INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。

グラフィックデザイナー・早崎円馨さんのMy Favorite Place。居場所のスタイルサンプル。vol.03March 31, 2025

日々の暮らしの中で、気づけば長い時間を過ごし、心に安らぎをくれる場所。何かに集中して向き合ったり、時には何もしないで物思いに耽ったり。中心に置かれた椅子をきっかけとして広がる、3人の居場所の話。最新号「暮らしと装いの、スタイルサンプル」より特別に公開します。

グラフィックデザイナー・早崎円馨さんのMy Favorite Place。<i>居場所のスタイルサンプル。vol.03</i>
日曜日の朝8時。早崎円馨さんは部屋で、たった一脚の椅子に腰かけメイクに勤しんでいた。始まりはいつもここから。

この椅子があるこの部屋が特別。

 テレビや冷蔵庫、電子レンジなどは共同スペースにあるものを使い、料理もそこでするのだという。そういったいわゆる生活必需品を自分で揃えなくていい気楽さに惹かれ、早崎円馨さんは、昨年、古い木造住宅を改修したシェアハウスの一室に入居した。

「奥へ4mほどの細長い部屋です。その半分を、布団を敷いたロフトとその下の収納が占めています。だから、眠る以外の多くの時間を過ごすのは、もう半分から道具や靴などをしまうトローリーやワゴン分の面積を引いた、1畳ほどのところで」

 曰く「ものぐさな性分が幸いして」、そこにいるしかないことも、動かずじっとして過ごす時間も、心地いいのだとか。「引っ越し前から、そんな時間を楽しむ自分を想像できました。ならば、気に入った椅子を置いて特等席にしなくっちゃ……と」

 選んだのは決してゴージャスではないけれど、世界に一つしかない〈IIISU〉のパイプ椅子。

「実は廃棄目前で救済、生地を張り直し、修復されたもの。物語がこの部屋と少し似ていますよね」

 厚地のクッションは一度腰を下ろしたら、立ち上がりたくなくなるほど座り心地がいいそうだ。「私のアドレスはここ。手が届く範囲によく使うものを並べ、椅子を中心に暮らしを回しています」

グラフィックデザイナー・早崎円馨さんのMy Favorite Place。居場所のスタイルサンプル。vol.03

早崎円馨 Madoka Hayasakiグラフィックデザイナー

数年前にアパレルから転身。現在は東京・表参道にある生花店『ディリジェンスパーラー』に勤務し、プロダクトのグラフィックデザインや、ブーケ製作も担う。自宅は近年多くのクリエイターが移り住む下町の商店街の中。ファッションと食に夢中。

photo : Yuka Uesawa illustration : Izuru Aminaka text : Marika Nakashima

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