しらす しらす
March 21, 2023 ブラッシングの時間ですよ。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.21
季節の変わり目、猫の一大イベントといえば、毛の抜け替わり。もふもふに蓄えた冬毛から少しだけほっそりと夏毛に衣替え。夏毛から冬毛に替わる頃には、シャンプーをして一気にスッキリさせてあげられるのですが、春とはいえ、まだうすら寒い。風邪を引いてはいけないので、今シーズンのシャンプーはもう少し先です。
今の時期、床や寝床、毛布に転がっているのは、大きめな毛玉の数々。毛が抜けきらず、しらすの体の表面もボサボサしてくるのが衣替えあるある。せめて毛繕いが難しい背中だけでもお手伝い、と思い同居人はブラッシングを試みます。しかし、しらすはブラッシングが大嫌い。自分のことは自分でするわい! と言わんばかりに、ブラシと同居人の手に毎度猛烈アタックしてくるのです。ただ、こちらも諦めません。いつまでも恐竜みたいなギザギザの毛割れ背中にさせておくわけにはいかない。ジリジリと睨み合いを続け、タイミングを見計らって何度もトライ。戦況はこちらが今のところ惨敗。ブラシの匂いはすごく嗅ぐのに、背中を梳かされるのは嫌なよう。これはご飯に夢中になっている時に、短時間でささっと済ませる日々を重ねるしかないのか。早く暖かくなってくれれば、猫シャンできるのに。
March 07, 2023 毛繕い、一部始終。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.20
猫はとっても綺麗好きらしい。そういえば、同居人が家の一角に本を山積みにしていると、わざわざそのエリアを通りにくそうにしながらウロウロして、こちらのリアクションを窺ってくる。そうなると片付けようという気持ちになるので、ぜひこれからも積極的にウロウロして欲しいと思ってしまう。いつも忠告ありがとう。
綺麗好きといえば、毛繕い。しらすはよく手をペロペロ舐めている。それはそれはとてもおいしそうに。手が大福やソフトクリームのように見えてくる。でも、本人はいたって真剣。何かがきっと気になるのだ。自分の気に入る毛並みになるまで舐めているのかもしれないし、何か隠したい臭いがあるのかもしれない。もう十分綺麗(そしておいしそう)だし、そのくらいでいいのでは……と眺めていると、突然時が止まったかのようにフリーズする。しかし、再び動き出し、次は腕の部分へ、そしてもう片方の手へ……。肉球の溝までしっかりと舐める。ついでに後ろ足もしっかりと。本当はこの動画、5分超えの超大作。同居人の動画を撮っている腕力が先に限界を迎えたので、毛繕いは5分以上続きました。
February 21, 2023 あくびでますますはみ出る長い舌。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.19
猫のあくびが大好きなのですが、賛同してくださる方は挙手をお願いします。普段は仏頂面な顔が、突然口元の真ん中に向かってぎゅっと力が入って、ぐわっと気持ちよく開かれるところが面白くて、写真を撮っている際、あくびの瞬間に遭遇すると連写が止まりません。
しらすのあくびは、どこまで開くのだろうと思ってしまうぐらい、豪快に口が開く。同居人も盛大に大口を開けてあくびをするタイプではありますが、顎が外れたらどうしようと思うと少し控えめになります。しらすはそんな心配もなんのその。縦にも横にも大きく開いた口は、どことなく『JAWS』の鮫を思い出させ、ちょっとだけ怖い。ちなみにあくびをしている姿を観察していて知ったことは、しらすの上顎には黒い楕円形の柄があること。口の中にまで柄があるなんて、おしゃれな猫だなぁと感心しています。
そして見どころは、やはり舌。仕舞いきれずにいた長い舌が、盛大にべろーんとレッドカーペットのように出てくる。もしも蟻ぐらいのサイズに小さくなれたら、しらすレッドカーペットの上を歩きたい(ざらざらして歩きにくそうなので、残念ながらハイヒールはNGです)。その後、ペロペロと口周り(調子がいいと鼻あたりまで)を何周かして、また長い舌は口に収納されていきます。
いくら大口を開けようとも、やっぱり気になってしまうメインの存在は舌。一度でいいから全長何cmあるのか舌を計測してみたいと考えてしまう。たまたま今朝、毛繕いしている様子を眺めていたら、途中で突然ぼーっとし始めたしらす。毛繕いにはまんべんなく舌をフル活用するタイプのようで、今まで見たことがないくらいの長さのベロが出しっぱなしに。一瞬の出来事だったので写真に収めることはできませんでしたが、人差し指ぐらいの長さはあったはずです。実際にベロの長さを測ることは難しいので、目分量で長さが特定できるように、引き続き観察を続けたいと思います。
