TRAVEL あの町で。
音楽家の坂本美雨さんと、一年の終わりに三重を心ゆくまで感じる宿へ。 &MIE vol.2November 20, 2023 /〔PR〕
音楽家・坂本美雨さんと三重の知られざる魅力を訪ねる連載、第2回。
それぞれの町で大切に育まれてきた風情や美食に浸るステイを求めて、
城下町の桑名と伊賀、”美し国”として知られる伊勢へと足を運びました。
訪れた人 坂本美雨
さかもと・みう/音楽家。昨年デビュー25周年を迎え、リリース、ライブ活動を精力的に行う。TOKYO FM『ディアフレンズ』パーソナリティ、『村上RADIO』などのラジオ出演や、著者として『ただ、一緒に生きている』(光文社)も刊行。
Maruyo Hotel マルヨホテル
今と昔が繋がれて交じり、 美に包まれる非日常の場所。
東海道五十三次、42番目の宿場町として栄えた桑名。旅人はひとつ前の宮宿から船に乗り、七里の渡しと呼ばれる海路を経て旅を続けた。すぐそばには今も伊勢神宮の式年遷宮に合わせて建て替えられる一の鳥居があり、伊勢の国の玄関口でもある。その七里の渡跡の近くに立つのが『マルヨホテル』。明治に創業した「丸与木材」の築70年を超える本家をリノベーションした、一棟貸しのホテルだ。凛とした和の佇まいから一転して現れるのは瀟洒なラウンジ。「すっと非日常へと誘ってくれる」と坂本美雨さんも笑顔に。
当主は創業者の玄孫にあたり、パリで日本の美を伝えるサロン『MIWA』を営む佐藤武司さん。インテリアやアートのディレクションは、武司さんの妻であり、名古屋を拠点にギャラリストとして活躍する正木なおさんが手がけた。近くに残る大正時代の洋館・六華苑をオマージュした洋室。剥き出しの荒壁と窓の外の揖斐川沿いの景色が印象的なダイニングルーム。土壁とアンティーク家具に包まれるようなラウンジ。黒漆喰の床の間がモダンさを漂わせるベッドルームと、そこに続く庭にしつらえた檜の露天風呂など、時代も和洋も入り交じる空間。そこに佐藤貢や堀尾貞治らの現代アート、江戸時代の杉戸絵や李朝燭台などの骨董、内田鋼一らの工芸品が加わり、上質なギャラリーで過ごすような時間が流れる。
「部屋ごとに印象ががらっと変わって、どれも美しい。とりわけ2階の大きな窓から見る川沿いの眺めに惹かれました」と、くつろぐ坂本さん。
一日一組だけ。贅沢な空間での過ごし方は思いのまま。感性を刺激する美意識に、心ゆくまで浸りたい。
マルヨホテル
2020年10月開業。桑名の名物は蛤。徒歩圏内にある蛤鍋の名店『日の出』の料理やルームサービスなどの夕食が付くプランも。朝食は三重産の素材を使ったグラノーラなどの洋食。
▷三重県桑名市船馬町23 ☎090−2773−0004 1泊朝食付き2名利用¥33,000~(1名料金)。定員4名。
Auberge Yusura オーベルジュ ユスラ
温泉付きのヴィラでくつろぐ 和のオーベルジュで口福を。
美味なるものと美しい景色に出合える美し国、伊勢。両方を堪能できるのが二見浦の『オーベルジュ ユスラ』。
夫婦岩で知られる二見興玉神社の程近く。広々とした敷地に立つ、プライベート感の高いヴィラタイプの客室が5組限定のゲストを迎えてくれる。けやき、ひのき、かえで、さくら、とちと、部屋の名に付けた木材をふんだんに使った部屋は、それぞれに異なる趣で温もりを感じさせるしつらえ。庭の眺めや、美肌の湯で知られる榊原温泉の湯を露天風呂で楽しめる。
ホテルは居心地を重視して選ぶという坂本さん。「1部屋ずつが独立していて、ゆったりと落ち着けるのがなにより。どのお部屋にも和室があるから、子どもも楽しいし安心です。開放感のある露天風呂も魅力」
