LIFESTYLE ベターライフな暮らしのこと。
築100年以上の町家をセルフリノベーション。45平米のふたり暮らし。March 24, 2026
自分らしい部屋を整えるのに、その“狭さ”はうってつけの条件なのかもしれません。
狭くて、居心地のいい部屋を紹介している&Premium135号(2025年3月号)「部屋と心を、整える」の中から、狭さを上手に賢く利用して、快適に楽しんでいる住まいを紹介します。

ゆったりとした時間が流れる京都市左京区・浄土寺エリア。中根嶺さんがこの地に工房兼ギャラリーと住居を構えたのは5年前のこと。「不動産屋で築100年ほどの町家に出合ったんです。住まいの空間にした2階は、人が住むためには解体が必要で。本当は適度に改装できる空間が理想だけど、これ以上の物件が見つからなくて。給水・排水、床の張り替えなどを、自分が手を動かして頑張る覚悟を決め、改装はすべて自分の手でやり切りました。今は何でもYouTubeで調べられるので、そこで情報収集して」と嶺さん。
小さな部屋が4つあるつくりだったが、壁や天井を抜いてひと繋がりの空間にしたことで広がりが生まれた。たった45㎡だが天井の高さや古い梁ならではの力強さが、空間に奥行きと静かな迫力をもたらしている。
「住まいに求める心地よさの条件として、一般的には耐震性や気密性など安全性に重きを置かれることが多いと思います。でも、僕らはそれが一番大事ではなく、ある程度、雨風凌げればいいという考えで。それよりも空間を自分好みにできるほうを選びたい。“工作の延長”で何でも自分で作るのが好きなんですよ」
その言葉に華子さんも頷く。「まずは何でも作ってみようと思う逞しさと感性に感心しています。キッチンは私の身長に合わせて作ってもらいました。よく使うキッチンツールは飾りながら置きたくて壁面に棚板を。窓のそばの壁にも棚板をしつらえてトタンの箱を並べたりして。乾物やタッパーなどを収めています」
キッチンから振り返るとすぐに食器棚やダイニングテーブルがある。時々、ここで作業することもあり、ハンドドリップでコーヒーを淹れることも日常だ。お茶を飲み、スイーツを頬張っていると愛猫のハレが、テーブルの上に乗ってきてじゃれてくる。小さな空間だからこそ何をするにも物理的な距離が近い。ゆえに、心と心を重ね合わせる親密な時間がごく自然に増えていくのだろう。


中根 嶺、中根華子金工作家、看護師
嶺さんは鍛金の絞りという技法で銅鍋ややかん、照明器具などの工芸品を作り出す。華子さんは看護師と写真の仕事に邁進中。
photo : Yoshiki Okamoto edit & text : Seika Yajima








