February 07, 2023 しらす流、暖の取り方。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.18
年が明けると、春を目前にしながらも、今までとは違った早さでググっと冷え込んでくる。猫の平均体温は人よりも少し高めの38℃くらい。そこにふわふわの毛をまとっているのだから、人よりもさぞ暖かいのだろうと想像する。
我が家のしらすは、体温調節があまり上手ではない。暑い夏も外が見たかったり、人から隠れたかったりするので、カーテンの中(窓最前線)へいく。そして、そのまま眠くなってしまいぐーぐー眠る。結果、ちょっとカラカラになりかけるところを同居人に見つけられ、無理やりカーテンの外へ引きずり出される(たまに諦めが悪く、もう一度カーテンの中へ→引きずり出される、を延々と繰り返す)。冬も同じく、外が見たくて冷たい窓際に座り込んでいたり、眠気に勝てずに寒い場所でも眠り続ける。その場から動きたくないのならせめてもの防寒を、と毛布をかけてあげると、うざったそうに毛布を取っ払い、その場から逃げていく。自分の体調よりも気持ちが勝ってしまう、我が道をいく猫、しらす。
ただ、今年の冬は暖かい場所を見つける腕を急に上げたらしく、毛布の上(やっぱり身体にかけられるのはあまり好きじゃない)や陽が当たるところを見つけては猫らしくごろんと寝転がっていたりして丸くなっている。思わず「猫みたい……!」と口走ってしまうほど、お手本のように猫らしい様子を見かけるのだ。朝はダイニングテーブルの椅子に陽が当たるので、同居人たちが朝食を食べていると隣の椅子に寝そべってくれる。隣に座ってくれているの!? と歓喜の声をあげてしまいそうになるけど、ただそこに良い暖があるだけなので、同居人が隣にいようがいまいが関係ない(おそらく、ちょっかいを出されたくないので、本当はいない方が良さそう)。
人に何か施されることはあまり好きじゃないけど、自分が心身共に心地よいところをちゃんと見つけてくれるようになったのは、同居人としては安心しています。みなさまも、みなさまの動物さんたちもグッと冷える季節、暖かくしてお過ごしください。
January 17, 2023 粘着質な作業阻止係。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.17
この原稿も同様ですが、執筆は家ですることがほとんどで、いつも家のリビングで作業をします。そうすると、やってくるのです。あの猫が……! その名も作業阻止係。
運が良ければ、隣の椅子に座ってすやすやと眠りこけてくれますが、大半の場合、まずはおもむろにテーブルに乗って距離近めに、横にじっと鎮座(写真1、2)。最初のうちは、「見守ってくれているのかなぁ」なんて喜んでいましたが、そんな喜びも束の間。キーボードを打つ手を目掛けてパンチ!そして獲物を仕止めるなら根本を狙え! と言わんばかりに、どこで教わったのか腕にガブガブ噛みついてきます。3枚目の写真にある服の袖のシミの数々は噛み付いた痕跡。そろそろ鷹を腕に止まらせる時に装着するカバーを導入したほうがいいでしょうか。「ねぇ!やめてよ~!!」と言っても、もちろんやめてくれません。小学生の子どもが好きな子にちょっかいを何度も出してしまう。そんなようにも見えなくはないですが、作業阻止係は随分と粘着質。任務を遂行するまでは腕に突進してきます。ただこちらも粘着質に耐えながら作業阻止係を阻止することに挑む。すると、突如飽きてどこかに行ってしまうこともあります(その時点で同居人は疲労困憊、それにより作業中断)。
時折、手法を変えて見えないところから狙ってくることもしばしば。オンライン会議をしていたときに下からジャンプして腕にぶら下がられたことがあります。突然web上に並ぶ小さな四角の小窓の1つから叫び声が上がって、会議に同席されていた方はたいそう怖かったと思います。驚かせてしまってすみません。私も驚きました。
しかし、いくら作業を阻止されても、ガブガブ噛んできても、かわいいなぁと喜んでしまうのが同居人の性。これをツンデレの類に入れていいのかはわかりませんが、猫らしい猫だなぁといつも微笑ましく思っています。ちなみに、この文章は既にひとつ戦いを終えてしらすがもう飽きてしまったのでゆったりと書くことができました。目の前の椅子には、ゴマおはぎのようなグレーの塊がこちらを見ている(写真4)。第2ラウンドが始まる前にこのへんで書き終わりたいと思います。
January 03, 2023 お気に入りの別荘での過ごし方。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.16
