MUSIC FOR BETTER LIFE
師走の作業用BGM -Negicco編-/MUSIC FOR BETTER LIFE #13 December 2025December 06, 2025

忙しいときにはアイドルソングを聴きたくなる!?
このプレイリスト連載も始まって丸1年が経ちました。昨年も、師走の忙しい時期に心地よいテンポをもたらしてくれるようなプレイリストを制作しましたが、個人的には忙しくなるとアイドルソングも聴きたくなります。否が応でもテンションの上がるサウンドや、ストレートな歌詞。一聴するとキャッチーで、リピートするほどに発見がある……、アイドルソングって素晴らしいですね。
今回は僕が高校時代から15年来愛してやまない、新潟県のローカルアイドル・Negiccoの曲(+ソロ曲・カバー曲)でプレイリストを作りました。Negiccoはいわゆる“ロコドル”の先駆けとしてよく知られた存在だと思いますが、初めての方のために紹介すると、Nao☆、Megu、Kaedeの3人の女性アイドルグループで、始まりは2003年。地元のJAが展開するネギPRキャンペーンのために1か月間限定で結成されました。それから活動は延長され、解散することなく、今年23年目のアダルト・オリエンテッド・アイドル(©宇多丸)。信じられない、本当にありがとう(ただのファン)。今日までの山あり谷あり、紆余曲折、波乱万丈のストーリーもとっても魅力的で、活動中期からのファンである僕でさえも涙無しには振り返ることができません(なんてったって3人とも既婚でママになったのですから)。ただ、それについて書き始めるととんでもなく長くなるので、ぜひ各々でお調べいただくとして、ここでプレイリストとして紹介することにしたのは、楽曲が素晴らしいからにほかなりません。地元の音楽プロデューサーにて参謀・connieを筆頭に、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、小西康陽、冨田ラボ、堀込高樹(KIRINJI)、Lamp、池田貴史(レキシ)、土岐麻子、一十三十一といった錚々たる面々のプロデュース・楽曲提供を受けており、さらにNegiccoの3人もそれらを自分たちのものに昇華しているので、本当に良曲揃いなのです。3人それぞれソロ活動も行っていて、その楽曲もまた素晴らしい……。もう知っている人もまた聴きたくなってきたのではないでしょうか。絞りに絞って、楽曲の幅広さを感じられるような全44曲を選びました。
以下、長くなりますが1曲ずつ(私的な角度も含んで)紹介します。気になる曲があったらちらっと読んでみてください。
1. サンシャイン日本海
田島貴男プロデュース。個人的にも一番好きな曲。キャッチーな「サンシャイン!」コールと、ある種ベタな歌謡曲アプローチがいま聞くと一層新鮮です。歌詞に地元の名物が詰まっていて、これを聴いていると新潟に行きたくなります。当方も2016年、ジャケが撮影されたであろう、信濃川にかかる萬代橋へ聖地巡礼しました。↓

2. I LOVE YOUR LOVE
西寺郷太(NONA REEVES)による楽曲提供。疾走感のあるディスコ・ポップで、メロウネスあふれる歌詞もいいです。Negiccoのラブソングは、歌詞に表現される関係が男女とも友人とも親子とも(あるいは、Negiccoとファンとも)言い切れない、絶妙な塩梅のものが多く、それも長く愛聴できるひとつの理由だと思います。
3. お久しぶりです・お元気ですか
小西康陽プロデュース。2023年、結成20周年に際して発売されたミニアルバム「Perfect Sense」に収録。3人とも結婚・出産を経て久しぶりにリリースされた曲で、歌詞の端々にあるピチカートのセルフオマージュにグッときます。それにしても小西康陽の詞世界ってどうしてこうも素敵なんでしょうね……実に平易な言葉で心に残るフレーズを編み出していますよね。
4. ジョリ・バブリ・ラヴリィ
ピチカート・ファイヴのカバー。ブリッジのウィスパーボイスが最高。この曲も収録されている、5組のアイドルがピチカートの楽曲をカバーしたアルバム「アイドルばかりピチカート」はマジで名盤です。
