ガラス作家・山野アンダーソン陽子と写真家・三部正博の展覧会「Longing for Grey」が神戸『Vague Kobe』にて1月19日 (月) まで開催中。December 12, 2025

　『Vague Kobe』で開催中の、スウェーデンを拠点に活動するガラス作家・山野アンダーソン陽子さんと写真家・三部正博さんによる展覧会「Longing for Grey」。これまで二人は、「Glass Tableware in Still Life」をはじめ、素材と視覚のあいだを行き来するプロジェクトをともに手がけ、ガラス、絵画、写真といった異なる領域を横断しながら、新しい風景を生み出してきた。

　今展では、ふたりがそれぞれの表現に焦点を当て、光、味、香り、記憶が交差する空間を構想。光を受けてゆるやかに表情を変える、山野さんによる約250点の新作グラス、カップやジャグなどのテーブルウェア。そして、光と影の間に揺らめく気配をとらえ、透明と不透明、現実と記憶のあいだを静かに往還する三部さんの写真が展示される。タイトルの"grey”には、白と黒のあいだに漂う曖昧な時間、誰かを待つときに生まれるほのかな期待や希望、その風景を包む一瞬の光やガラスの中に沈む濃淡、といった意味が込められているという。

　展覧会に合わせて、スウェーデンの蒸溜所〈Stockholms Bränneri〉と〈Vague〉がともに開発した、ほうじ茶、山椒、エルダーフラワーで蒸留したオリジナルのクラフトジンも販売される。ラベルデザインは、山野さんによるスケッチがあしらわれている。

　ガラスと写真の織りなすグレーの風景に、香りと味覚が加わることで、五感を通してひとつの体験へと広がっていく展示をぜひ体感してほしい。