&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

「はじめての冬野菜を楽しむ」渡辺有子の料理教室1年目2月August 10, 2024

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目2月のテーマは、「はじめての冬野菜を楽しむ」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子 百合根や山伏茸が出回るこの時季。使い慣れない食材との出合いが料理の幅を広げてくれます。
百合根や山伏茸が出回るこの時季。使い慣れない食材との出合いが料理の幅を広げてくれます。

はじめての冬野菜を楽しむ。

先生:先月から始まった〝誌上〞料理教室ですが、直子さん、手応え的にはどうでしょう。

生徒:あのあと家でおさらいしてみたのですが、どれも上手に作れてしまって、早くも自信をつけ始めています(笑)。

先生:今月のレシピはさらに簡単なので、ますますやる気が湧いちゃうかも(笑)。テーマは「はじめての冬野菜」ですね。

生徒:干し大根、百合根、平茸と山伏茸。確かにどれも使ったことないなあ。切り干し大根なら何度かひじきと煮たことがありますが。

先生:干し大根って便利なのよ〜。和風の味つけはもちろん、今回のようにサラダにしたり、洋風の料理にも合うんです。それに、大根を輪切りにして干すだけで、自分でも簡単に作ることができますし。

生徒:それはいいですね! 大根1本買うと使い切れなくて困ることが多いので。今月の教室が、新しい食材を手にしてもらうきっかけになりますように!百合根だけはちょっとハードルが高そうだけど(笑)。

先生:そんなこと言わずに、一緒に頑張ってみましょう(笑)。さっそく「干し大根と春菊のサラダ」からいきますよ。

生徒:有子先生が20分前から戻しておいてくれた干し大根。いい状態になってます。

先生:干し大根の水分はよく絞ってね。春菊はすぐにしんなりするので、食べる直前に作るのがこのサラダのポイントです。

生徒:ボウルの中に干し大根とちぎった春菊の葉を入れて、さらにブルーチーズを加えるのか。自分じゃ考えられないなぁ。米酢と粗塩をふって、さっと混ぜたらできました!

先生:ブルーチーズはマイルドなものを使います。塩気が強いときは粗塩をふるのをやめるか、量を減らすかで味を調整してね。

生徒:つづいては本日の難関「百合根のペーストと芽キャベツのフリット」であります。

先生:おがくずの下にはおいしい百合根が待っているわよ(笑)。よく洗ったら1片ずつはがしてね。芽キャベツは洗って拭いて、芯の部分に十字に切り込みを入れてください。

生徒:芽キャベツって使い道がわからぬまま、シチューの彩りに添えたりしてました。

先生:そういう人にこそお勧めしたい調理法が素揚げなの。さて、野菜の下ごしらえがすべて終わったら、鍋に百合根と水を入れて弱火で煮ますよ。木べらでつぶしながら牛乳を加えてなめらかにして、塩で味を調えます。

生徒:いとも簡単にペーストができました。このイキオイで芽キャベツも揚げます!

先生:油がはねるのでしっかり水気を拭いておいてくださいね。フタをして、蒸すように揚げるといいですよ。揚がったら油分をきって粗塩をふります。

生徒:器に百合根のペーストを敷いて、芽キャベツをのせたら、2品目も完成です!

先生:3品目の「平茸と山伏茸の蒸し煮」はさらに簡単よ。厚手の鍋に小房に分けた平茸と山伏茸、ニンニクとタカの爪、白ワイン、オリーブオイルと粗塩を入れたらフタをして、あとは15分蒸し煮にするだけ。お皿に盛り付けたら千切りにした柚子の皮を散らして、焼いたパンを添えてね。キノコの旨味が染み出た蒸し汁に、パンを浸しながら熱々の状態で食べるのがたまらなくおいしいの。

生徒:誰か〜、白ワインください〜!

