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茶の雑誌『Eighty Degrees Magazine』を手がけるあの人に会いに、ポルトガルへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』) #4February 25, 2026

去年の夏はポルトガルにも初めて行った。イギリスに行った。その足で今度はポルトガルへ飛び、ここでもまた茶の雑誌の編集者に会いに来た。

茶の雑誌『Eighty Degrees Magazine』を手がけるあの人に会いに、ポルトガルへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #4

『Eighty Degrees Magazine』は私が初めて読んだ茶の雑誌だった。2022年、『代官山 蔦屋書店』で第1号を手に取ったときのことを今でも覚えている。黒い表紙に写っているのは、よく見ると漆黒の背景に沈んだ、南部鉄瓶。ブラックパンサーのサウンドトラックかと思った。茶の雑誌でありながら茶を写さず、茶器もこれまでにないような様式で切り取るその表現に、心を奪われた。

奥付を見ると、ポルトガルの雑誌だった。感動を伝えたくて出版元にメールを送ったが、音沙汰はなかった。それがちょうど去年の夏、海外旅行にどこに行こうかと考えていたらメールが返ってきた。その人はマーティンさんといい、遅れた返事を詫びつつ感謝をしたためてくれた。

「この人にも会いに行ってみようか」

2週間後にイギリスに行く日取りを決めたばかりだった私は、その勢いを借りてポルトガルにもついでに2泊することにした。3年ぶりに返ってきたマーティンさんからのメールに、「再来週、ポルトガルに行くので会えたら会ってほしい」と返信した。

茶の雑誌『Eighty Degrees Magazine』を手がけるあの人に会いに、ポルトガルへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #4

初めてのポルトガル。ロンドンの灰色の空とは打って変わって、日光が気持ちよく降り注いではタイル張りの路面に反射してまぶしい。建物と建物の間からは向こう側の海が見えて、水面がちらちらと白飛びして光っている。日差しを浴び、空気を吸っているだけで少し陽気になってくるような街だった。

相変わらず連絡がゆっくりなマーティンさんとは、ポルトガルに到着してからも2泊3日のどこで落ち合うか一向に決まらないままだった。でもそんなことも取るに足らない小さなことに思えてくる。

エッグタルトを買ってビーチに行って食べた。

茶の雑誌『Eighty Degrees Magazine』を手がけるあの人に会いに、ポルトガルへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #4

果報は寝て待て。ちょうど中日に、いよいよマーティンさんと会うことに。

カフェで待ち合わせてようやく会えたマーティンさんはイメージ通り、おっとりとした優しい人で、私たちは意気投合していろんな話をした。どんなお茶が好きか、どうやって特集を決めているか、それぞれの国の若者がどうお茶を飲んでいるか。

そのあとは、きらきら白く光るリスボンの街を一緒に散歩して、茶の店にも連れて行ってくれた。かつての舶来貿易の茶文化を感じられる『Companhia.Portugueza.do.Chá』というティーショップ。現地のベルガモットで香り付けされたアールグレイと、ポルトガル産の白茶を買った。

茶の雑誌『Eighty Degrees Magazine』を手がけるあの人に会いに、ポルトガルへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #4
茶の雑誌『Eighty Degrees Magazine』を手がけるあの人に会いに、ポルトガルへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #4

店を出ると、おすすめの夕飯を教えてもらい、マーティンさんとは解散した。マーティンさんも日本には頻繁に来るらしい。日本がお茶の国だからみんな来てくれるのはラッキーだ。次は日本で会いましょうというのはこの旅の定番の別れの挨拶になっていた。マーティンさん、ありがとう。

連載を読んでくれたみなさんもありがとうございます。いつかお茶しましょう。


〈茶酔(ochayoi)〉 後藤景太郎

profile_後藤景太郎
ごとう・けいたろう/熱茶を飲み続けてリラックスしながら覚醒する現象「お茶酔い」を軸に、ZINEやPodcast、茶会イベントなどの活動をしている。最新刊は『茶酔叢書 巻山』(機微社)。

instagram.com/ochayoi

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