけのこご飯の上にだし入り卵をのせる。片栗粉を少量のだし汁で溶いておく。残っただし汁を鍋に入れ火にかけ、溶いた片栗粉を加えて弱火にしながら箸でゆっくりかき混ぜる。1分ほど混ぜ、とろみが安定したら火から下ろし、オムライスに回しかける。卵の中央に木の芽を飾る。
山本 薫さん

山本 薫 Kaoru Yamamoto著述家

SNSで料理を披露していたところ話題となり、料理本『山本家の食卓はパクパク、おかわり!』(扶桑社)を出版。手芸や金継ぎ、刺繍など手仕事がプロ級。

photo : Kazumasa Harada edit & text : Marika Nakashima

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