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初めて行く店、見たことないもの。編集後記「新しい暮らしに出合える、店ともの」April 18, 2025

初めて行く店、見たことないもの。編集後記「新しい暮らしに出合える、店ともの」/『BTR』/〈CUE〉
編集担当者が特集制作中に何を買ったかといいますと、麻布十番の雑貨店『BTR』でオブジェを手に入れました。奄美大島の工房〈CUE〉が木で愛らしいフォルムを削り出し、同じく奄美大島の〈金井工芸〉の染料でシックな色合いに。かわいいのにかっこいい。お店のことは連載「&days」で紹介しています。
初めて行く店、見たことないもの。編集後記「新しい暮らしに出合える、店ともの / Linda Hsiao / 〈Knotwork LA〉 /『millvalley yakumo』 /〈Annie Raysse Pottery〉
花柄のマグカップはLA在住の陶芸家Linda Hsiaoによる〈Knotwork LA〉のもの。東京・都立大学のショップ『millvalley yakumo』の取材時に購入しました。右のマグは、取材はできなかったもののロケハンで訪れた豪徳寺『manuque』で購入。こちらもLAの〈Annie Raysse Pottery〉の作品。大きな火事に見舞われたアメリカ西海岸ですが、新しい作家の勢いは絶えません。

『&Premium』での編集者人生も9年目になりました。雑誌柄、いいものを求めて常にアンテナを張っていますので、クオリティの高い日用品やインテリア、服についてはたくさん見てきたつもりです。店だってそう。プライベートでも、自分のほしいもののテイストが理解できてきて、同じ店に何度も通い、同じものを繰り返し買う、ということも増えてきました。オンラインショップもうまく使いながら、自分の“スタンダード”と思えるものに囲まれる生活は、それはそれで充実しています。

そんな先日、会社の先輩と中華ランチをしていたら、回鍋肉を盛大にこぼしました。シミだらけになったシャツを眺めて悲しみに暮れながら「どこかで適当に着替えを買おうか」と考えていたら、会社の近くにそのシャツのブランドの実店舗がオープンしたことを思い出しました。僕はこのシャツの型が好きで、通販で買い足して買い足しては、柄違いで5枚持っています。5着あるものは6着あってもいいのです。編集部をこっそり抜け出し、店に走りました。

結果、購入したのはそのシャツと、デニムパンツ。もちろん、パンツを買う気はなかったんです。だけど、形がきれいで気になって、穿いたら動きやすくて……、久しぶりに洋服に心がときめき、購入することに。以来気に入って、ローテーションのために後からもう一本買い足すまでになりました(結局同じものを2本買ってる)。

それから僕は反省しました。無数にあるいいものについて、何を分かった気でいたのかと。そして、ときめく買い物の機会がこれまでもたくさんあったはずなのに、みすみすと逃していたことを後悔しました。さて、今回の特集はそんな担当者が、目を皿のようにして新しい店を探し、初めて出合うものを求めた一冊です。もう後悔はしたくない、ときめきたいのです。気合い入ってます!

(担当編集/松崎彬人)

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Latest Issuepremium No. 138新しい暮らしに出合える、店ともの。2025.04.18 — 960円