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4坪の小部屋に凝縮する偏愛アイテム。京都・四条烏丸『TREE』。April 29, 2025

2025年6月号の「新しい暮らしに出合える、店ともの。」は、まだ見ぬアイテムや、新鮮な暮らしのスタイルに出合える13軒が登場。ここでは、京都・四条烏丸『TREE』をWEBで特別に公開します。

4坪の小部屋に凝縮する偏愛アイテム。『TREE』
イギリス人陶芸家のジャック・ドハティによる作品(棚左上段)や、京都の職人に別注した竹籠バッグ(各¥22,000)などがグレーの棚に整然と並ぶ。

奈良と京都を拠点に現代作家の作品をメインに扱う『HS』。〈kakimoto yuki hand knitting〉を主宰するカキモトユキさんが、夫のハヤシユウジさんと長年にわたり営むセレクトショップ&ギャラリーである。その新たな展開として、2023年10月四条烏丸に登場したのが『ツリー』。自身の作品から、作り手の視点で選んだものまでが並ぶ、カキモトさんの世界観に満ちる空間だ。

「作り手でもある自分が表現する場としての店を作るのもいいなと。『HS』は奈良ではゆったりした雰囲気、京都の祇園にあるほうは住所非公開の完全予約制。『ツリー』は街中だけどビルの一室で、都会の中の静けさを感じられる場所」とカキモトさん。街中にあって京都の日常を感じさせる雑居ビルを選んだ理由を尋ねれば、本阿弥光悦を連想させる光悦ビルという名前に惹かれたこと。ここにもユニークな視点の一端を垣間見る。

4坪の小部屋に凝縮する偏愛アイテム。『TREE』
八角皿(¥11,000)など陶芸家キム・ホノに別注したピン クとイエローの器。左はイザベル・ボワノと作ったバンダナ各¥3,080、右は店主・カキモトユキさんの裂織の作品。

「建物の存在感に頼るのでもなく、駅近の利便性を追求する店でもない。店主依存型と私たちは呼んでるんですが、芯のブレない店主がいれば、どこでも店はできると考えていて」

かくして会議室だった4坪の空間は、手を加えすぎることなくグレーとピンクが印象的な店へと変化を遂げた。主役となるのはカキモトさんがデザインする洋服、手編みのニット、残布や残糸を余すところなく使い裂織にしたバッグや小物。そして作り手の顔が見えるもの、こよなく愛するイギリスの空気をまとったものをセレクトする。可愛くとも甘すぎない、その加減は絶妙。「昔のお店って、ただものを売るだけではなくて、売り手と買い手のやりとりから、暮らし全般の提案をしていたと思うんです。目指すのはその現代版といえるセレクトショップ。自分の人生にとってきっかけになるものと出合う場になれば」

4坪の小部屋に凝縮する偏愛アイテム。『TREE』
〈リーチポタリー〉マグカップ¥6,600、〈Mentsen〉のソープディッシュ各¥3,520。ともにイギリスで作られたもの。
4坪の小部屋に凝縮する偏愛アイテム。『TREE』
フィッティングに用意されたハンガーからも、店主の可愛らしい人柄が伝わってくる。
4坪の小部屋に凝縮する偏愛アイテム。『TREE』
カキモトさんが手がける定番のLRパンツ(各¥42,900)は、その時々に出合った布地で作られるため、時には一本限定という場合も。

どんな世界を見せ、刺激をもたらしてくれるのか。扉を開けるたびに心が弾む場所となっている。

TREE

京都市下京区妙伝寺町720−4F−4D ☎なし 13:00~17:30 不定休 営業の詳細はInstagram(@tree_kakimotoyuki)で確認を。

TREE

photo : Yoshiko Watanabe edit & text : Mako Yamato

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