Water 南アルプス「水の山」通信
山梨・北杜より小鳥が教えてくれる自然のつながり。vol.8 / June 19, 2017
甲斐駒ケ岳の麓にある〈サントリー天然水 南アルプス白州工場〉。隣接する〈白州蒸溜所〉の敷地内にあるバードサンクチュアリを、サントリーホールディングスの山田健さんと歩いた。山田さんは全国で「サントリー 天然水の森」の企画・研究・整備活動を推進している。植生から鳥の種類、生物の起源、地質学、環境学まで話が広がり止まらない。知識と知恵の塊のような人だ。
「サントリーは1973年に鳥を環境のバロメーターとし、野鳥がすめる環境をつくる活動『愛鳥キャンペーン』を始めました。この森は、小鳥たちと一緒に多様性をつくっている。小鳥は翼があるから、いやなことがあると飛び立ってしまう。だけど、いい環境にしてあげれば、戻ってくるんですよ」と、教えてくれる。
現在、この森には年間約50種類の野鳥が訪れるそうだ。鳥が生息しやすい環境とは、どのような場所なのだろう。
「植物にとっていい環境ということです。それは土の中がいい環境であることにもつながる。多種多様な落ち葉や根があると、土壌動物も微生物も多様となり、土はフカフカになる。そうした土には地下水を育む力と浄化力がある。僕らは様々な生物の力を借りて森の土を耕し、磨かれた安全・安心な水をもらうんです」
鳥が好む環境を維持することは、天然水を生む環境を維持することにほかならない。すべてが連鎖していることを、小さな鳥たちは炭鉱のカナリアのように教えてくれるのだ。