INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
築53年のワンルームの中に、タイニーハウス。モデル・帰山あるさん、母・ひろこさん、 父・こうすけさんが暮らす家。April 27, 2024
家族みんなで手を動かして、スケルトンからフルリノベーション。
帰山ひろこさんとこうすけさんが結婚と同時に都内マンションの一室を購入したのは20年ほど前。ともに美大出身でものづくりが得意なふたりは、この築50年超のスケルトン物件にペンキを塗ったり家具を作り付けたりと、ワンルームをできるだけ自らリノベーションした。数年後、あるさんが生まれ、家族それぞれのスペースが必要になった。
最初の「ARU HOUSE」は、今より狭い半個室だった。当時幼稚園児ながら、アイデアを出し、手も動かして一城の主に。中学3 年生になり、よりプライベートで集中できる環境をつくるべく昨夏、改装に着手。
「3Dソフトを使って図面を描いて。飾り棚も自分でデザインしました」
家具は、アンティークやオーダー品に〈IKEA〉もうまく取り入れて白色に統一。ミントグリーンでペンキ塗りした壁には「自分で描いた絵や海外の古いポスターなどお気に入りを飾って」カラフルに。彼女の世界観が凝縮された空間が完成した。
対向にはこうすけさんのワークスペースも。デスクチェアに座ったままで必要なすべてに手が届くコックピットのような秘密基地だ。ひろこさんだけが専用のスペースを持っていないが「広い場所にポツンといるほうが好き。だから夫と娘が部屋に引っ込むと、広いスペースが独占できていいんですよ(笑)」。だが、こうすけさんもあるさんも自室に籠もりきりのことはない。一家がメインで過ごすのは、あくまでもリビングスペース。一緒にいるのが基本だ。
どこにいても家族の気配が感じられるのは、ワンルームならではのよさだ。とりあえずものを押し込んでおく、開かずの間がないのは、心晴れやかに暮らせるポイントだという。
「ものの量は増やさないと決めています。欲しいものがあってもよく吟味するし、新しく増えたら、代わりに何かを手放します。はみ出さずに、すっきり収めるのは厳守です」とひろこさん。自らのルールに則りながら、そうやって家族の変化に合わせ、都度形を変えてきた帰山家。
「古い家はリフォームがしやすいし、それがまた似合う。気兼ねなくいろいろ挑戦できるのも楽しいんです」
帰山ある、帰山ひろこ、帰山こうすけモデル、金継ぎ講師、映像作家
編み物やアクセサリー、家具まで自作する両親の元で育ったあるさんは、モデルとしても活躍。Instagramは@aru_to_art。創作する際にはまず図面を引く。
photo : Yuka Uesawa text : Mick Nomura (photopicnic