FOOD 食の楽しみ。
料理家・中川たまさんに習う、アレンジ自在の保存食で作る、爽やかな夏料理。July 09, 2025
日常的に料理をしている、いわゆる料理が生業のプロたちは、ふだん家ではどんな料理を作るのか。本誌ゆかりの料理家やシェフに、夏ならではのメニューを教えてもらいました。
&Premium特別編集(2022年8月発売)「真似をしたくなる、78人の手料理」より、料理家・中川たまさんに教わった「鯵のオイル漬け」、「スイカとバジルのグラニテ」のレシピを特別にwebサイトでも紹介します。
自宅でささっと真似したくなるような、おいしくて見た目も楽しい料理の数々、ぜひお試しあれ。
そのままでも手を加えても。アイデア次第で広がる保存食の楽しみ。
鯵のオイル漬け
旬の食材を使った保存食を得意とする料理家の中川たまさん。「夏」というテーマで教えてくれたのが「鯵のオイル漬け」。コリアンダーやフェンネル、実山椒などを加えてオイル煮した鯵は、どこまでも爽やかな風味。
「鯵にハーブや薬味の風味がついているので、冷やした中華麺にのせるだけで和え麺に。具なしのポテトサラダにのせてサーブするだけでも気の利いた前菜になりますよ」
鯵のオイル漬け
〈材料〉作りやすい分量🙆♂️
鯵…中5尾
新生姜…スライスしたもの10枚
コリアンダー…適量
フェンネル…適量
青唐辛子…2本
実山椒…大さじ1/2くらい(なければ塩漬けの実山椒または花椒でも)
米油、または太白胡麻油…適量
塩…少々
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〈作り方〉
1. 鯵は、3枚におろして皮をはぎ、中骨を取る。塩を強めにふり、15分ほどおく。鯵から出た水分をキッチンペーパーで押さえて取る。青唐辛子は、半分にする。
2. フライパンに少量の油をひき、鯵をなるべく重ならないように並べ、薬味や、ハーブの茎の部分を散らす。油をひたひたに注ぎ、弱火にかける。鯵に火が通ったら火を止め粗熱が取れたら、ハーブの葉の部分を加えて保存容器に入れて冷蔵庫で保存する。
*鯵の和え麺にアレンジ。鯵のオイル漬けをほぐし、一緒にオイルに漬けた薬味やハーブ、大葉、ミョウガは食べやすい大きさに刻む。麺を茹でて冷水でしめ水気をきる。器に盛って、切ったすだちとキュウリをのせ、好みで醤油少々を回しかける。食べる直前にすだちを搾りよく和えて食べる。
スイカとバジルのグラニテ
中川家のもうひとつの定番はスイカの果肉に塩とワインビネガー、バジルの葉を混ぜて凍らせたグラニテ。フォークでガリガリ削れば天然果汁のシャーベットとしても楽しめる。
「オリーブオイルをかけたモッツァレラチーズに添えればカプレーゼ風の前菜に。暑い日にはグラニテのひんやり感が心地いいです」
次なるアレンジはトマトのガスパチョ。隠し味に梅干しを加えるのが肝で、トマトの酸味とスイカの甘味を塩梅よくつないでくれる。
「グラニテが溶けるにしたがってスープの味も徐々に変化していきます。食べ始めはシャリシャリ、最後にはトロッとしたスープになるので、その食感の変化も楽しいんです。スイカも鯵も身近な食材で、夏場には新鮮なものが手に入りやすいです。旬の恵みを保存食に仕立てて味わってみてください」
スイカとバジルのグラニテ
〈材料〉作りやすい分量
スイカ(皮を取り除いたもの)…300g
バジルの葉…10枚くらい
白ワインビネガー…大さじ1/2
塩…ひとつまみ
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〈作り方〉
1. スイカは一口大に切り種を取る。保存袋にスイカを入れて袋の上から手でもみ粗めに潰しておく。
2. ちぎったバジル、白ワインビネガー、塩を加えよく和える。バットに移しラップをして、冷凍庫で凍らせる。
*トマトと梅干しのガスパチョにトッピング。トマトは、湯むきして皮を取り、一口大に切る。梅干しは種を取り刻む。それをミキサーにかけてなめらかになるまで攪拌し、冷蔵庫で冷やしておく。食べる直前にガスパチョを注ぎ、フォークでかいたグラニテを上に盛りオリーブオイルを回しかける。

photo : Mina Soma edit & text : Yuriko Kobayashi