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京都で楽しむお茶の時間を、インテリアデザイナーの佐久間重光さんが案内。有機栽培の茶葉による、 茶藝をゆったりと。February 22, 2024

京都はいつ訪れても発見に満ちた街。だからこそ、好奇心に任せ、気ままに巡るのが面白いと思うのです。現地在住のガイドが案内する、古都のふだんの表情。ここでは、インテリアデザイナー、佐久間重光さんがお茶の時間について教えてくれました。

ファームーン 店の真ん中にある7人座れる円卓。オーナーが中国を旅した際、あらゆる円卓のサイズを計測。一番しっくりきた大きさを割り出し、木工作家・高山英樹に制作を依頼。この店の象徴的存在でもある。
ファームーン
店の真ん中にある7人座れる円卓。オーナーが中国を旅した際、あらゆる円卓のサイズを計測。一番しっくりきた大きさを割り出し、木工作家・高山英樹に制作を依頼。この店の象徴的存在でもある。
京都 小慢 予約制の茶藝体験は、中国出身の宋潔 (そうけつ) さんが担当。茶葉3種、茶菓子付きで約90分。定員1~4人。料金は1人の場合¥8,000、2~4人の場合1人¥6,000。詳細はInstagram@xiaoman_kyotoで。
京都 小慢(シャオマン)
予約制の茶藝体験は、中国出身の宋潔(そうけつ)さんが担当。茶葉3種、茶菓子付きで約90分。定員1~4人。料金は1人の場合¥8,000、2~4人の場合1人¥6,000。詳細はInstagram@xiaoman_kyotoで。

しつらえも含めて、 お茶の世界観を楽しむ。

 インテリアデザイナーである佐久間重光さんが中国・台湾茶にハマったのは『京都 小慢』ができる際、施工を行ったことから。小曼老師の茶席美学にすっかり魅了され、自分でも茶葉を急須に入れるための茶通を作るようになるなど、一気にのめり込んでいった。そんな佐久間さんが紹介してくれたのは、店主の強いこだわりを感じられるところばかり。

「お茶を飲むときって空間体験も大事だと思うんです。『ファームーン』は別の世界に来たような、穏やかな時間が流れる空間です。奈良・月ヶ瀬のお茶もおいしいのだけど、それをあの空気感のなかで、しかも有名作家やアンティークの器で飲めるのがいい。さりげなくいいもので出してくれます」

 同じく空間に感動するのが『京都 小慢』。

「古いものから現代のものまで合わせてモダンに仕上げている。小曼老師のセンスがとにかく素晴らしい。その類いまれな感性を体感できる場所で、パワーのある野放茶が飲める茶藝体験は格別。ぜひ行ってほしいです」

 そして、『北白川糕糰店』では茶葉や菓子に対するこだわりを実感するという。

「厳選された茶葉はどれも間違いなし。人柄が表れるお茶は、幸せな気持ちになれます。また、中国茶に合う、繊細なお菓子ってなかなかないのだけど、ここのはおすすめです」

北白川糕糰 (こうだん) 店 釜炒り緑茶の文化があり、茶器の産地である中国・宜興 (ぎこう) の隣町で育った店主の江彦 (コウ・ゲン) さん。不定期にお茶と茶器を体験できる「試飲の日」や蒸したての菓子を楽しめる「お菓子店頭販売の日」を行う。
北白川糕糰(こうだん)店
釜炒り緑茶の文化があり、茶器の産地である中国・宜興(ぎこう)の隣町で育った店主の江彦(コウ・ゲン)さん。不定期にお茶と茶器を体験できる「試飲の日」や蒸したての菓子を楽しめる「お菓子店頭販売の日」を行う。

日本・台湾・中国の茶葉で、香り高いお茶を堪能する3軒。

ファームーン
farmoon 北白川

船越雅代さんがオーナーシェフを務める紹介制レストランが、週末のみ予約不要の茶楼を営業。40年以上有機栽培をしている奈良の月ヶ瀬健康茶園の茶葉で出すお茶は、今の時季は煎茶、ほうじ茶、秋
番茶、紅茶の4 種類。「夜も何度か食事に行きました。茶楼の茶粥もとてもおいしいです」と、佐久間重光さん。茶楼粥と小菜三種とお茶のセット¥1,500や豆花なども提供している。