しらすのお正月ホリデーのステイ先は、毎年別荘(という名の同居人の実家)です。年に2~3度くらいしかここには訪れませんが、見晴らしのいい展望台(という名の2階建てキャットハウス)があり、毎日冬の夕暮れサンセットを眺めたり西陽に当たりながらの寝正月(写真1と4)。展望台は、しらすと暮らし始めた当初すぐに祖父が別荘に導入してくれたもの。祖父母はしらすのことを“毛だらけのひ孫“と呼びます。これ以上的確な言葉はあるでしょうか。
自宅では寝る時しか全ての部屋の行き来が許可されていないしらす。同居人の母の行き届いたケアにより、別荘ではいつでもどこでもオールアクセス可能。洗面所の引き戸を自分で当たり前に開ける技もここで習得しました(写真2)。洗面台に乗ると同居人母がすぐさま蛇口をひねってくれるので水道から得意げに水もたくさん飲んじゃう。普段は見られないお調子者な猫に変身します。
2年ほど前からこの別荘にはなぜか自分のそっくりさん(しらす実写クッション)がいて、行くたびに毎度1回は驚いているしらす(写真3)。でも、その後は別に気にしない。ベロ出っ放しで年中寝ているそっくりさんについて、「俺のお気に入りの別荘でくつろいでくれてるみたいだから悪い気はしない」とのこと。
猫はあまり移動を好まない生き物の印象があります。しらすも決して移動が好きなタイプではありません。ただ、ここは日光も燦々と降り注いで気持ちが良いし、幼少期から何度も訪れていたり、同居人以外の人間たちがとても甘やかしてくれるので(最大の理由はこれだと思う)居心地が良いようです。いつも帰宅時は展望台に立てこもり、帰宅をボイコットするしらす。帰宅交渉には、だいぶん時間が割かれます。「そんなにここがいいならずっとここにいなさいっ!!!」 とつい言ってしまいそうになりますが、同居人が寂しいのでそれはできません。
December 20, 2022 お客様、オーバーラゲッジです。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.15
普段はいくらかまわれてもドライな反応ばかりを見せるしらす。ただ、出張などで同居人が荷造りをしていると、すごく怪訝そうな顔で遠くから視線を送ってきたり、スーツケースの周りをうろついたりする。一応、家を空ける数日前から言葉で説明したりもしているし、同居人が全員家を空けるときは別宅(同居人の実家)に滞在してもらうのでひとりきりにしたりはしません。それでも彼はスーツケースの存在を見つけると必ず怪訝そうな顔で見てくる。一度、しらすの監視下にない別室で荷造りを済ませ、見つからないように静かにそーっとスーツケースを転がしながら玄関まで運ぶことにも成功したけど、その数分後、玄関にあるスーツケースを発見した時の「どうして、いつの間に」というしらすの顔はなかなかの眼力だった。
毎度怪訝そうな顔で見送られ(大体は見送りに来るのに、あからさまに物陰に隠れて見送らなかったこともある)、悲しい気持ちを堪えながら同居人は出張に行く。夜はどうしているかと心配で、同居人Bにテレビ電話をかけて様子を伺うと、玄関の方を見つめてじっとしていたりもする。ドライ猫なりの愛情表現なのだろうか、遠回りすぎて愛おしい。
そんなわけで仕事を終え、一秒でも早く帰ろうと家路を急ぐ。そんな努力も虚しく帰宅してもいつも通りの「あー、帰ってたんだ」というドライ加減。あの静かに燃えるジェラシーのような愛情表現はどこへやら。しかし先日、荷物を片付ける途中でスーツケースを開きっぱなしにして別の用事をしていたら、ガサガサッと物音が……。気付けばすっぽりとスーツケースに我が物顔でイン。これでもう大丈夫だ(何が)な顔をしている。愛くるしい姿と寂しい思いをさせてしまったのかなぁという勝手な思い込みで、ごめんよ、もうどこも行かないから大丈夫だよ~。とおいおいと泣いてしまいそうになった同居人なのでした。
後日、まじまじとスーツケースにインした写真を見返していると、じわりじわりと笑えてきた。すっぽり収まっていたように思ったけど、全然収まっていないではないか。お客様、オーバーラゲッジです。
December 06, 2022 我が家の握手会。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.14
SNSやテレビで抱っこされたり膝に乗っかってくれたり、自由自在に動いてくれる優しい猫さんたちを見かけます。そのたびに本当に同じ生き物なのだろうか? と我が家のしらすを見比べる。しらすはそんな猫さんたちとは正反対の猫らしいといえば猫らしい、そんな猫です。
