INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
選び抜いた古物のひとつとして存在する家。ギャラリー『kankakari』主宰の鈴木良さんが暮らす、築100年の京町家。January 25, 2026
豊かな暮らしを追求する人々を訪ねた&Premium147号(2026年3月号)「部屋を心地よく、整える」より、『kankakari』主宰の鈴木良さんの住まいを紹介します。

時代を紡ぐ、家と人との懸け橋として住まう。
現代作家による器やオブジェから、土地の精神性や時代を感じる古物まで。古代から現代へとつながる、美を宿したものが集うギャラリー『カンカカリ』。主宰する鈴木良さん、真実さん夫妻が暮らすのは、100年の時を重ねてきた京町家だ。
良さんはパリで美術を学んだ後、長く現地で暮らしてきた。
「古い建造物に惹かれ、各地の建築を丹念に見て回りながら、古物を蒐集してきました。そんななかで出合ったのが、雑穀問屋だったこの建物でした」
京都への移住を決断し、改装計画は良さん自らが手がけた。2つの和室をつなげ、天井を抜くことで開放感のある居住空間を家の中心に。キッチンが壁づけとなったのは、換気扇が壁面にしか設置できなかったことから。良さんがコーヒーを淹れているのは可動式のカウンターだ。和紙を使った照明は、光の質と空間の相性のよさからセレクト。屋根裏部屋の入り口には梁を残し、茶室のにじり口ならぬ〝またぎ口〞に仕立てた。
「民家のノイズを消しすぎず、この家に調和するように改修しました。元々田舎に住みたかったので、梁や中塗りの土壁を露出にし、心身ともに落ち着く空間に。建具はほぼオリジナル。この家では不完全でミスマッチな部分も楽しんでいます」という。
家具は18世紀前後のフランスのダイニングテーブルに、古いウィンザーチェアやチャーチチェア。日本の水屋箪笥、インドの棚、そして真実さんの実家から譲り受けたソファなど、時間をかけて自然と集まったものがほとんど。保存食材や猫の餌、コード類など、見せたくないものは〈ライト アンド ウィル〉の樹皮籠や古い大工の道具箱などに収納。常に眺めていたい古物や現代作家の作品が、日常にそっと寄り添い、互いを引き立て合う。
「ヨーロッパでも築100年を超える家に住んでいましたが、古い家であるがゆえの制約を受け入れ、不便さが暮らしに馴染んでくるのも心地いいもの。ここに住み、その感覚がより明確になりました。今回改修したこの家に自分の個性は必要なくて、作品でもない。古物や作品のように、この家をいっとき守り、次世代へと引き継げればと思います」


鈴木良/鈴木真実『kankakari』主宰/ギャラリー運営
東京、パリ、広島を経て、2022年京都市北区に『カンカカリ』開業。良さんは2025年開業の料理店『ムベ』改修設計も手がけている。
photo : Yoshiko Watanabe edit & text : Mako Yamato







