▷京都市左京区北白川東久保田町9 11:00~16:00 金土日営業

左/空間デザインは船越さんとデザイナー・柳原照弘がともに考えた。カウンター席もある。右/河合和美、二階堂明弘、赤木明登、安藤雅信、市川孝といった日本の作家ものから、中国やアジアの作家もの、アンティークや雑器まで様々な茶器で淹れてくれる。
左/空間デザインは船越さんとデザイナー・柳原照弘がともに考えた。カウンター席もある。右/河合和美、二階堂明弘、赤木明登、安藤雅信、市川孝といった日本の作家ものから、中国やアジアの作家もの、アンティークや雑器まで様々な茶器で淹れてくれる。

京都 小慢
Kyoto Xiaoman 出町柳

台湾出身の茶人、謝小曼(シェ・シャオマン)さんがしつらえた茶藝館にて、週末限定で予約制の茶藝体験を開催。小曼さんが探してきた野生状態で育った力強い台湾の〝野放茶〞を3種類。お菓子とともに約90分かけて味わうというもの。「美意識が凝縮した空間で選び抜かれた工芸品を愛でながら、たっぷりと台湾茶のおいしさに浸ることができます」

▷京都市上京区幸神町313 金土の11:00~、14:00~の2 回開催。予約はメール(xiaoman.kyoto@gmail.com)にて。1 組4人まで。

左/2018年開店。和紙作家ハタノワタルの和紙を用いた天井や壁、左官仕事など、日本の伝統技術と台湾の茶文化が融合した空間。築100年以上の町家を改装した。右/中国の作家や、河合和美、沓沢佐知子ら日本の作家による茶器や、茶葉の販売もしている。。
左/2018年開店。和紙作家ハタノワタルの和紙を用いた天井や壁、左官仕事など、日本の伝統技術と台湾の茶文化が融合した空間。築100年以上の町家を改装した。右/中国の作家や、河合和美、沓沢佐知子ら日本の作家による茶器や、茶葉の販売もしている。

北白川糕糰店
Kitashirakawakoudanten 清水五条

中国出身の江彦さんが主宰し、中国茶葉と菓子、茶器を販売。子どもの頃からお茶好きだった彼が直接産地から仕入れる茶葉には希少なものも。「中国茶に合う菓子を自ら作り始めたところ、それが大
好評。お茶と一緒にそちらも味わってほしい」。現在は知り合いの店に間借りしているが、今年夏に北白川で本格オープンの予定。

▷京都市東山区上梅屋町162 不定休 「試飲の日」「お菓子店頭販売の日」は約1 週間前にInstagram@bokbaktsu_godudiで告知。要予約。

左/江さんが作るパイナップルケーキや葱油月餅などの菓子も販売。中国茶の持つ繊細な香りと味にぴったり。『京都 小慢』などにも卸している。右/有機栽培の茶葉は江さんが自ら中国の産地を訪れ、試飲しながらおいしいと思ったものだけを買い付けている。
左/江さんが作るパイナップルケーキや葱油月餅などの菓子も販売。中国茶の持つ繊細な香りと味にぴったり。『京都 小慢』などにも卸している。右/有機栽培の茶葉は江さんが自ら中国の産地を訪れ、試飲しながらおいしいと思ったものだけを買い付けている。
佐久間重光 インテリア デザイナー

佐久間重光インテリアデザイナー

〈佐久間美術〉という屋号にて、中国茶にまつわる道具を製作。「急須などは機能が必要ですが、茶通や茶則は基本的には自由。僕は主に煤竹で製作しています」と、佐久間さん。家の中には愛らしい茶道具がたくさん揃っている。活動の詳細はInstagramで確認。

instagram.com/sakuma_ssds

photo : Yoshiki Okamoto edit & text : Wakako Miyake

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