そんなしらすでも、たまにはこちらの意向に付き合ってくれる時があります。そのチャンスが訪れるのは、眠りから覚めたばかりのまだ寝ぼけまなこの時間。そんな時に開催される我が家の(同居人による同居人のための)イベントが、しらすの握手会。いつもはゆっくり触らせてくれない肉球や「雪見だいふく」のような丸い手を唯一のんびりと観察できる時間です。
しらすの肉球はピンクと焦げ茶の混ざったミックスタイプ。きっと思い出した方もいるかもしれませんが、アポロチョコレートと同じカラーリングです。いつかこの手のひらに乗せて共演させたい。こんなにふわふわな生き物なのにここだけ毛がなくてツルツルなのがいつも不思議だなと思う。滑り止めがついている靴下を思い浮かべてしまいますが、おそらくそんな役目も担っているのでしょう。肉球の質感は季節によって少ししっとりしていたり、たまに乾燥していたり。一度もカットしたことがない肉球周りの毛はどんどん伸びてきて、床の上を全速力でダッシュしているときに滑っているのを見かけたことが何度か……滑り止めの意味がなくなってきています。
同居人のお気に入りは前足だけにある手根球。少し掌のようなところから離れた、人間で言うと手首のような位置に1つだけある肉球です。まるで何かのボタンのようでつい押したくなってしまう。手根球には猫の眉毛やヒゲのような感じで、歩行時に触覚器としての役割があったりするそう。様々な部位から周りの気配を感じ取っている生き物だ。どうりで機敏なわけです。
そんな肉球状態チェックも兼ねての握手会。「いつも応援してます~」「わ、本当にアポロチョコレートなんですね(?)」「今日はしらすさんの肉球に合わせた色のネイルにしてきました~」などと好き勝手言いながら触っていると、時折しらすの堪忍袋の尾が切れ、突然ニュッと鋭い爪が出てきて下から掬い上げるように切り裂かれることもあり。握手会は切り上げるタイミングが大切です。
November 22, 2022 居場所について。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.13
こだわりのある(ように見える)しらすは、日々いろんな場所を試している。
大きなクッションの上にいるときも、真ん中でドーンと座ればいいのに、端っこの、しかも斜面で丸くなる。端っこが好きなのか、クッションの窪みのベスポジがたまたま端っこだったのか。ただ、明らかに見ているこちらとしてはハマりが悪い。眠りこけて転がり落ちないか心配である。(写真1)
どうやら枠の中にいるのも好きらしい。これを書いている最中にもふと椅子の下を見ると、椅子の脚が枠のようになった部分に収まりじっとしていた。この枠の中は何かバリアで守られているような気分なんだろうか。子供の頃、ここの線からはバリアね!そこから下は溶岩だから落ちたら溶けるよ!みたいな遊びを道路の線でしていたけど、猫もそういうのあるのかしら。なんだか雨宿りをしているみたいな感じにも見えて風情があるような気もしてくる。(写真2)
そして別の日には、お気に入りスポットのソファの下から上半身だけが出ていた。しかも、身体は起き上がっているのに顔は寝ている…!ソファの上にかけていた布が身体にかぶさって落ち着いちゃったのだろうか。正真正銘の猫のうたた寝を見た瞬間だった。またまた別の日。今度は天気が良い日によく行く窓際で。窓際が気持ち良いのはわかる。でも、思い切りカーテンが顔に当たっている。それでもお構いなしに舌も相変わらず調子良く出たまま、スヤスヤと眠っていた。(写真3、4)
こだわり猫なので当然のことだけど、同居人が作る居心地の良さそうな場所はあまり気に入らない。冬が近付くとヒーター付きの毛布などを準備してみるけど、もちろんなかなか簡単には使ってくれない。ただ、今年はソファになんでもない普通の毛布を敷いてみたら、よくそこにいてくれるようになった。まぁまぁ気に入ってる感じだ。同居人としてはこの事実であと5年は満足である。(写真5)
November 08, 2022 木彫り制作中。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.12
みなさんのお宅には、木彫りの猫っていますか。我が家には木彫りの猫もありますし、います。ありますというのは、タイに行ったときに見つけた青い目がかわいい木彫りの猫ツインズ。そして、いますというのがうちの木彫り職人、しらすのこと。
我が家に来た時からずっと使っているキャットタワー。その麓には爪研ぎがついていて、かれこれ7年毎日のように爪を研ぎ続けています。正真正銘のしらすお気に入りの場所。ただ、いつも片手だけがしっかり爪研ぎからはみ出てタワーの柱を抱えている。彼にとってはそこがフィットする場所なのだろうなぁぐらいにしか思っていませんでした。そんなしらすが木彫り職人であることが判明したのは、つい最近のこと。いつもと違う角度から爪を研ぐ姿を眺めていると、あれ、なんか、すごい彫刻が出来上がってる場所があるんですけど…!?タワーの柱を抱えていると思っていた片手はキャットタワーの階段の板の縁を削りまくっていたのでした。あんな小さな爪なのに、随分としっかり掘られている。どうりでキャットタワー周りに木の粉がいつも落ちているわけです。
