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大好きなものだから直して使う、いつまでも。フォトグラファーの山口 明さん「ラジカセを改造する」。October 16, 2024
気に入っているものほど、使う頻度が高くなる。だから、汚れたり壊れたりすることも。それでも愛おしさは残るので、処分するにはしのびない。そんな思いのこもった品をプロに頼んだり、自分の手で直したりしながら使い続けている人々に、愛用品と〝直したい気持ち〞を教えてもらった。
スピーカーを生かして壊れたラジカセを復活させる。
「とにかく音の鳴るものが好きなんです」という、山口明さんが愛するラジカセ。1970年代後半から’90年代に普及した、装飾がたくさん付いた角ばったフォルムが好きで、今見ても惚れ惚れするという。最初に購入したのは15年ほど前。
「学生時代にヒップホップが好きで、黒人が肩に担いでいた大きいラジカセに憧れていました。その後、カメラマンとして独立して事務所を構え、場所が広くなったことから、ネットオークションなどで少しずつ買い集めるように」
とはいえ、中古機器のため壊れているものも。それらを新たに使えるように改造を始め、それがいつしか趣味のようになり、今に至っている。
「この2台は電源も入らない状態でしたが、スピーカーは生きていました。なので、分解し、Bluetoothのアンプ基板を入れてスピーカーの線と繋いでやると、スマホから音楽を飛ばして聴けるようになります。そして本体に穴を開けてアンプのつまみを外に取り付けました。電気的な修理はしておらず、やっていることはプラモデルづくりみたいな感じですね」
それで音楽を流すと、懐かしい音がして、ノスタルジックな気持ちになるという。
「実はラジカセだけでなく服やバッグなどもダメージが出たら縫うなどして、直して使っています。ものが直ったり、使えなかったものが使えるようになると、脳からドーパミンが出るというか、ものすごく高揚するんです」
山口 明 Akira Yamaguchiフォトグラファー
2009年、スタジオ勤務を経てフリーランスのフォトグラファーに。コレクター気質もあるため、ラジカセは常時20台程度所有。ずっと手元に置いておきたいもののほかは、直しては友人らに譲っている。
photo : Takashi Ehara edit & text : Wakako Miyake