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lunuganga 本屋ルヌガンガ


Book 127 / August 10, 2018 『すぐそばの工芸』三谷龍二 著(講談社) 選・文/本屋ルヌガンガ

すぐそばの工芸

手触りや質感といったテクスチャーに対する偏愛こそ、日本の工芸を形作ってきました。それは工芸が、使う人の「心地よさ」に寄り添い、生活の中で磨き上げられてきたからこそ。本書は木工作家・三谷龍二が、親密かつ深みのある筆致で、生活工芸の哲学と美学、そして現在地を伝える一冊。生活工芸は、仰々しい「作品」という枠組みから遠く離れて、余白を残した、静かな佇まいをしています。その控えめな美しさを発見し、工芸の持つ余白を埋めるのは、きっと使い手の感受性です。本書を読むと、工芸の世界の奥深さを存分に味わうため、自分の感受性を磨きたいものだ、と背筋がしゃんとしてくるのです。


Book 126 / August 03, 2018 『サードプレイス』レイ・オルデンバーグ著 忠平美幸訳 マイク・モラスキー解説(みすず書房) 選・文/本屋ルヌガンガ

サードプレイス

「心地よく暮らす」というと、世界の喧騒からそっと離れて、静かに自足して生きる姿を想像しがちです。でも、気の会う仲間と、気楽で楽しい時間を過ごすことも、心地よい暮らしには欠かせないはずです。イギリスのパブ、フランスのカフェ、日本の居酒屋……。本書は、そういった「家庭や職場での役割から解放され、一個人としてくつろげる」場所=サードプレイスの重要性や機能、成立条件を明らかにする一冊。とびきり居心地の良いサードプレイスが、私たちにどんなに必要か、ということがひしひしと伝わってきます。部屋でのんびりしているのに退屈してきたら、街に出て、自分にとって心地よい場所を探そう。そんな気分になる一冊です。


Book 125 / July 27, 2018 『大和なでしこ整体読本』三枝誠 著 水上みのり 絵(ちくま文庫) 選・文/本屋ルヌガンガ

大和なでしこ整体読本

姿勢、食、触れ合うこと、温めること。そんな身近で根源的な視点から、「大和なでしこ」として美しく生きるための知恵を教えてくれる一冊。書かれている知恵は、どこかぼんやりと馴染みのある、でも忘れられていたものが多く、さながら、日本人が本来もっていたカラダに対する叡智を思い出させてくれるようです。どこまでも平易な言葉とイラストで、具体的に語られる本書は、整体には興味のない人が読んでも、驚くほど「ストン」と腹に落ちます。そして、どこか難しげな教義のように感じていた整体というものが、ぐっと身近に感じるのです。あ、「大和なでしこ」と謳っていますが、男の人が読んでも面白いです。


Book 124 / July 20, 2018 『火山のふもとで』松家仁之 著(新潮社) 選・文/本屋ルヌガンガ

火山のふもとで

建築は、生活を設計する仕事だ。光の当たり方、部屋の暖かさ、目に入る景色、漂ってくる香り、目に触れるものの手触り……。五感すべてに気を配りながら、使う人の動きを想像し、彼らが心地よく過ごせるよう、人が気づかない程度の仕上げの工夫を施す。建築事務所に入所した「ぼく」のひと夏を描く本書は、そんな、建築家の仕事ぶりと哲学をありありと伝えてくれます。端正な筆致は控えめな表情をしていますが、芯には強い哲学が根を張っています。注意深く、小さな声を聞き逃さないこと。細部にこそこだわり、同時にさりげない表情をしていること。静かに語られるそうした本書の哲学は、私たちの背筋を伸ばし、同時に柔らかな気持ちにしてくれるはずです。


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読む前から「それが何の役に立つのか」が明らかな本ではなく、純粋にその言葉の「肌触り」を味わえるような本であると同時に、読み終わった後に世界の​風景が少し変わってしまうような本を届けている。
香川県高松市亀井町11−13中村第二ビル1F
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