LIFESTYLE ベターライフな暮らしのこと。

あの人は、どんな器を使っているのか。
02 文筆家・ツレヅレハナコ &Utsuwa 器の基本と、楽しみ方。October 23, 2022

2022年10月5日に発売した「&Utsuwa 器の基本と、楽しみ方。」では、陶磁器やガラスや漆器、古伊万里や世界各国の器など、27人の器好きたちの使い方を紹介しています。そこで、文筆家のツレヅレハナコさんが旅先で集めたという柄皿を見せていただきました。

BORDERLESS カラフルな柄皿に、ふだんのおかずを。

NAME Turedurehanako  OCCUPATION Author

カラフルな柄皿と、生活感のある金属器が好き。取り皿はベトナムのソンベ焼、アルミ鍋はタイ……宴会のテーブルに、旅歩いた6か国の器が並ぶ。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
カラフルな柄皿と、生活感のある金属器が好き。取り皿はベトナムのソンベ焼、アルミ鍋はタイ……宴会のテーブルに、旅歩いた6か国の器が並ぶ。

 インド・ジャイプールから持ち帰ったブルーポッタリーの飾り皿に、堂々たる海苔巻きと稲荷ずし。モロッコのカラフルな絵付けのボウルには、ポテサラとキャロットラペをこんもりと。唐揚げをのせているのは京都〈金網つじ〉の丸盛り網で、受け皿はインドで購入した名もなき銅のプレートだ。ツレヅレハナコさんの食卓は、器も料理も多国籍、自由でにぎやかな空気に満ちている。
 これらはすべて、彼女が旅行先から持ち帰ったもの。「旅先で器を買うようになったのは、10年ほど前に訪れたモロッコ、ウズベキスタンの旅からですね。お皿にはその地の生活文化が色濃く反映されます。建物の装飾や人々のまとう衣装など、目にした風景を器という形に代えてわが家に持ち帰るのは、食に関わる仕事をする私にとって、自然ななりゆきでした」。以降、旅行の際は窯元や器の店を下調べして、ルートに組み入れるようになった。何㎏もの陶器や大きな金属製の入れ物など、「肩がもげそうになっても」大切に持ち帰る。作家が絵付けした作品や骨董品、大衆食堂のアノニマスなプリントの食器、市場に積み上げられた大量生産のアルミ容器などなど、心に響くものなら分け隔てなく。しかしこの家に集められてみると、どこか統一感があるから面白い。「ひとつひとつ、現地での思い出が一緒になっているから愛着もひとしお。眺めているだけでもテンションが上がりますが、使うとさらに楽しい。シンプルな無地の皿に比べ、派手な皿は使いにくいという意見もありますが、思い切りです。お皿が主役で食べ物が添え物でもいい。なんということのないおかずをのせても、ひとりの晩酌でも、卓上が華やぎます」。かくしてハナコ家にたどり着いた器たちは、日々の食事に気兼ねなく使われる。「ここに来たからにはわが家の日常で活躍してもらうよ。そう話しかけながら使っています」

手前のアルミ皿はみな出自が違う。右は台湾、中央はインド、左はマレーシア。奥の銅製カレー皿はインドから。左奥は韓国の骨董市で、ふきんの入れ物にするため持ち帰ったのだが、おそらく楽器の”銅鑼”だと思われる。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
手前のアルミ皿はみな出自が違う。右は台湾、中央はインド、左はマレーシア。奥の銅製カレー皿はインドから。左奥は韓国の骨董市で、ふきんの入れ物にするため持ち帰ったのだが、おそらく楽器の”銅鑼”だと思われる。
オーバル皿はウズベキスタンから。右は作家もの。左は大衆食堂でよく見る絵柄で”国民皿”と呼ぶ。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
オーバル皿はウズベキスタンから。右は作家もの。左は大衆食堂でよく見る絵柄で”国民皿”と呼ぶ。
香港の絵付け茶碗。大量生産のくせに (いや、そのせいで) ひとつひとつ形も柄も違う。それが愛らしい。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
香港の絵付け茶碗。大量生産のくせに(いや、そのせいで)ひとつひとつ形も柄も違う。それが愛らしい。
インドの銅皿と名品〈金網つじ〉の金網のコンビは揚げ物に活躍。横浜・野毛の居酒屋で一目惚れした小さな金網も仲間に。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
インドの銅皿と名品〈金網つじ〉の金網のコンビは揚げ物に活躍。横浜・野毛の居酒屋で一目惚れした小さな金網も仲間に。
ひとりの”のっけご飯”にも、居酒屋おかずにも程よい”小どんぶり”の多国籍軍。ウズベキスタン、韓国、モロッコ、香港、ベトナムから集結。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
ひとりの”のっけご飯”にも、居酒屋おかずにも程よい”小どんぶり”の多国籍軍。ウズベキスタン、韓国、モロッコ、香港、ベトナムから集結。
入れ子の器を見ると持ち帰りたくなる。韓国の寺院で使われていたという漆器は、柔らかな風合いも素敵。器 陶磁器 ガラス 漆器 古伊万里 ツレズレハナコ
入れ子の器を見ると持ち帰りたくなる。韓国の寺院で使われていたという漆器は、柔らかな風合いも素敵。

photo : Ayumi Yamamoto edit & text : Azumi Kubota


文筆家 ツレヅレハナコ

食、酒、旅をテーマにした書籍や雑誌連載を数多く手がける。Instagram(@turehana1)でも情報発信中。著書に『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)ほか。

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