台湾スイーツ食べ比べ

ふわふわ食感が大人気! 台湾かき氷の王道。【台湾スイーツ食べ比べ】September 15, 2025

暑い夏が長く続く台湾。かき氷の種類もバラエティに富む。「雪花冰」はそのなかでも、ひと際高い人気を誇る。ひらひらとヒダが折り重なる美しい見た目と、口の中でふわっと溶けていく食感は誰もを魅了する。従来のかき氷とは異なり、ミルクや砂糖を加えたものを高温でかき混ぜ、その後、急速冷凍した「冰磚」という円柱の氷塊を使用。氷自体に香りがあるのが特色だ。もともとはミルク風味のみだったが、最近はピーナッツ味やスイカ味、マンゴー味、コーヒー味など種類豊富。今回は若者で賑わう赤峰街に昨年オープンした『禾沐』と、1968年に創業した士林夜市内にある『辛發亭』をご紹介。前者では進化形の雪花冰が楽しめ、後者では定番から変わり種まで、あらゆる雪花冰が味わえる。
ふわふわ食感が大人気! 台湾かき氷の王道。【台湾スイーツ食べ比べ】

口の中でシュワッと消えていく新感覚の雪花冰。

ここの雪花冰は綿あめのような形と食感がウリで、ヒダがないのが特色。写真は夏季限定の「翡翠青檬」。台湾南部の屏東産レモンで作ったかき氷に自家製レモンシロップをかけ、口の中ではじけるキャンディもトッピング。具材には宜蘭県太平山で採れた愛玉の種で作った弾力性のあるゼリーや青マンゴーを砕いたもの、さらに柚子アイスを添えている。夏にはスイカ味やマンゴー味もあり、いずれも小規模農家から仕入れたフルーツを使用。定番メニューには複数の茶葉で作ったタピオカミルクティー味や、台南の老舗ブランドの麵茶(小麦粉と砂糖を炒ったもの)を用いたものなどがある。「かき氷を通して郷土の文化や食材を広めたい」という店主カップルの意気込みに触れてみたい。

禾沐
フームー

台北市大同區赤峰街49巷26號 ☎0918−038−366 12:00~21:00 無休 臨時休業はGoogleマップで告知。写真メニューは180元。

禾沐 フームー
ふわふわ食感が大人気! 台湾かき氷の王道。【台湾スイーツ食べ比べ】

レトロ風情な店で味わう、秘伝の雪花冰。

士林夜市内の狭い路地にある店。創業時は金時豆やフルーツがのった「みつまめ」と呼ばれるかき氷が看板商品だったが、四十数年前に2代目が雪花冰を開発。当初は注文する人が少なかったが、あっという間に評判となり、今や雪花冰の名店として知られている。ニュージーランド産の粉ミルクを使用した「冰磚」は毎日8時間かけて製造。そのレシピは店主しか知らないという秘伝のもの。時代とともに種類は増え、濃厚なピーナッツ味や抹茶アズキ味、コーヒー味のほか、ミルク氷にタピオカをのせたものなどもある。季節限定のマンゴー味やスイカ味も含めると、全部で18種。写真はミルク氷に蜂蜜をかけ、アロエをのせたという変化球。さっぱりとした爽やかな甘さの虜になってしまう。

辛發亭
シンファーティン

台北市士林區安平街1號 ☎02-2882-0206 14:00~23:00 土日13:00~24:00 台風や大雨以外無休、冬季は週に一度休み。写真メニューは90元。

辛發亭 シンファーティン

文/片倉真理 写真/片倉佳史


台北在住ライター・コーディネーター 片倉 真理

片倉真理
1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 142あの人の読書の時間と、本棚。2025.08.20 — 980円