5. いけない
Kaedeのソロワークから、作詞 川辺素、作曲・編曲 ミツメの一曲を。どこにでもあるような住宅地の風景を思わせる荒涼な詞に、切ないKaedeのヴォーカルがよく合っています。
6. 雫の輪
作曲・編曲は冨田恵一(冨田ラボ)。ここまでスローに歌い上げる系の曲はNegiccoのなかでは珍しい方かもしれません。徐々に芳醇さを増すサウンドが力強い歌をさらに引き立てる……。2018年の曲ですが、冨田ラボの金字塔「Shipbuilding」に収録されていても馴染みそうな曲で、'00年代のテイストを色濃く感じます。
7. ポーカーフェイス
Meguのキュートボイスが炸裂。耳馴染みのいいサウンドに乗っかる自省的な歌詞にドキッとします。ブリッジのギターソロもかっこいい。
8. 土曜の夜は
作曲・編曲は角屋博栄(ウワノソラ)。生バンドのノスタルジックなサウンドに、connieのロマンティックな詞……いいぜ……!ドラマティックな間奏からのコーラスも聴きどころです。シュガー・ベイブ「SHOW」のオマージュだという話もあって、話題になりました。この曲が収録されたアルバム「ティー・フォー・スリー」は、大人になりつつあったNegiccoの変化が色濃く感じられ、聴くほどに味がする名盤。生音が多いのでアナログもおすすめです。
9. ジュピター
再びKaedeのソロワーク、そして作詞・作曲は引き続き角屋博栄(ウワノソラ)。この楽曲が収録されたミニアルバム「秋の惑星、ハートはナイトブルー。」は角屋博栄、染谷大陽(Lamp)の共同プロデュースで、それぞれの色がとっても濃く出ている名盤です。これもアナログで聴いてほしい。

10. ねぇバーディア
プロデュースは池田貴史(レキシ)。ポップ全開、元気いっぱい。ちなみにバーディアとはアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」で繰り返されるコーラス「ba-de-ya」を人名にしたものだそう。はて?歌詞全体が「September」のオマージュなんだそうですが、個人的には「何気なくね」「さりげなくね」といった「ね」の使い方や「もう止まらないネギ」といったワードセンスに「めっちゃレキシやん!」と思った記憶があります。アイドルポップとしての完成度の高さをひしひしと感じる曲です。
11. Tell me why?
作詞はあのキン肉マンの「ゴー!ゴー!マッスルー!」やドラゴンボール「チャ〜ラ〜ヘッチャラ〜」を生み出した森雪之丞。改めて調べてみたらこの方、シブがき隊「100%…SOかもね!」や布袋寅泰「バンビーナ」、記憶に新しい氷川きよし「限界突破×サバイバー」も手がけていらっしゃいました。勉強不足でした、めちゃくちゃ聴いてた。
12. 1000%の片想い
Shiggy Jr.のヴォーカル、池田智子が歌唱参加。編曲もShiggy Jr.。タイトル通りの甘酸っぱい胸キュン1000%ソングです!アルバム「Rice&Snow」に収録。
13. 江南宵唄
アルバム「ティー・フォー・スリー」から。ミステリアスなサウンドが新鮮で、初めて聴いたときのことがずっと忘れられません。作詞は大坪加奈、作曲・編曲もSpangle call Lilli line。
14. 恋のEXPRESS TRAIN – あずさ
作詞・作曲connieの人気曲「恋のEXPRESS TRAIN」を北園みなみがジャジーにアレンジ。ヴォーカルも再録され、大人っぽさが滲み出ています。曲はさることながらタイトルも秀逸。
15. 午前0時のシンパシー
作詞 一十三十一、作曲 一十三十一・PARKGOLF。ダンスミュージック的でアグレッシブなアプローチ。それにしてもNegiccoはどんな曲も自分たちのものにしますねえ……。
16. 光のシュプール
作詞・作曲 connie、編曲 田島貴男。グループの中でも本格派のNao☆のヴォーカルが光る、大人の恋世界が描かれた一曲。めちゃくちゃ寒そうだけど美しいジャケは、フィンランドで新津保建秀が撮影。
17. あなたとNegi With You!
