TRAVEL あの町で。
音楽家の坂本美雨さんが訪ねる、まだ知らない”神宮”と伊勢志摩のストーリー &MIE vol.1September 20, 2023 /〔PR〕
三重の持つ魅力を、音楽家の坂本美雨さんと訪ねる連載、第1回。
足を運ぶ人が絶えない聖域・伊勢神宮が「日本人の心のふるさと」といわれるゆえんを、
神宮やお伊勢参りにまつわる食を味わいながら、解き明かす旅へ出ました。
伊勢神宮Ise Jingu
正式名称は神宮。内宮(ないくう)と外宮(げくう)を中心に、伊勢志摩とその周辺に点在する125の宮社からなる。常若(とこわか)の精神に基づき20年に一度、最大最高のお祭りである式年遷宮が行われる。
▷内宮(皇大神宮)/三重県伊勢市宇治館町1 ▷外宮(豊受大神宮)/三重県伊勢市豊川町279 ☎0596−24−1111(共通)
訪れた人 坂本美雨
さかもと・みう/音楽家。昨年デビュー25周年を迎え、リリース、ライブ活動を精力的に行う。TOKYO FM『ディアフレンズ』パーソナリティ、『村上RADIO』などのラジオ出演や、著者として『ただ、一緒に生きている』(光文社)も刊行。
神宮を巡って心洗われ、 美味に触れ奥深さを知る。
二千年もの長きにわたり五穀豊穣を願い、国民の平安が祈り続けられてきた伊勢神宮。天照大御神を祀る内宮は神宮の森に抱かれて、広大な敷地に清らかな空気が満ちる。一方で豊受大御神を祀る外宮は天照大御神の食を司る神。一日も欠かすことなく朝夕、神々に供えられる神饌(しんせん)は伊勢志摩の地で育まれた米や野菜、海水から作られた塩、鯛や海藻など海の幸からなる。御食国(みけつくに)として知られる伊勢志摩には、豊かな自然がもたらす美味は欠かせないものなのだ。
坂本美雨さんの三重の旅はまず神宮への参拝から。「朝の空気は本当にみずみずしくて、まるで細胞が蘇るよう。お参りするときはもちろん、参道を歩いたり木に触れたりするだけで、はっと心に響く特別な気持ちになりました。内宮で手を清めた五十鈴川の水も冷たくて綺麗で。その水が田畑へ流れ、海へと繋がってゆき、神様や私たちがいただく食べ物を作ると思うと、悪いものを流すわけにはいかないなと。なによりも印象的だったのは広い境内の隅々までが美しく、心を込めて掃除や手入れが行われていること。お参りをしたあとは、日々の暮らしを改めて見つめ直したいと思うようになりました」と振り返る。
外宮での参拝時には日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)を目にすることができ、祈りと食との関係により一層、思いを馳せることとなった坂本さん。「伊勢志摩の地で育まれた食材を私もいただいて、御食国といわれる理由がわかった気がします。鰹節や海の幸、塩、米、野菜とどれもおいしくて豊か。その食材が神饌として供えられていると知り、神様がぐっと身近に感じられるようになりました」
神饌でもっとも重要な食材といわれる鮑は古より海女漁によって獲られてきた。鳥羽・相差にある『海女小屋 相差かまど おぜごさん』では、実際の海女小屋で海の幸を炭焼きにして味わう。今も活躍する海女さんたちの話を聞きながらというのも醍醐味だ。志摩半島の東南端にある『かつおの天ぱく 鰹いぶし小屋』では、江戸から伝わる手火山製法の鰹節づくりを見学してからの実食を。鰹節もまた神饌に欠かせない食材で、歴史をひもとく時間も楽しい。
さらに伊勢へと戻って食の旅はまだまだ続く。お伊勢参りのブームは江戸時代に始まり、60年に一度の大流行があったという。長旅で疲れた伊勢詣での人々の胃にも優しい、ファストフードのはしりとして食べられるようになったのが伊勢うどん。そして街道の茶屋の名物として作られたのが餅で、赤福をはじめ今も三重の各地では多くの名物餅が愛されている。『伊勢うどん まめや』では熱々の伊勢うどんを頬張り、『へんばや商店 本店』では名物餅のひとつのへんば餅を味わった坂本さん。
