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Book

SHUNKODO 春光堂書店


Book 47 / December 09, 2016 『大好き!ヒゲ父さんーいたずらっ子に乾杯!』 e.oプラウエン(青萠堂)

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懐かしいようなイラストが、なんともいい味わいを出しているこの漫画絵本は、ドイツで戦前に描かれたもの。4コマ程度のストーリーに、お父さんと子どものやりとりがユーモアたっぷりに描かれ、読み手を思わず笑顔にしてくれる。しかし、この本には背景にもう一つの物語がある。戦争が終わる一年前、作者はナチスに逮捕され、投獄された後に自死を選び一生を閉じるのだが、彼は最後まで反ナチスを貫いた人だった。この本は、そんな時代に誰をも笑顔にする漫画という手法によって灯された、平和を願う幸福の灯なのだ。


Book 46 / December 02, 2016 『ちいさな島』 作 ゴールデン・マクドナルド 絵 レナード・ワイスガード 訳 谷川俊太郎(童話館出版)

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この本を知ってからずっと後に、これが『おやすみなさいおつきさま』などの絵本で知られるマーガレット・ワイズ・ブラウンが、ゴールデン・マクドナルドというペンネームを使って書いた絵本だと知って驚いた。ちいさな島の豊かな自然を綴ったこの物語は、本の最後に出会うこの文章にその魅力が凝縮されている。「ちいさな島でいることはすばらしい。世界につながりながら じぶんの世界をもち かがやくあおい海に かこまれて」翻訳は谷川俊太郎さん。この絵本にはシンプルな哲学が込められている。


Book 45 / November 25, 2016 『木に持ち上げられた家』 作 テッド・クーザー 絵 ジョン・クラッセン 訳 柴田元幸(スイッチ・パブリッシング)

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土地を切り開き、建てられた一軒の家。父と子どもたちが暮らしたその家も、周囲の環境も、時の移り変わりとともに少しずつ変わってゆく。無心に神経質なまでに家の草刈りをする父親と子どもたちの間、田舎と都市の間、持ち主がいなくなった後の家と、その家を持ち上げ続けてゆく木々の間、この物語に登場するそんな様々な「間」の中にも、大切な物語が詰まっている。自らの経験や人生を通して、その「間」に問いや思いを巡らすと、さらに深みを増して読むことができる大人のための絵本。


Book 44 / November 18, 2016 『雪がふっている』 レミー・シャーリップ 訳者 青木恵都(タムラ堂)

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絵本作家のレミー・シャーリップが、親交のあった音楽家のジョン・ケージに捧げた絵のない小さな絵本。手触りのいい厚い紙には一行の文だけが印刷され、あとは白い余白が広がっている。「見てごらん 雪がふっている」とはじまる物語。人は想像することでそこに風景を描くことができる。これは、そんな『無限で自由な想像の風景』を味わいながら読む本。読み手がいて初めて「絵本」として完成する物語なのです。


SHUNKODO 春光堂書店

1918年の創業以来、「山梨県の春日町に知識の光を発信していく」という想いを店名に掲げる。読書会、読書ワークショップなど「人と人」「人と本」をつなぐ出合いを創造することをコンセプトに読書活動をしている。
http://harulight.com/