MUSIC 心地よい音楽を。

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/小島聖 vol.3September 18, 2020

September.18 – September.24, 2020

Saturday Morning

Title.
Fanfare For Treehouse
Artist.
阿部海太郎
2019年に「自由学園明日館」で初めて阿部海太郎さんのピアノを聴いた。
しかしその時はまだ分別つかない子供と一緒だったので全く集中できず席を立ったり座ったりの繰り返しで音の記憶が曖昧だ。それから一年経って、また偶然阿部さんが音楽を担当している演劇を観に行くことになった。演劇自体を座って劇場で見るということが初めての子供を連れての時間だったので心配だったけれど、今回は怖いと言いながらも、途中笑ったりしてぐずることなく、最後まで私も堪能できた。音楽と歌と舞踊が中心の芝居。たまにリズムを刻んでみたりして、カーテンコールではいっちょまえに拍手していた。私は小さい頃にバレエを習っていたからか、人が踊っているのを見ると反射的に体を動かしたくなる。私の脳内では演者と同じように体が使えているつもりだ。それは脳内の話で実際に柔らかく的確にしなやかに私には踊れない。が、阿部さんの音楽でいつか芝居してみたいと思った。
軽やかで主張しすぎるでもなく、しかしちゃんと耳に残る。生で聴くことから始まった阿部さんの曲。CDでもっとこれから聴いてみようと思う。
『The Gardens -Chamber music for Clematis no Oka-』収録。

Sunday Night

Title.
Nowadays/Hot Honey Rag
Artist.
Various Artists
ミュージカルを観劇するのが大好きです。
何度も何度も繰り返し観ているのがシカゴです。
ニューヨークでもロンドンでも旅に出ると必ず観ます。理由はありません、全てが大好きです。
劇場に入る時からワクワクが止まりません。客席に座って前方のセットだけしかない薄暗い舞台を見ている時間も好きです。
指揮者がタクトを振りオーケストラが一音奏でた瞬間から体が疼きます。止められません。顔が笑顔になります。時にロキシーになり、
時にヴェルマになり。こんなにワクワクできる時間って貴重です。見た目を着飾ることは簡単ですが体のラインが見える衣装に身を包み、
指先から足先までの動きに神経を集中させ演じることは、稽古を積み重ねた選ばれた役者にしかできないことです。ミュージカルは舞台で観て、
その後に映画で見ることもお勧めします。映画は舞台では描ききれない人物の背景や心情が豊かになります。どのナンバーも素晴らしいですが
特に「Roxie」は大好き。ですが、今回はエンディングを飾る「Nowadays/Hot Honey Rag」を日曜の夜の一曲に選びます。
『Chicago(Music From The Motion Picture)』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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俳優 小島 聖

1989年NHK大河ドラマ『春日局』でデビュー。1999年、映画『あつもの』で第54回毎日映画コンクール女優助演賞受賞。コンスタントに映像作品に出演する一方、話題の演出家の舞台にも多く出演。最新出演作はカズオ・イシグロ原作の朗読劇『日の名残り』。2020年9月30日(水)~10月4日(日) (会期中の内、10月1日(木)14:00~、10月3日(土)18:00~、10月4日(日)13:00~の回に出演) 詳細はhttps://www.owlspot.jp/events/performance/post_180.html また、画家の平松麻さんとオリジナルの紙芝居をInstagramで発信中。 https://www.instagram.com/omoitsuki_no_iro_to_koe/

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