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音楽家の坂本美雨さんと、壮大な歴史と自然を体感できる熊野古道伊勢路へ。 &MIE vol.4March 19, 2024 /〔PR〕

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音楽家・坂本美雨さんが、知られざる三重の魅力を訪ねる連載、第4回。
世界遺産の参詣道と、自然信仰の名残をとどめる古社、風光明媚な海岸線……、
東紀州と呼ばれる三重県南部では、壮大な自然に触れる体験が待っていました。

熊野古道伊勢路。馬越峠の自然石による石畳は、国内トップクラスの雨量を誇る尾鷲の雨に負けないように敷かれた。熊野古道語り部によるガイドも。紀北町側の入り口は『道の駅 海山』 (三重県北牟婁郡紀北町相賀1439−3) から徒歩約10分。ガイドの申し込みは東紀州地域振興公社 (☎0597−89−6172) 。
熊野古道伊勢路。馬越峠の自然石による石畳は、国内トップクラスの雨量を誇る尾鷲の雨に負けないように敷かれた。熊野古道語り部によるガイドも。紀北町側の入り口は『道の駅 海山』(三重県北牟婁郡紀北町相賀1439−3)から徒歩約10分。ガイドの申し込みは東紀州地域振興公社(☎0597−89−6172)。

訪れた人 坂本美雨

さかもと・みう/音楽家。昨年デビュー25周年を迎え、リリース、ライブ活動を精力的に行う。TOKYO FM『ディアフレンズ』パーソナリティ、『村上RADIO』などのラジオ出演や、著者として『ただ、一緒に生きている』(光文社)も刊行。

日本書紀にも記される古来の聖地『花の窟神社』 (熊野市有馬町130 ☎0597−89−2881) 。そのご神体である巨石は、見上げても全貌を把握できないほど。
日本書紀にも記される古来の聖地『花の窟神社』(熊野市有馬町130 ☎0597−89−2881)。そのご神体である巨石は、見上げても全貌を把握できないほど。
熊野川に浮かぶ御船島の周りを進む三反帆。反り返った船首が特徴の船は、『熊野川体感塾』 (南牟婁郡紀宝町北檜枝203 ☎0735−21−0314) 塾長の谷上嘉一さんが自ら手がけたもの。予約制。
熊野川に浮かぶ御船島の周りを進む三反帆。反り返った船首が特徴の船は、『熊野川体感塾』(南牟婁郡紀宝町北檜枝203 ☎0735−21−0314)塾長の谷上嘉一さんが自ら手がけたもの。予約制。