1.干し大根と春菊のブルーチーズサラダ

渡辺有子 干し大根と春菊のブルーチーズサラダ
渡辺有子 干し大根と春菊のブルーチーズサラダ 輪切りにして天日に2 ~ 3 日さらした手 作り干し大根。調理前に熱湯で戻す。
輪切りにして天日に2 ~ 3 日さらした手作り干し大根。調理前に熱湯で戻す。
渡辺有子 干し大根と春菊のブルーチーズサラダ 食べる直前に調味料をふることで、春菊の葉のふんわりした良さをキープ。
食べる直前に調味料をふることで、春菊の葉のふんわりした良さをキープ。
    〈材料〉2人分

    干し大根…25g 
    春菊…1/4束 
    ブルーチーズ(ロックフォール)…25g
    米酢…小さじ2  
    粗塩…少々
    〈作り方〉
    1.干し大根は熱湯で20分戻して水気を絞る。春菊は水で洗い水気をよくきり、葉の部分を摘んで3~4 ㎝の長さに切る。

    2.ボウルに1と細かくしたブルーチーズを入れ、米酢と粗塩をふって全体をさっと混ぜる。

2.百合根のペーストと芽キャベツのフリット

渡辺有子 百合根のペーストと芽キャベツのフリット
渡辺有子 百合根のペーストと芽キャベツのフリット芽キャベツは硬いので、芯に切り込みを入れることで、火を通りやすくさせる。
芽キャベツは硬いので、芯に切り込みを入れることで、火を通りやすくさせる。
渡辺有子 百合根のペーストと芽キャベツのフリット 牛乳はデリケート。一気に入れずに百合根をつぶしながらゆっくり加えていく。
牛乳はデリケート。一気に入れずに百合根をつぶしながらゆっくり加えていく。
    〈材料〉2人分

    百合根… 1個(160g) 
    芽キャベツ… 8個 
    水…60㎖ 
    牛乳…50㎖ 塩…適量
    米油…適量 
    粗塩…適量
    〈作り方〉
    1.百合根は洗って1片ずつはがし、茶色い部分は削ぐ。芽キャベツは洗い、水気を拭き取り芯の部分に十字に切り込みを入れる。

    2.鍋に百合根と水を入れフタをし弱火で8分煮る。

    3.2がやわらかくなったら、木べらなどでつぶしながら牛乳を少しずつ加え、弱火にかけながらなめらかにする。塩で味を調える。

    4.米油を小さなフライパンに2㎝ほど注いで、低温に熱し、芽キャベツを入れてフタをして外側の葉が開き揚げ色がついてくるまで揚げ、ペーパーにのせてしっかり油分をきる。粗塩をふる。

    5.器に3のペーストを敷き、4をのせる。

3.平茸と山伏茸の蒸し煮

渡辺有子 平茸と山伏茸の蒸し煮
渡辺有子 平茸と山伏茸の蒸し煮 水分の多いキノコ。鍋に山盛り入れるくらいが出来上がりの量はちょうどいい。
水分の多いキノコ。鍋に山盛り入れるくらいが出来上がりの量はちょうどいい。
渡辺有子 平茸と山伏茸の蒸し煮 熱々のフライパンを使うと短時間で焼け、外はカリッと中はしっとり仕上がる。
熱々のフライパンを使うと短時間で焼け、外はカリッと中はしっとり仕上がる。
    〈材料〉2人分

    平茸…200g(2パック) 
    山伏茸…125g(2パック) 
    ニンニク…1/6かけ 
    タカの爪… 1本 
    白ワイン…50㎖ 
    オリーブオイル…大さじ1と1/2 
    粗塩…適量
    少し酸味のある硬めのパン(カンパーニュなど)…適量 
    柚子の皮…1/8個分
    〈作り方〉
    1.平茸と山伏茸は小房に分け、ニンニクは2~3等分に切る。

    2.厚手の鍋に1 とタカの爪、白ワイン、オリーブオイル、粗塩を入れてフタをして、15分蒸し煮にする。

    3.よく熱したフライパンにオリーブオイル(分量外)をひいて、強火でパンを香ばしく焼く。

    4.器に2を盛り、千切りにした柚子の皮を散らし、焼いたパンを添える。キノコの蒸し汁にパンを浸しながら食べる。

渡辺有子の料理教室 ワインのおつまみにもぴったりな冬の3 品。「ひとつでも覚えて定番にしてもらえたら」と有子先生。
ワインのおつまみにもぴったりな冬の3 品。「ひとつでも覚えて定番にしてもらえたら」と有子先生。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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