オーベルジュの主役となる料理は、三重のブランド牛・松阪牛や伊勢湾で獲れたての魚介類、豊かな自然に育まれた旬の野菜をふんだんに使い、伝統的な日本料理で。伊勢えびの刺身、あおさのりを寄せたあおさ豆腐、とろけるような霜降りの松阪牛の焼き物と、三重ならではの美味が会席仕立てで登場する至福のひととき。
「鮑とじゅんさいの組み合わせや、伊勢えびに添えられた泡醤油の食感も新鮮で、おいしくいただきました。とりわけ土鍋で炊かれた、とうもろこしご飯はあっという間に食べてしまったほど。三重の食の豊かさを、改めて実感することができました」と坂本さん。
伊勢神宮の内宮までは車で15分ほどというロケーションで、泊まった翌朝は参拝を済ませてから朝食というのも、伊勢ならではの過ごし方。美し国を存分に満喫できるステイだ。
オーベルジュ ユスラ
2018年開業。全5室。料理は松阪牛コースのほか、鮑ステーキコース、伊勢海老コースなどがある。朝は旬の地魚の炙りや熱々のだし巻きなどを土鍋ご飯とともに味わう和朝食。
▷三重県伊勢市二見町松下1347−2 ☎0596−63−5511 1泊2食付き2名利用¥55,000~(1名料金)。
Nipponia Hotel Igaueno Jokamachi ニッポニアホテル 伊賀上野 城下町
城下町をホテルに見立て、 逍遥へと誘う仕掛け。
忍びの里として知られる伊賀上野は400年の歴史を持つ城下町。伊賀上野城を中心に藤堂高虎が整備した碁盤の目の町並みは、今も風情を漂わせている。「まち=ホテル」をコンセプトに、3棟の古民家を宿にしたのが『ニッポニアホテル 伊賀上野 城下町』。町全体を緩やかに敷地に見立て、宿に滞在しながら伊賀上野の歴史ある地を体感する、分散型のホテルだ。
国の登録有形文化財でもあるかつての料理旅館は、レストランと客室を備えたフロント棟・KANMURIに。客室は蔵を改装したもの、茶室を持つものと、部屋ごとにがらりと異なるしつらえ。壁や窓にあしらわれた柾割竹の装飾、急須をかたどった襖の引き手の意匠などは昔のままの姿を残し、檜風呂やモダンな家具、寝具などで快適さと機能性が加えられている。津へと続く伊賀街道の起点に立つ、広々とした中庭を持つ町家はKOURAI。鍔型の虫籠窓や親子格子の外観がひと際印象的な、明治初期の元材木店はMITAKE。伊賀の伝統工芸品・伊賀くみひもの編み方の名が付けられた3棟が、それぞれに異なる趣でゲストを迎えてくれる。
山あいの伊賀で育まれた地の恵みを味わうのもまた、大いなる楽しみ。幻ともいわれる伊賀牛をはじめ、生産者から直接買い付ける野菜、川魚まで地元食材をふんだんに。ディナーはフレンチの技法で仕立てるイノベーティブな料理をコース仕立てで。朝食では土鍋で炊く伊賀米のご飯を中心に、郷土料理の豆腐田楽や地元酒蔵の酒粕を使った粕汁など、ご飯のお供が揃う和食を。伊賀焼の器や、ゆらめくガラスの向こうに広がる庭の眺めが、より一層、味わいを引き立ててくれる。
ニッポニアホテル
伊賀上野 城下町
2020年11月開業。全10室。宿泊時はもちろん、レストランだけの利用も可能。
▷三重県伊賀市上野相生町2842 0120−210−289 1泊2食付き2名1室¥30,690~(1名料金)。レストラン『ルアン』 11:30~15:00(14:00LO) 17:30~22:00(20:00LO) 不定休
photo : Mai Kise text : Mako Yamato 提供 : みえ観光の産業化推進委員会