木津谷 優子 — 『ル・ベスベ』店長 | & Premium (アンド プレミアム)

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『ル・ベスベ』店長 木津谷 優子


Dos & Don’ts 01 / April 28, 2021 花を飾るときにやらかしがちな、8つのこと。

ステイホームの時間も増え、花と緑を部屋に迎える機会が増えたこの頃。なかには、「なぜか元気がない……」と原因の分からないままに枯らしてしまった方もいるのでは。
ここでは、初心者がやりがちな植物にまつわるNG行為をプロが解説。花を飾るときの失敗について、東京・南青山の花屋『ル・ベスベ』の店長・木津谷優子さんが教えてくれた。
*2021年4月20日発売『&Premium』最新号「花を飾ろう、緑を育てよう」収録記事より。

 

NG1
花にも光が必要なはず!
直射日光の当たる場所へ飾ってみる。

花にも光が必要なはず!直射日光の当たる場所へ飾ってみる。
もともとはそれぞれの植物に付いていた花。そう考えると、太陽の光は”恵み”だと思ってしまうもの。せっかくきれいな花だから、部屋に飾るときは日陰ではなくて、日射しが入る窓際に飾りたいとも思ってしまう。そうだ、たまにはベランダなどの直射日光が当たる場所に出してあげたりして……あれ、ちょっと元気がなくなってきた? 「日に当ててあげたい気持ちはわかるのですが、むしろ太陽の光に当てすぎるのは花にとって悪いこと。花は高温の環境が苦手なんです。特に直射日光は花と花瓶の中の水の温度を上げてしまうので、できるだけ避けてください。部屋の様々な場所に飾りたいところですが、花の元気を保つことを考えれば、日陰で涼しいところがベター。マンションなどでは玄関が適していることが多いです。ちなみに、これは”切り花”の話。鉢に植えている花は日に当ててあげましょう。フラワーショップでも大抵、切り花は屋内に置いてあり、鉢植えは屋外に並んでいますよね」
 
 

NG2
風通しよく、
エアコンや扇風機の風も直接花へ。

風通しよく、エアコンや扇風機の風も直接花へ。
風通しが大事、とはよく聞くけれど、フラワーショップと同じように常に家の窓を開けっぱなしにしておくわけにもいかない。近頃はむしろ気密性の高い家が多いし、窓からすきま風も入らない。風通しを確保するには、エアコンやサーキュレーターをつけて、時には風が花に当たるようにしたほうがいいのでは……? 風になびく花もなんだか気持ちよさそうだ。「”風通し”は大切ですが、風を”当てる”必要はありません。直接当ててしまうと、刺激が強すぎて、花にダメージを与えてしまいます。窓を開けたりして適度に換気する程度が望ましいです。ただし、湿度を上げないことも同じくらい大切。花びらがカビてしまうこともあるくらい、花は湿気に弱いもの。梅雨は特に気をつけたいですね。この時季、店ではエアコンの設定をドライにして除湿をしています。風通しも湿度も、目安は自分自身が暮らしていて気持ちいいと感じるくらい。それが花にとっても快適なのだと思ってください」
 
 

NG3
花切りばさみを用意するのが面倒。
事務用はさみでカット。

花切りばさみを用意するのが面倒。事務用はさみでカット。

店で茎をカットしてもらうものの、家の花瓶とうまく合わせるには家でも切る必要がある。しかしながら、ついつい花切りばさみを用意するのが面倒で、手持ちの事務用はさみでカットしてしまうことも……。「それはほぼ確実に花をダメにしてしまいます。事務用はさみ程度の切れ味では水が通る道管がつぶれてしまうんですね。花を飾るときには、花瓶と一緒に園芸用のはさみも必ず用意しておきましょう。時に『カッターなら切れ味がよくて、花切りばさみ代わりになりますか?』と聞かれることがありますが、いくら新品のカッターでも難しいと思います。花切りばさみは決してプロだけの道具ではなくて、初心者こそ頼ってほしいです。切り方も簡単で、水を吸う面が大きくなるように茎を斜めにカットするだけ。道管に空気が入らないよう、茎を水に浸けながら切るとよりよいです。茎を新聞紙で巻いてまっすぐに整えてから水中でカットすれば、水の通りが一層よくなりますよ」

 
 

NG4
茎がどっぷりと浸かると苦しそうだから、
花瓶の水を少なめに。

茎がどっぷりと浸かると苦しそうだから、花瓶の水を少なめに。

茎の先端から水を吸い上げるのならば、花瓶の水は少なくてもいいのでは、と考えるのも不思議ではない。花瓶の中にたくさん水を入れたままにしておくのはあまり清潔そうではないし、なんだか茎も苦しそうだし。「そんなことはありません。花を飾ってみると、想像以上に水をグイグイ吸って、花瓶の水があっという間に減ることに気づくはずです。少なくともフラワーベースの半分程度を目安に、もっと多めに入れてもいいくらいです。そのうえで、水替えは毎日行うのが理想ですね。一番ダメなのは水がなくなってしまうこと、と覚えておきましょう。ただし、ガーベラやカラー、ヒマワリなど、品種によっては茎が腐りやすいので、迷ったら購入先のショップに聞くのがベター。ちなみに葉は手でさっと取ってしまって構わないので、水に浸かるほどの高さに付いたものは前もって取り除いておきましょう。水中をシンプルにして、菌が繁殖しづらい環境をつくるといいですね」

 
 

