&EYES あの人が見つけたモノ、コト、ヒト。
掃除嫌いのための、優秀な台所。写真と文:ねむようこ (漫画家) #3February 20, 2026
ほぼほぼ夫に丸投げしていたDIYだが、台所だけは強いこだわりがあった。
絶対に絶対に、ステンレス製にしてほしかったのである。というのも、樹脂で作られたピカピカの台所が、日々の生活の中で油汚れに侵食されていく様子が、どうしても苦手だったからだ。樹脂製の台所が悪いわけでは、もちろんない。私が掃除嫌いなのがいけないのだ。

こうして導入された業務用のステンレス製シンクは、蓄積した汚れを、たまにの掃除で乱暴に擦っても耐えてくれるし、何度でもピカピカに復活してくれる。そして、これまた業務用の大きなガスコンロも同様だ。
業務用ゆえの質実剛健な佇まいも、とっても気に入っている。働くために作られた台所だ。
もうひとつのポイントは、台所の下に扉を付けなかったこと。

台所の下という空間は、どこか薄暗くジメジメしていて、少し怖い。だから、なるべく通気性を良くして、常に開かれた状態にしておきたかった。もし扉を閉じてしまえば、開けるたびに「この暗闇で何か良くないことが起きているかもしれない」とドキドキする羽目になる。それがどうしても嫌だった。
出来上がった台所は、私のお気に入りの場所になった。
ここでラジオを聴きながら料理をしたり、洗い物をしたりする時間が好きだ。1日の終わりには、台所をピカピカに磨き上げて、うっとりしている。
掃除嫌いだからと作った台所が、私を掃除好きに変えてくれた。なんて優秀な台所なんだろう。
漫画家 ねむようこ

1980年生まれ。岐阜県出身、愛知県名古屋市在住。2004年に漫画雑誌『FEEL YOUNG』にてデビュー。2013年に初連載作『午前3時の無法地帯』(祥伝社)、2023年に『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社)が実写ドラマ化。ほか、『ペンとチョコレート』(芳文社)、『とりあえず地球が滅びる前に』(小学館)、『神客万来!』(芳文社)、『トラップホール』『三代目薬屋久兵衛』『ボンクラボンボンハウス』『君に会えたら何て言おう』(4作ともに祥伝社)など著書多数。現在、『OUR FEEL』にて『たぶんここから始まる恋』(シュークリーム)を連載中。
