伊勢神宮への参拝とともに、食という視点で伊勢志摩を巡った今回の旅。「伊勢神宮にまつわるおいしいものを様々にいただいて、人々が神様を敬い、守り続けたいと願ってきたことを深く理解できました。この聖なる地と豊かな自然をもっと知るために、また来たいと思っています」
伊勢信仰の歴史を今に残す、4つの場所。
海女小屋 相差かまど おぜごさん
Amagoya Osatsukamado Ozegosan
素潜りで鮑やサザエを獲る海女が、今も数多く活躍する志摩・鳥羽。現役の海女によるもてなしで、囲炉裏で焼いた海鮮を満喫できる海女小屋は、この地ならではの贅沢。
▷三重県鳥羽市相差町1238 ☎0599−33−7453(相差海女文化資料館) ランチ11:30~13:30 ティータイム14:00〜、15:00〜 不定休 ランチ1人¥3,850、ティータイム1人¥2,200。要予約。奈良市鳴川町19 ☎070−1800−0789 11:30〜18:00(定食〜15:00) 火水休ほか不定休 木曜は喫茶のみ営業。ネルドリップの自家焙煎コーヒーも。
伊勢うどん まめや
Ise Udon Mameya
極太で軟らかな麺を、たまり醤油を使った黒いタレに絡めて食べる伊勢うどん。三重県産小麦・あやひかりを使ったもちもちの自家製麺、2種類の節と醤油を使ったコク深いタレが『まめや』の味。
▷三重県伊勢市宮後2−19−11 ☎0596−23−2425 10:00~15:00(14:45LO) 17:00~19:30(19:15LO) 土日祝10:00~19:30(19:15LO) 火休ほか水不定休
へんばや商店 本店
Henbayashoten Honten
伊勢神宮へと向かう宮川の渡しには、馬を返す場所=返馬所があり、それが名の由来となったへんば餅。米粉を蒸してから搗いた餅は歯切れよく、焼き目が香ばしい。中には1日寝かせて馴染ませた、甘さ控えめのこし餡。
▷三重県伊勢市小俣町明野1430−1 ☎0596−22−0097 8:00~17:00(イートイン9:00~16:00) 月休(祝日の場合、翌日休)
かつおの天ぱく 鰹いぶし小屋
Katsuono Tenpaku Katsuoibushigoya
漁師町・波切で受け継がれているのは、地中の穴で薪を燃やし、せいろに並べた鰹を燻しながら乾燥させる手火山製法の鰹節。いぶし小屋見学後は、削りたての鰹節を炊きたて土鍋ご飯と共に味わえる。
▷三重県志摩市大王町波切393 ☎080−2612−3801 6~9月10:00~11:00 10~5月11:00~12:00 15:00~16:00 日休ほか不定休 4日前までの要予約。
三重県の中東部、志摩半島を中心に広がる伊勢志摩エリア。伊勢神宮のある伊勢へは、名古屋からはJRもしくは近鉄で、大阪・京都方面からは近鉄で向かう。伊勢神宮・外宮へはJR・近鉄伊勢市駅から徒歩5分。内宮へは最寄りの近鉄五十鈴川駅から徒歩30分と少し離れているため、近鉄宇治山田駅や外宮からバスやタクシーの利用が便利。伊勢志摩といっても広範囲にわたっており、とりわけ志摩や鳥羽には最寄り駅から遠いスポットも多く、公共交通機関が限られる場所もあるため、効率よく回るにはレンタカーの利用がおすすめ。
リニューアルオープンしたばかりのアンテナショップ『三重テラス』へ。
東京・日本橋から三重の「食」「風土」「歴史」「伝統」「文化」などの魅力を伝える『三重テラス』が、この9月にリニューアルオープン。食品や伝統工芸品の販売のほか、郷土料理やオリジナルメニューを楽しめるレストラン、三重の魅力発信イベントも開催。『かつおの天ぱく』の鰹節や、様々な味わいの伊勢うどんなども販売する。
▷東京都中央区日本橋室町2−4−1 YUITO ANNEX 1・2F ☎03−5542−1035 ショップ10:00~20:00 レストラン11:00〜22:00(21:00LO) 年末年始休
photo : Mai Kise illustration : Junichi Koka text : Mako Yamato 提供:みえ観光の産業化推進委員会