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Let’s have some tea together! イギリスまで茶の人に会いに行く。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』) #3February 18, 2026

去年の夏、人生の夏休みのような長い休暇が取れた。

せっかくだし海外旅行にでも行こうかと考えるも、なかなか行き先が決められない。こんなに長いお休みは滅多にないし、行きたい国も、会いたい人も多すぎて選べない。決めかねて、とりあえず以前留学していた韓国へ行ってみたのだった。すると、ずっと気になっていたティールームの店主と会ってお茶をすることができた。

「そうか、初めましての人に会いに海外へ行ってもいいのか」

それをきっかけに、旅行先はすいすいと決まっていった。

心を通わす、お茶の時間。イギリスでのお茶酔い旅。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #3

2025年8月、私はパートナーとロンドンに来ていた。ロンドンに来るのは初めてで、もちろん知り合いもいない。その夏は、茶の雑誌『Journal du Thé』の編集者のジョアンナさんに会いに来たのだ。

ジョアンナさんとは特に面識はない。自分が作っている茶のZINEがジョアンナさんの雑誌に多大な影響を受けたので、それをきっかけにDMしたことがあったくらい。

急だけど2週間後に会いに行きたいと連絡したら、「Let’s have some tea together!(一緒にお茶しましょ!)」と返ってきた。お茶の人は、話が早くて助かった。

心を通わす、お茶の時間。イギリスでのお茶酔い旅。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #3

ジョアンナさんの住む街は、ロンドンから大型バスで1時間と少し。車窓から見える景色は、レンガ造りの建物と行き交う大量の人々から、平原にぽつぽつと放し飼いされた牛や馬へと変わっていった。最寄りの停留所に着くと、ジョアンナさんは車で迎えに来てくれた。初めましての挨拶を交わす。バス酔いしてしまった私のパートナーを見て、家に着いたら早速ハーブティーを煎れてくれると言う。

到着したのはオックスフォードシャーのはずれにある小さな街。忙しないロンドンとは対照的に、鳥の声と、木々が風に揺れる音が聞こえる、静かな場所だった。

心を通わす、お茶の時間。イギリスでのお茶酔い旅。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #3
お茶は世界の共通言語。茶の雑誌『Journal du Thé』の編集者、ジョアンナ・タガダさんに会いにイギリスへ。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #3

家に上がると、ジョアンナさんは庭で採れた野菜とキヌアで料理を作ってくれた。

ゆっくりくつろいでと言われて、なんとなく部屋を見ていると、本棚にはアートブックや画集と並んで、つげ義春や井上雅彦の名前があった。ジョアンナさんのパートナーの、ジャティンダーさんは日本の漫画が好きだという。一番好きな漫画の話になって、松本大洋の『東京ヒゴロ』を教えてもらう。会社を辞めて退職金で自分の漫画雑誌を作る人の物語だった。私にぴったりの話じゃないか。帰りの飛行機で読むことにした。

心を通わす、お茶の時間。イギリスでのお茶酔い旅。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #3
心を通わす、お茶の時間。イギリスでのお茶酔い旅。写真と文:後藤景太郎 (『茶酔 (ochayoi) 』主宰) #3

そんな話をしながらお茶をしたあと、ジョアンナさんのガーデンまで行って、庭仕事をした。球根の選定、土の入れ替え、植物への水やり。途中、ラズベリーがなっているのを摘んで一緒に食べた。ボウルに集めたそれは夕方の日差しに照らされて宝石みたいに輝いていた。口に入れると赤やオレンジがぷちぷちと弾けて甘酸っぱさが広がった。

夕方、帰りのバスの時間に合わせてまた停留所へ戻る。ジョアンナさんは今度、日本で展示をやる予定があるというので、また会う約束をしてバスに乗り込む。

急な訪問だったのに、ジョアンナさんありがとう。またお茶しましょ。翌日、イギリスを出発した私は、次の目的地・ポルトガルへと向かった。


〈茶酔(ochayoi)〉 後藤景太郎

profile_後藤景太郎
ごとう・けいたろう/熱茶を飲み続けてリラックスしながら覚醒する現象「お茶酔い」を軸に、ZINEやPodcast、茶会イベントなどの活動をしている。最新刊は『茶酔叢書 巻山』(機微社)。

instagram.com/ochayoi

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