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センスは、優しさ。編集後記「センスのいい人が、していること」March 21, 2023

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「Death is nothing at all」から始まるこの詩集。きっとこれから、別れを経験するたびに手にする1冊です。

センスは、優しさ。

 今回の特集は「センスのいい人が、していること」。「センス」を広辞苑で調べると「物事の微妙な感じをさとる働き・能力。感覚。思慮/分別」とあるそう。でも、きっともっとたくさんの意味を含んでいるはず。私にとってセンスがいいってなんだろう。特集を担当する間、ずっと考えていました。

 そんななか、17年近く連れ添った愛犬との別れがありました。心にぽっかりと穴が空いて落ち込んでいた私を心配してくれたのか、仕事仲間のひとりが、取材終わりにさっと詩集を手渡してくれたのです。『さよならのあとで』ヘンリー・スコット・ホランド著(夏葉社)。10年来、彼女がずっと大切にしてきた1冊だそうで、自分も別れを経験するたびにこの詩を読んできたのだと。「そんな大事なものを……」と驚いていた私に「いいのいいの、また買うから。あ、でもずっと前に買ったから、汚れてたらごめんね〜!」と笑顔で手渡してくれた、その軽やかさも心に沁みました。贈り物にはセンスが現れるというけれど、そこに添えられた優しさこそが、センスなのかもしれません。

 特集では、センスがいいと思う人を聞いたり、もの選びのセンスについて教えてもらったり……。取材を通して一番面白かったのは、「センス」という言葉を捉える角度が本当に人それぞれなこと。知性、愛情、装い……。「センスがいいってなんだろう?」と思ったら、この1冊をぜひ手に取ってみてください。

(本誌編集部/H)

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