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『だいどこ道具ツチキリ』店主が選ぶ、愛嬌のよさと実用を兼ねる料理道具。Life with Lovely Things 01 / July 02, 2021

愛おしいものに囲まれた暮らしを訪ねた&Premium No. 92「部屋に、美しいもの、かわいいものを」特集。オブジェや雑貨はもちろん、毎日の生活で頼りになる日用品も取り上げています。ここでは本誌より、『だいどこ道具ツチキリ』店主の土切敬子さんの選ぶ「美しく、かわいく、それでいて使い勝手もいい日用品」を紹介。日用品のデザインがよいと、暮らしの風景が美しくなります。

まんまるポット  クラフト・ユー
まんまるポット クラフト・ユー
バーナーワークと手作業で仕上げたポット。丸いフォルムはポットの中で湯がしっかり対流し、茶葉が上下に動いて味と香りをしっかり引き出す理に適った形。「見た目以上にたっぷり水が入り、注ぎ口が短めで洗いやすい。キャンドルウォーマーで温める様子も美しい」と『だいどこ道具ツチキリ』店主の土切敬子さん。シックに輝く真鍮のハンドルも上品。

おいしい料理に導く、愛嬌のある道具たち。

持ちやすい、手入れがしやすい、料理が楽しくなる。そんな台所道具を豊富に揃えた店を営む土切敬子さん。「台所用品って機能面に寄りがちですが、やっぱり見た目は大切。そのほうが気持ちよく料理できるから。シンプルな道具だけだとおもしろくないので、私はどこか愛嬌のあるものも選びたい。道具は買ったら終わりじゃなく、アップデートしていくことも大事で、”こういうものがあったら”と理想を思い描いて探しています。地方の作り手や工場に直接問い合わせすることも。自分のお気に入りを増やしていくのが楽しいんですよね」

キッチンスツール  中村好文

キッチンスツール 中村好文
台所に立つ時間が長い土切さん。ちょっと一息つきたいときに活躍するのが、この端正なハイスツール。「ゆるくカーブした背もたれが腰にフィット。ステップに足がかけられるので、長時間座っていても疲れません」。背もたれがあるから、片手で持ち運びもしやすい。デザインした建築家の中村好文は、住宅設計の名手であり、料理好きとしても知られる。

目玉焼き土鍋  カネダイ陶器

目玉焼き土鍋 カネダイ陶器
伊賀焼の土鍋は1人分の大きさだからこそ愛らしい。「卵を入れて蓋をし、火にかけて3分。火を止めた後、蒸すことで白身がプリッ、まわりはカリカリの目玉焼きに。アヒージョなど、他の料理も作れますよ」。料理が完成したらそのままテーブルに出せるので、洗い物も少なくて済む。写真のヨモギ釉以外に白釉や黒釉など色のバリエーションも。

バターナイフ  笹倉 岳

バターナイフ 笹倉 岳
熱伝導に優れたアルミ製のバターナイフ。「握った持ち手の熱が薄い刃先に効率よく伝わって、カチカチに固まったバターが驚くほど薄く削げる。ハンマーで凸凹に叩き上げながら、アルミをここまでシャープに仕上げる作家の技術にも惚れ惚れします。洗いやすいよう、片面を研磨している心遣いも」。桜の木で作られた、バターケースにもよく似合う。

裁縫箱

裁縫箱 メーカー不明
中央のハンドルが2つに分かれて左右に開く木製のソーイングボックス。キッチン道具以外でも愛嬌を大切にする、土切さんらしいセレクトだ。「北欧のヴィンテージショップで見つけました。2段重ねの箱がそれぞれ左右に積み重なっていて収納力抜群」。箱が階段状に開いて必要なものを見つけやすく、ステーショナリーやコスメなどの収納にも便利。

 
「ポッケ」革のミトン  キヅキ

「ポッケ」革のミトン キヅキ
木の壁にすんなりなじむ素朴な見た目。360度指が入り、熱い鍋ややかんが楽に持てるグリルミトン。適度な厚さで柔らかいため、ミトン越しでもものがしっかり掴みやすい。「牛革は使うたびに手になじみます。鍋敷きとしても使えるんですよ」。持ち運びしやすく、キャンプなどアウトドアのシーンでも活躍する。手入れして、革の表情を育てる楽しみも。

スヌーピー&チャーリーの南部鉄玉  オーエスケー

スヌーピー&チャーリーの南部鉄玉 オーエスケー
スヌーピーとチャーリー・ブラウンに成形した南部鉄玉。鍋ややかんに入れて沸かすだけで鉄分が湯に溶け出し、鉄分を補給できる。「ぬか床に入れるとナスやニンジンなど野菜の色が鮮やかに。砂抜きもできるので貝と一緒に水に浸して使うことも」。ぬかや水の中で横たわっている姿を想像しただけで心が和む。使わないときは飾ってもかわいらしい。

ガーリックポット  千田稚子

ガーリックポット 千田稚子
芽が出てきたり、乾燥したりと、一度に使い切れないニンニクを、最後のひとかけまできっちり使い切るために作られた陶の保存容器。「縦横に開いた穴のおかげで通気性に優れ、ニンニクの持ちがよくなる。蓋の丸い穴に指を引っ掛けられるので、開けるときに蓋が滑り落ちません」。洗練された形がオブジェのようで、目に見える場所に置きたくなる。

photo : Jun Nakagawa text : Mariko Uramoto
※『&Premium』No. 92 2021年8月号「部屋に、美しいもの、かわいいものを」より。


『だいどこ道具ツチキリ』店主 土切敬子

テキスタイルのデザイン、食品関連のアートディレクターとして活躍後、2017年に井の頭公園近くにある自宅を改装し、『だいどこ道具ツチキリ』をオープン。ショップにキッチンが併設され、道具の経年変化もわかる。

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