世界遺産登録の節目を迎える、 信仰と自然が溶け合う東紀州。

 古より信仰を集めてきた吉野・高野山・熊野の霊場を結ぶ熊野古道。数えきれないほどの人々を熊野三山へと導いてきた参詣道だ。「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界遺産に登録されてから20年を迎えた今年、改めて注目が集まっている。
 和歌山・田辺から続く中辺路(なかへち)、奈良・吉野から向かう大峯奥駈道など6つあるルートのうち、伊勢神宮から続く伊勢路は唯一、三重を通る道。「伊勢へ七度、熊野へ三度」と「東海道中膝栗毛」にも書かれたように、とりわけ江戸時代に人気を誇った参詣道は、今も往時の姿を残し受け継がれている。連なる石畳や青々とした木々、熊野灘を一望する峠、眼下に見る棚田と移り変わる多彩な景色も、伊勢路ならではの魅力だ。坂本美雨さんが足を運んだのは、全長約170㎞の伊勢路の中ほどにある『馬越峠』。紀北町から尾鷲市へと続く、約2・2㎞の道のり。国道のそばにある入り口を上がれば、たちまちタイムトリップしたような気持ちに。「折り重なるように続く石畳が苔むす様子や、すっと伸びたヒノキからの木漏れ日の美しかったこと。昔の人もこの景色を眺めながら歩いたのだと思うと心が温かくなりました」と坂本さんは振り返る。石の橋を渡り、かつて人々が旅の安全を祈願した石仏にも手を合わせつつ歩き終えれば、心地よい疲れとともに心が晴れやかになる。
 山歩きのお供にしたいのは、三重県南部から和歌山県にかけて作られる、さんま寿司。回遊魚のさんまが東紀州で獲れる頃には、程よく脂も落ちて身も締まっている。そのさんまを酢で〆た、素朴な郷土料理だ。
 熊野三山のうち熊野本宮大社と熊野速玉大社の間には、川の参詣道と呼ばれた熊野川が流れている。平安や鎌倉時代には参詣道として人々を運び、後に昭和30年代までは物資の運搬に使われた川舟を体験できるのが『熊野川体感塾』の川下り。川面を滑るように走る、3枚の帆を持つ三反帆からの眺めはまた新鮮なもの。
 海、山、川と雄大な自然が残る東紀州ならではの世界遺産に触れるため、次に坂本さんが向かったのは熊野の地。『花の窟神社』は伊弉冉尊が葬られた御陵であり、日本最古の神社ともいわれる古からの聖地である。ご神体は高さ45mもの大きな岩で、現代に至るまで社殿がないことも太古の自然崇拝を思わせる。目の前に広がる『七里御浜海岸』沿いには、巨大な獅子が海に向かって吠えるような姿の『獅子岩』、熊野灘の荒波に削られた海蝕洞が連なる『鬼ヶ城』と、次々と現れる奇岩巨岩はまさに圧巻。七里御浜海岸では滑らかな石に触れ、海岸に大の字に寝そべって波の音に耳を傾けた坂本さん。「グランドキャニオンを思い出すほどに迫力ある鬼ヶ城をはじめ、見るものすべてが大きくてドラマチック。冬でも暖かくて、青い海と空を眺めた海岸での時間も心地いい。岩と石に触れ、自分自身も自然に還る、そんな気持ちになりました」
 熊野古道伊勢路に沿って南へ。人々の信仰心が育んできた歴史や文化に触れ、大切に守られてきた大自然が残る東紀州を巡る旅。「巡礼の地としての熊野三山や熊野古道には、少し畏れ多いイメージがありました。けれど聖地を目指した人々の思いをなぞるように祈りの道を歩き、豊かな自然に触れることで、その印象はがらりと変わりました。まだ出合っていない三重の魅力はほかにもあるはず。もっと、深く知りたいと思う旅でした」

地盤の隆起と風化、波の浸食によって生み出された『鬼ヶ城』 (熊野市木本町1835−7) 。熊野灘に面して奇岩奇勝の絶景が1㎞ほど続く。毎年8月には『鬼ヶ城』を背景に「熊野大花火大会」が開催される。
地盤の隆起と風化、波の浸食によって生み出された『鬼ヶ城』(熊野市木本町1835−7)。熊野灘に面して奇岩奇勝の絶景が1㎞ほど続く。毎年8月には『鬼ヶ城』を背景に「熊野大花火大会」が開催される。
七里御浜に面して吠える獅子のような姿の『獅子岩』 (熊野市井戸町 国道42号沿い) 。
七里御浜に面して吠える獅子のような姿の『獅子岩』(熊野市井戸町 国道42号沿い)。
熊野市から紀宝町にかけて約22㎞続く、日本一長い砂礫海岸『七里御浜海岸』。熊野灘の荒波に磨かれた滑らかな小石に覆われ、果てしなく感じられるほどに壮大な風景。
熊野市から紀宝町にかけて約22㎞続く、日本一長い砂礫海岸『七里御浜海岸』。熊野灘の荒波に磨かれた滑らかな小石に覆われ、果てしなく感じられるほどに壮大な風景。
『さんき茶屋』 (尾鷲市矢浜岡崎町261−1 ☎0597−22−6111) のさんま寿司¥880。尾鷲市ではからしを使うのが定番。
『さんき茶屋』(尾鷲市矢浜岡崎町261−1 ☎0597−22−6111)のさんま寿司¥880。尾鷲市ではからしを使うのが定番。
三重県南部の東紀州エリア。 伊勢神宮 伊勢志摩 三重
Area Data

三重県南部の東紀州エリア。北から南へ、紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町と5つの市町が連なっている。熊野古道『馬越峠』へはJR相賀駅、『さんき茶屋』はJR尾鷲駅、『鬼ヶ城』『獅子岩』『花の窟神社』『七里御浜海岸』へはJR熊野市駅が最寄り駅となる。『熊野川体感塾』に向かうなら、隣接する和歌山県のJR新宮駅から紀宝町町民バスを利用したい。とはいえ公共交通機関は本数がかなり限られており、借りられるレンタカーも少ないため、松阪市や伊勢市を起点にレンタカーで向かうのがおすすめ。

三重県南部の東紀州エリア。 伊勢神宮 伊勢志摩 三重

photo : Mai Kise text : Mako Yamato illustration : Junichi Koka 衣装提供:モンベル 提供:みえ観光の産業化推進委員会

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