作詞・作曲 connie、編曲sugarbeans。2024年のアルバム「What A Wonderful World」収録。どんどん変化するNegiccoにおいて、こうしたconnieの手がけるポジティブソングは、初期から脈々と続く彼女たち独自の魅力を思い出させてくれますね。
18. RELISH
イントロ〜ヴォーカルの流れでのっけから心掴まれる一曲。NEGiBANDの演奏もグルーヴィーです。こちらもアルバム「ティー・フォー・スリー」に収録。一行目から素晴らしい詞は新潟県出身の作詞家、岩里祐穂によるもの。
19. 矛盾、はじめました。
作詞 土岐麻子、作曲 さかいゆう。タイトルでもある「矛盾、はじめました」をキーワードに、理想と現実の狭間にある心境を描く詞が印象的です。それと、アナログで聴いたときのサウンドのリッチさというか分厚さというか、とにかくびっくりしまして、全く違う曲に聴こえるほどでした。
20. Sneakers!!!
作詞 小田朋美、作曲 connie。「サンシャイン日本海」に並ぶマイフェイバリットです。カッティングギターに口笛、早口言葉などなど、実験的なアプローチが続き何度聴いても飽きがこない。
21. 相思相愛
作詞・作曲 tofubeats。イントロの「もしもーし」の話し声や、ヴォーカルの素の表情を際立てるディレクション、にぎやかなコーラスなど、実にtofubeatsらしい仕上がりで個人的にとても好きです。
22. Make Up Prelude – HOUSE REMIX
はいっ!このあたりで折り返しのインスト曲です。みずみずしいサウンドはライブでの出囃子にもなっています。
23. 新しい恋のうた – PR0P0SE remix
2010年代中盤、Negiccoのシングルにはこうしたリミックスがよく収録されていて、それも楽しみのひとつでした。PR0P0SEのラッパーはtofubeats「水星」でおなじみのオノマトペ大臣。トラックは天才Thamesbeat。(詳しくはYouTube 「HARD-OFF BEATS 2017春の陣 大阪発着編 第4話『制作編 Thamesbeat』」をチェック!
24. Summer Breeze – Royal Mirrorball remix
前述のリミックスワークより、Royal Mirrorball a.k.a. 松井寛の手がけたサマー・ダンス・チューン。東京女子流のプロデュースでも知られるお方。
25. ル・ルーラは愛の言葉
2023年「Perfect Sense」に収録。ドラムンベースのトラックに、オートチューンのかかったヴォーカルと、またもNegiccoの器の広さに驚かされた曲です。作詞・作曲 connie。
26. さよならMusic
connieの詞世界が爆発している一曲。一回聴いた後に、歌詞を見ながら改めて聴いたらたまげます。初めてサザンを聴いた世代もこんな気持ちだったのだろうか。
27. マジックみたいなミュージック
またまた作詞・作曲 connie。編曲はMagic, Drums & Love。ゴリゴリのディスコアプローチで、インストで聴いたら「Chicか?EWFか?」と勘違いしてしまいそうです。これも「ティー・フォー・スリー」なんだよなあ……。

28. 太陽と星の狭間で
Megのソロ曲は作詞・作曲 connie、編曲 THE MICETEETHのラヴァーズ・ロック。力の抜けたヴォーカルとサウンドがベストマッチ!
