ライター・コーディネーター 浦江 由美子
March 05, 2018 連日、日本映画満席の人気、 68回ベルリン映画祭 浦江由美子
連日、日本映画満席の人気、
68回ベルリン映画祭
20歳の監督、山中瑶子の青春映画「あみこ」、黒沢清のスリリングな「予兆 散歩する侵略者」、佐藤啓子プロデュースの60年代ピンク映画特集、1985年の日雇い労働者のドキュメンタリー「山谷—やられたらやり返せ」、過疎化をテーマとした想田 和弘の「港町」、根強いファンを持つクラシック、小津安二郎の4K版「東京暮色」。様々なジャンルの日本映画公開は地元ベルリンの方や世界各国からやって来た映画ファンで劇場がどこも満席。涙と笑い、熱気で溢れていました。

November 20, 2017 現代音楽の巨匠コンロン・ナンカロウの自動演奏ピアノ、沖縄に上陸。 浦江由美子
現代音楽の巨匠コンロン・ナンカロウの
自動演奏ピアノ、沖縄に上陸。
紙ロールに直接、楽譜をオルゴールの原理で穴あけをし、自動演奏機で読み取らせることで、人間には到底、演奏することの出来ない独自のスピードと音階の音楽を作曲したコンロン・ナンカロウ(1912-1997)。彼の作品群が11月5日、沖縄の科学技術大学院大学(OIST)で演奏されました。私はこの紙ロールをコンサートに間に合わせるため、はるばるベルリンから沖縄まで運びました!人工知能美学芸術展の一環で、自動ピアノと紙ロールは期間中、2018年1月8日まで、OIST内に展示されています。
http://aloalo.co.jp/ai/exhibition/

October 12, 2017 本は国境を越えて。ベルリンで盛り上がるアートブックフェア。 浦江由美子
本は国境を越えて。
ベルリンで盛り上がるアートブックフェア。
芸術の秋、読書の秋。今年で5回目を迎えるベルリンのアートブックフェア「Friends with Books」。駅舎跡のハンブリガーバーンホーフ現代美術館のメインホールにはたくさんの本好きが詰めかけました。読書とは文字を読むだけではありません。ビジュアル・ランゲージは言葉の壁を超え、力強いメッセージで色々な国の人のハートを掴んでいました。

September 18, 2017 オスロの建設中美術館で中谷芙二子による霧のパフォーマンス 浦江由美子
オスロの建設中美術館で
中谷芙二子による霧のパフォーマンス
2020年完成予定の新国立美術館の工事現場で日本を代表するアーティスト4人の夢の共演が実現しました。中谷芙二子による霧のインスタレーション、田中泯による踊り、音楽が坂本龍一、総プロデュースにダムタイプの高谷史郎。天候の変動が激しいオスロで公演前まで振り続けた雨がピタリと止み、夕暮れ時、湾を臨むステージで田中泯さんが姿を現すと神聖ともいえる空気が流れ、幻想的な世界に。1970年の大阪万博ペプシ館でキャリアをスタートした中谷さんの霧の世界は今後、東京、ベルリンでも展開するとのこと。霧は人を繋ぎます。

July 20, 2017 ミュンスターで水の上を歩くアート。 浦江由美子
ミュンスターで水の上を歩くアート。
10年に1度、ドイツ北西部のミュンスターで開催される国際アート展「Suklptur Projekte」に行ってきました。公園や公共スペースだけでなく街全体が展示場所で、図書館とかバーなど、探すのに一苦労ですが、見つけると驚きの連続。トルコ人アーティスト、アイセ・エルクメンの作品「On the Water」は運河の水面下に浅く、橋を掛けちゃいました。「キリストみたいに水の上が歩ける」と喜んでいる叔父さんもいましたが、年齢も国籍も問わず、ワンコまでもが大行進。夏の暑さを凌ぐ、参加型アートですね。10月1日まで。

June 15, 2017 現代アートの祭典「ドクメンタ」へ 浦江由美子
現代アートの祭典「ドクメンタ」へ
5年に一度のアート界のオリンピック「Documenta」がはじまった。今年で14度目の開催で6月10日から100日間、世界中からの現代アートが展示されている。「アテネに学ぶ」というテーマで実は4月から既にアテネでもサテライト・プロジェクトがスタートしている。アルゼンチン人作家マルタ・ミニュジンの「本のパンテオン」は寄付された本を積み上げて行く、参加型のインスタレーション。ナチス時代、焚書の行われたドイツの都市・カッセルのフリードリッヒ広場にそびえ立ち、歴史の重みと迫力を感じる。

April 06, 2017 ジェンダーフリー時代、映画『彼らが本気で編むときは、』 浦江由美子
ジェンダーフリー時代、映画『彼らが本気で編むときは、』
『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督の新作が今年のベルリン映画祭のLGBTをテーマとしたテディ・アワードで審査員特別賞を受賞しました。荻上監督はベルリンのオーディエンスとの質疑応答で「ゲイじゃない俳優(生田斗真さん)がこの役を演じるのはなぜ?」と質問を投げかけられています。でも、この役はゲイが演じるべきと決めたのはいったい誰だろう? 1人の人間が恋をし、編み物をしながら生活を営む淡々としたストーリー。日本からのジェンダーフリーの意識が評価された結果だと感じました。