NG5
水を入れているだけだし、
花瓶はわざわざ洗わない。

水を入れているだけだし、花瓶はわざわざ洗わない。
清潔な水を入れていて、しかもまめに替えているのだから、花瓶は洗わずに繰り返し使いがち。洗剤なんて使おうものなら、後にすすぎ残しの化学成分が花に悪影響を及ぼす気がして不安でもある。水替えのときにさっと流せば十分では……? 「花の大敵は道管を詰まらせる雑菌です。そう考えると、花瓶の中の衛生環境を清潔に保つことは花にとってすごく大切なこと。花を挿しているだけでも菌は発生していますし、ひどいと茎を腐らせてしまうこともあるんです。こまめに水替えをするだけでなく、飾っていた花を替えるタイミングを目安に、スポンジに洗剤をつけて花瓶をしっかり洗ってあげましょう。汚れがひどいときには漂白剤に浸けておくのもいいですよ。洗い終えたときに薬剤をきれいに流しておきさえすれば、神経質になる必要はありません。ちなみに、花を飾るときにも水の中にごく少量の漂白剤を混ぜると、殺菌効果のおかげで菌の繁殖が抑えられて、水をきれいに保てますよ」
 
 

NG6
プロが茎や葉をカットしたのだから、
花屋で買ってきたまま飾りたい。

プロが茎や葉をカットしたのだから、花屋で買ってきたまま飾りたい。
花の美しい状態をキープし続けたい。その美の頂点は、店で受け取ったまさにその瞬間。プロがカットした茎、取り除いた葉、このバランスを保ち続けることが、花にとっては一番いいんですよね? 「花の飾り方はもちろん自由ですので、思うままに飾るのが一番です。ただ、茎の半分程度が花瓶に収まるようにカットしてあげると花が安定するので、まずは花瓶と花のバランスがよい長さにしてあげたほうが初心者にとっては安心だと思います。それに茎を切ることは悪いことではなく、水を吸い上げやすくするテクニックのひとつ。水が行き渡っていないと思ったら、どんどん切りましょう。清潔さを保つために茎を水洗いするのもいいですよ。また枝ものは、水が浸かるほうの先を十字にカットすると水を吸い上げやすくなります。可愛いからと手を加えずにいると、かえって花にとってはよくないことも。むしろ、最低限のルールさえ守れば意外となんでもあり。それも花を飾る楽しみのひとつです」
 
 

NG7
仕立ててもらったきれいなブーケ、
そのまま花瓶に挿してしまおう。

仕立ててもらったきれいなブーケ、そのまま花瓶に挿してしまおう。
誰かにもらうだけでなく、自分用に花を購入するときにブーケ状に仕立ててもらうことも。美しいアレンジメントをできるだけ崩したくないから、そのまま花瓶に挿したいところ。たまたまぴったりのサイズの花瓶も持っているし、そのまま挿してしまおう! 「いえいえ、紐で縛ったまま、花瓶いっぱいに詰め込んでしまうのは、花にとっては二重苦です。そのまま飾りたい気持ちもわかりますが、グッとこらえて紐はほどき、花瓶のサイズに合わせて飾りましょう。ブーケを仕立てている紐は水を吸い上げるための道管も締めてしまっていることがあるので、水が花に行き渡りにくくなっています。それと同じく、花瓶の口にぎゅうぎゅうに詰めてそれぞれの茎に圧がかかってしまう環境もNG。水を吸い上げるにあたって障害になりますし、窮屈ゆえに蒸れやすく、花瓶の中の湿度の上昇に繋がるためおすすめできません。とはいえ神経質になりすぎず、口がパンパンにならなければ大丈夫です」
 
 

NG8
花は涼しい環境が好きだから、
いっそ冷蔵庫で保管してみる。

花は涼しい環境が好きだから、いっそ冷蔵庫で保管してみる。
花は涼しい環境が好きで高温多湿は苦手なのはわかっていても、どんどん気温が上がっていくこれからの季節、日中の室内はかなり蒸し暑くなってしまう。かといって、仕事で出かけている間までクーラーをつけっぱなしにしておくわけにもいかないし……。もしかして、日中は冷蔵庫に入れておけばいいのでは? 野菜も冷蔵庫で保管するものなのだから。「確かに花は涼しい環境を好みます。だけど、その適温はせいぜい10℃程度のもので、冷蔵庫だとさすがに寒すぎるんです。家を空けるときに玄関先に移動するなど、少しでも涼しい場所に動かしてあげるだけでも花の持ちはよくなります。また、人に渡す花束をどうしても前日に受け取る必要があって、家で保管しなければならないこともありますよね。そんな時は、冷房で冷やした部屋に置いておくのも手です。花屋のように、肌寒いくらいの室温でOKです。とはいえ、プレゼントをする場合はできるだけ当日に受け取るのがおすすめです」
 

illustration : Hiroko Shono text : Ryota Mukai


『ル・ベスベ』店長 木津谷 優子

東京・南青山にある花屋『ル・ベスベ』で、2015年から店長を務め、本誌巻頭連載「&days」で「今月の花」のアレンジメントも担当。ビル街に突如現れる花いっぱいの店には、絵本の世界に迷い込んだような楽しさがある。ホームページではオリジナルで制作する「ル・ベスベカレンダー」を毎月更新中で、これを眺めるだけでも癒やされる。▷東京都港区南青山7‒9‒3 ☎03‒5469‒5438 11:00~17:00 火休

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