長年時間をかけて丹精込めて削っていたであろう作品をしげしげと眺めていると、職人がずんずんと訝しげにやってきた。「俺の作品になんか文句あるか?」と言わんばかりの鋭い眼光を向けられたのでそそくさと退散しました。そういえば、しらすは下町・江戸川区生まれ。やはり職人気質な猫なのかもしれない。キャットタワーの構造的には問題も無さそうだし、引き続き木彫り製作を続けさせてあげようと思います。ただ、いつも病院で爪切りをしてもらうたびに「しらちゃん、片手だけ全然爪研げてないねぇ」と言われているので、早速先生に理由を教えてあげようと思います。
October 18, 2022 早朝猫地蔵、現る。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.11
我が家でアラーム課 二度寝防止&二度寝促進係に就任しているしらす。大半は二度寝促進活動の方が熱心なのですが、ご自慢の長いヒゲもあってか空気を読むのは上手い。同居人の職業柄、早朝に起きて仕事に向かうこともしばしば。そんな空気を察知した時は二度寝防止係へ変身です。
ただ、勤勉なのはありがたいのですが、あまりにも見ていられない瞬間が時折訪れることがあります。それがこちらの様子。地蔵のように固まり、手足と尻尾をぎゅっと寄せ、顔は明らかに必死に眠気に耐えている……!!寝ていませんよ。と言わんばかりの薄目。気を紛らわそうと外部へ意識を向けていますが、これはもう絶対眠い。この“早朝猫地蔵“は冬の寒い時期に現れることが多いです。あったかいお布団で寝たいよね。冬の明け方には必ずと言っていいほど布団に潜り込んでくるひとですから、この状況はかなり無理をしているのでは……! 思わず「寝ていいよ?」と声をかけました。本当にありがとうね。
このお地蔵さん、頑張って同居人が家を出るまで本当に起きてくれています。いつもはツンツンしてばかりなのに、このようなデレの表現方法もあるのですね。デレというより、何か強い意思を持った戦友のような感じでしょうか。ゆっくり寝てね~と言いながら明け方、家を出ます。おやすみ!
October 04, 2022 なぜヒゲ収集をしてしまうのか。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.10
いつからか、床に落ちている猫のアレを集めるように。アレとは、猫と一緒に暮らしている方ならばどちらかしか思いつかないであろう。我が家で集められているしらすのアレとは、ヒゲのことです。(もう一方は、猫の抜け毛でした)しらすといえば、一部の友人から「海老」という名で親しまれるほどの立派なヒゲの持ち主。海老でいえばおそらく3尾分くらいはあるはずです。
昔から床に突然白い線が走っている。と思うと、それの正体はヒゲ。猫のヒゲっていつ抜けるんだろう。見ても触っても、1本抜けるくらいじゃ全く気付けない。そんなに頻繁なことではないので、見つけると「ヒゲ発見!!ヒゲ発見!!!」と我が家では毎回大騒ぎ。見つけた人にはラッキーが訪れることにしています。「幸運の猫のヒゲ」ってどこかのおみやげ屋さんでそんな商品が売っていそう。そんな「幸運のしらすのヒゲ」なので、我が家ではガラスの瓶に採集中。7年も経てばだいぶぎっしりしてきたので、最近2本目の瓶に突入です。
1つ不思議なことが。「ヒゲ発見~!!」というお祭り騒ぎは一応本人にも報告することにしていて、ヒゲを見せに行ってみるのですが、どんなに細いヒゲでも絶対に隅々まで真剣に嗅ぐのです。やはり自分から抜け落ちたものだから、自分の匂いが強くするのでしょうか。人間には嗅いでみてもわかりませんでした。嗅いだ後に、舌をぺろぺろと、おいしいものを食べた後のようなしぐさも。え、もしかしておいしそうな匂いが……!? ちなみに、瓶の外からも匂っていました。これは相当強い、しらす臭のよう。そして、またぺろり。猫の不思議である。
September 20, 2022 呼んでおいて、きょとん顔。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.09
しつこく構われるのは嫌いだけど、自分への視聴率が低いのも気に入らない男。それが、しらす。
家の者たちがテレビなどに夢中になっているのが気に入らない。すかさず壁の影などの姿が見えない場所から、かわいそう風な声で鳴いて注目を集めることを試みる。家の者たちは、すぐに声のする方に「どうしたの~!」と駆け寄る。なのに、なのに!