29. アイドルばかり聴かないで
この曲でNegiccoを知ったという人も多いであろう、小西康陽プロデュースの名曲。センセーショナルな詞は、当時のアイドルシーンを皮肉っているようにも聴こえて痛快でした。サウンドもピチカート節全開。イントロ1秒でピチカートと分かるからすごいですよね。
30. マジック・カーペット・ライド
前述のカバーアルバム「アイドルばかりピチカート」から再び。色気のある原曲に比して、リズミカルで元気いっぱいなアレンジがNegiccoにぴったりでした。
31. 愛、かましたいの
堂島孝平プロデュース、色んな意味でパンチの効いた一曲。3人が中華を食べているジャケットも自然体ですごく素敵なんだ……。
32. ときめきのヘッドライナー
プロデュース・作曲 西寺郷太、作詞 ジェーン・スー。展開の多い構成で、満足感のある一曲です。当時どんどん階段を登っていたNegicco、その姿を象徴するような曲のように感じられて、個人的には思い出深いです。
33. 虹
作詞・作曲 平賀さち枝。おしゃべりと歌の間のようなヴォーカルディレクションが印象的で、3人に親しみを感じるような仕上がりです。
34 カリプソ娘に花束を
作詞・作曲 connie、編曲 YOUR SONG IS GOODのハッピーチューン。ラテンのリズムにトロンボーンが効いてます。歌詞は、結婚を迎える娘が父に向けた手紙。泣かせる……、このギャップがいいですね。
35. スマホに写らない
作詞は高橋 一(思い出野郎Aチーム)、作曲・編曲も思い出野郎Aチームのソウルテイストナンバー。共感性の高い歌詞ですっと心に沁みます。思い出野郎Aチームといえば「ダンスに間に合う」がキョンキョンと中井貴一に『続・続・最後から二番目の恋』でカバーされてましたね。
36. 君といる街
作詞・作曲 connieの初期の楽曲から、新潟の街への愛を歌った一曲。ソロパートもユニゾンも、3人の声が素直に楽しめます。
37. くちびるにメロディ
こちらも作詞・作曲 connie。ベストアルバム「Negicco 2011~2017 -BEST- 2」にて音源化。成長物語的な歌詞が、Negiccoの歩みに重なります。
38. あなたとPop With You!
ここ数曲、比較的しんみりチューンが続いてましたので、このテキストを書きながらひとりジーンとしていましたが、こちらの全力ポップチューンで元気が出ました。作詞・作曲 connie。connieの楽曲にはしばしば、理想のアイドル像が詰め込まれていて、それを3人が一生懸命に形にしている感じがします。ああ、結局またジーンとする。
39. ベスト☆フレンド
Nao☆の軽快なソロワーク。3人での曲では声の特徴的にも、しっかり聴かせるパートを担っているNao☆ですが、ソロワークでは自然体なヴォーカルが楽しめます。作詞・作曲 マツキタイジロウ(SCOOBIE DO)。
40. あなたは遠く
続いてKaedeのソロワーク。プロデュースは前述の染谷大陽(Lamp)。ゲーム音楽のようなイントロから、独特の譜割りを伴ってどんどんテンションが上がっていき、サビで「最高〜」と思っていたらさっと終わってしまう。その後ろ髪を引かれる感じがとても好きです。要所でカスタネットが耳を引きますね。
41. モーニングコール
引き続きKaedeのソロワーク。ミニアルバム「秋の惑星、ハートはナイトブルー。」収録の一曲です。作詞・コーラスを担当した榊原香保里(Lamp)の手腕が光る。彼女の描く女性像は可憐で儚い。
42. おにぎりハウスのうた
今夏リリースされた、本日時点でのNegicco最新作品。こちらも小西康陽プロデュース。新潟のローカル番組「新潟炊きたてバラエティー おにぎりハウス」(TeNYテレビ新潟)のために制作された曲で、その要素を率直に歌詞に取り込んだいかにも“テーマソング”的なアプローチながら、どこか都会的な香りがするバランス感覚が素晴らしいです。「大都会交響曲 - シングル・ヴァージョン」を思い出しました。
43. 愛は光
ベストアルバム「Negicco 2011~2017 -BEST- 2」のために、作詞・作曲 堀込高樹、編曲KIRINJIという布陣で制作。Negiccoとファン、その関係性を美しく表現した名曲です……。ああ……、プレイリストが終わってしまう。
44. 圧倒的なスタイル
メンバーもファンもひとつになってラインダンスをするライブの締め曲として、圧倒的に愛される「圧倒的なスタイル」。最後の曲はこれしかあり得ませんっ!
2026年も、Negiccoが楽しく聴けるような幸せな年になるといいですね。また来年!

Editor 松﨑 彬人




























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