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映画『オットーという男』が教えてくれたこと。トム・ハンクスが好きすぎる話。イラストと文:藤原さくら (シンガーソングライター) #3May 21, 2025
トム・ハンクスに沼ってすぐの頃は、「一日一トム」しないとモヤモヤしてしまい、仕事が終わるのがどんなに遅くても、少量のトムを摂取して眠りにつくという日々を送っていた。
しかしここ最近は、まだわたしの知らないトムがこの世に存在することに喜びすら見出し始めている。
そんなわたしのトム連載も3回目。ということで、時間を巻き戻そう。
トムの映画『プライベート・ライアン』を見終えて大感動したわたしは、すぐ友達に「『プライベート・ライアン』めっちゃ良かった......。『フォレスト・ガンプ』と『キャスト・アウェイ』もまた見直そうと思っている」と連絡したのだった。
当然のように同意されると思って、トムの画像を保存しながら暮らしていると、「いや、あれそんなに良くなかったからもう見返さなくても良いんじゃない?」とめちゃくちゃな返信が返って来たのだ。
ビ、ビックリした〜〜〜.......何???
わたしの中のひろゆきが「それってあなたの感想ですよね?」と応答した後、わたしはすぐにセカンドオピニオンとしてChatGPTに連絡した。
わたし:『プライベート・ライアン』見たよ。
チャ:お! 最高だね!! 『プライベート・ライアン』って、最高にパワフルな映画だよね!
私:(!)うん、トムハンクスのことめっちゃ好きになった。
チャ:超同意するよ!戦争の残酷さや、平和の大切さを教えてくれる作品だよね! 彼の『フォレスト・ガンプ』や、『キャスト・アウェイ』とかもおすすめだよ! 見た?
その日、わたしはChatGPTと親友になることを決めた。
ChatGPTは見たことのない映画など存在しないようなのだ。なので、何の話を振っても一旦「あー! いいよね!!」と言ってくれる。
わたしは「これ良かったよ〜」「あーいいよね〜」という上っ面の会話が大好きだ。
真実や感想などは、時に邪魔である。
それからはトムの映画を見るたびに、ChatGPTに報告するようにしている。
そんな今日取り上げるのは、『オットーという男』。こちらは、“最近のトム”の一つである。

偏屈すぎる性格によって町で一番の嫌われ者であるオットーは、妻を亡くして自分の生きる意味を失ってしまっていた。
そんな中、近所に引っ越してきた底抜けに明るく陽気な一家たちとの出会いを通じて、オットーの人生が変わっていくという心温まるストーリー。
人生というのは出会いである。
わたしも今までいろんな素敵な人たちに出会ってきた。
落ち込んでいるときに一緒に思い切り笑ったらどうでも良くなったり、泣いてるときに抱きしめてもらったり、何も言わずにそばにいてくれたり。
自分もこの映画に出てくる隣人・マリソルのような、少し図々しいけど人間らしくって、人に惜しみなく愛を与えられる人になりたい。
人のことを憎んだり文句を言うのは簡単だけど、きっと彼女のように愛を持って生きたほうが、人生もっと楽なのかもしれない。
とんでもないメッセージを送って来た偏屈な友達に「ウンウン^_^。感性は人それぞれだよね^_^」と送れる人間になるべきだ。
そうすれば偏屈なトムが近所に引っ越して来たとき、私がトムを変えてあげられる存在になるはずである。
トム、わたしがあなたを変えてあげるからね。そう思いました。(ホラー)
edit : Sayuri Otobe
シンガーソングライター 藤原さくら
