FOOD 食の楽しみ。

カレーは飲み物? いや、『スパイスゲート』のカレーはお茶漬け。各国の味を求めて、京の朝ごはん探訪。vol.3May 04, 2025

ひとりで旅すると、どこで何を食べるべきかが悩みどころ。朝ごはんのおすすめを、弊誌でもおなじみの京都の食を愛するベテランフードライター、P(ぴい)さんに教えてもらった。

京都ならではの風情、味が堪能できるあの店へ。発売中の特別編集MOOK「ひとりでも、京都へ」より、特別にWEBでも公開します。

『スパイスゲート』の京風スパイス朝定食

カレーは飲み物? いや、『スパイスゲート』のカレーはお茶漬け。各国の味を求めて、京の朝ごはん探訪。vol.3
鶏キーマと魚介出汁のカレー¥1,200。野菜もたっぷり添えられている。

女性店長の手によるカレーは、「京風」と頭につくだけあって、やさしくほんわかしたお味。でも、食べ進むうちにスパイスが少しずつ顔を出して主張を始める。ぼやっとした頭も次第にシャッキリしてくる。

バスマティライスは『祇園 北川半兵衛』の煎茶を入れて炊き上げて、香りと旨味をプラス。カレーリーフで香り高く仕上げた魚介出汁のカレーは、ぶっかけてもいいし、少しずつ混ぜてもいい。食欲がどんどん出てくるぞ。添えられたアチャールやインド風おひたしや千枚漬けが、お茶漬け気分を盛り上げる。朝カレー、とってもいい。これはクセになる。

SPICE GATE 四条河原町

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ほかに京風スパイス朝定食・サバとみょうがの冷やし出汁カレー¥1,380、大盛り、小盛りあり。スパイスをきかせたスイーツも人気で、カフェ利用もできる。テイクアウトも可。

住所:京都市下京区寺町通仏光寺下ル 寺町しきさいビル2F
電話:075−741−7554
営業時間:朝7:30〜11:00LO /昼夜11:30〜21:00LO /無休 

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食都・京都は朝から誘惑多し。心も胃袋も千々に乱れる。

お楽しみはこれからだ、じゃなくて朝からだ。京都の旅は朝から楽しい。何が楽しいかって、朝ごはんである。まずは、滞在中に一度は訪れたいレトロな喫茶店。いつもの席で新聞読みつつ一服しつつ(喫煙OK店多し)、コーヒー飲んでトースト食べてるおじさんと、まるで子どものときからずっと来てました的な顔で、同じものを頼む。それだけで、朝から気分がアガル。厚手の卵焼きがドーンと入った玉子サンドに、ウインナーとキュウリを挟んだトーストも捨てがたい。最近はホテルの朝ごはんも個性強め、印象的な朝食を出すところも多々。それを目当てに泊まる客すらいるくらいだ。それに、宿泊してなくても朝食お試し可能なホテルも増えつつある。京都でひとり朝活、いいんじゃない?

さて、本題。京の都は古より国際都市である。そこに京都人の新しもん好きが加わると、町には世界の美味があふれることになる。その各国を代表する店が朝食にも力を入れれば、朝から世界旅行が楽しめるってもんだ。ま、それはオーバーにしても、そこそこ、各国の朝食がいただけるのが都たる所以である。

炊きたての土鍋ご飯に、ぷるっぷるの白身と鮮やかな黄身の卵をかけて、味噌汁、胡麻和えや漬物といった『』のザ・正統和朝食から、こだわりの炭焼きトーストと丁寧に淹れたネルドリップコーヒーというシンプル朝食を極めたトーストセットや、九条ねぎとしらすの玉子サンドイッチなど、バラエティに富んだモーニングメニューが揃う『小川珈琲 堺町錦店』、80年続く老舗和食店の女将が始めた台湾スタイルの鶏中華粥にプチ惣菜を組み合わせることができる『富小路粥店』、さらには、へ? 朝からワイン!? のおしゃれコーヒースタンド『タレル』とか、は? 朝からカレー!? と驚くけど、お茶漬け感覚でさらさらっといけちゃう『スパイスゲート』まで。そのバリエーションはあっぱれな幅広さ。1日2朝食して、あれもこれも試してみたくなる。

ただね、せっかく京都に来たんだからと、晩ごはんはご馳走三昧になりがちだし、ついつい飲みすぎちゃったりもする。その結果、朝はいらない、もう入らないって人も多いかもしれない。あるいは、ホテルに朝食がついていて、外で朝食ってあんまり食べないなぁという人もいるかも。だけど、それではあまりにもったいない。

そう、そこが食いしん坊にとっては悩ましいところ。京都は夜もいいけど、朝もよいから困っちゃうのである。せっかくひとりで来たんだもの。早起きして、お散歩がてら、観光気分で朝ごはん巡りしてみませんか。古きよきものも愛でつつ、新味に冒険の触手をのばす。それもまた、よろし。

お楽しみは朝からなんである。

Michiko Watanabe 渡辺 紀子

文/P(ぴい)ライター

子どもの頃から食べることが大好きで、気づけば食中心のライターに。旅して食べ、取り寄せて食べ、作って食べ。ゆえに体重はうなぎ上り。2022年の最高記録は、パン屋取材1軒だけだったのに、なぜか一日で5軒うどん屋を制覇したこと。

photo : Atsushi Kondo

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