駆け寄ればこれである。「なんで来たの? ただあくびしちゃって、声出ちゃっただけなんですけど」とでも言っているかのようにきょとん顔である。尻尾の動きでわかるように、なんならちょっとひとりの時間を邪魔されて、うざったそうである。
家の者たちが過保護過ぎるので、かわいそう風な声に聞こえてしまうのでは……と考えてみたが、確実に彼は自分に注目が集まっていないとこの世の終わりのように鳴くのだ。鳴いているところを動画に収めようと何度も試みたものの、スマホを向けられていることがわかると彼は絶対に鳴かない。自意識のバランスがいろいろと難しい猫である。
September 06, 2022 トレンドセッターの現在地。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.08
他のお宅の猫にもあることなのかもしれないけれど、まだ誰にも聞いたことがないこと。それは、「猫の家の中でのお気に入りスポットは何日、何週間、何か月などで移り変わるかどうか」である。
我が家のしらすは大層なトレンドセッター(ただしこのトレンドは、しらすただひとりだけの比である)であり、その時々でお気に入りの場所が移り変わる。あるときはソファの下で立て篭もり(写真1枚目)、またあるときは壁に座るかのように尻を壁に平行にくっつけて(写真2枚目)重力との戦いを挑んでいる。ソファの隅っこでガラケーのように折り畳まっている流行のときもあった。最近のお気に入りは、暑いからかひんやりした洗面所の洗濯機前(写真3枚目)である。
何日も同じ場所にいるところを見かけると、「次のトレンドはそこですか」と問いかけてみる。大体は「別に」という感じの無視である。もちろんそんなにポンポンと新しい場所を発掘できるほど広い家ではないので、いくつかある流行バリエーションがぐるぐると移り変わっているだけなのだが、間は開けども何度か流行が繰り返される場所は、きっとお気に入り殿堂入りプレイスなのだろう。私が見た中ではソファの隅っこでガラケースタイル(写真4枚目)が殿堂入りだと思う。しかし、猫って本当に気分屋であるなぁと思うと同時に、自由気ままな暮らしのようでうらやましい。
August 16, 2022 箱入り猫の緊張感。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.07
いつも段ボールを床に放置していると、すぐさまガサッ、ゴソッ、ズサッッ!! という忙しない音が聞こえてくる。なんだなんだと見に行くとそこには箱入り猫の一丁上がり。隙あらばすぐに飛び込む。たとえ自分のキャパが見るからにオーバーしていそうなサイズでも、果敢に飛び込む。そして、なぜかするりと入ってしまう。猫は液体という説は本当かもしれない。
箱入り猫になって、一体彼は何をしているのかと顔を覗き込む。真顔。しかも耳はイカ耳。うっかり、温泉に浸かってる気分のように極楽な感じなのかと思いきや、明らかに顔は緊張感に溢れている。狭いところが好きなのは知っているけど、それ、楽しいの……? それとも何か彼の中でプライドを懸けた戦いがあるのだろうか。そう思うと、何か協力できることはないかと、小さめの箱が我が家にやってくるとそっと提供してしまう。でも、あまりに小さいと見向きもしない。自分の可能性はしっかり自分で測っているようだ。ギリギリのところを攻める男、しらす。同居人も、引き続き箱のサイズをじっくり見極めて提供していこうと思う。しらすの挑戦、応援します。
August 02, 2022 聞いているふり、は得意なようで。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.06
猫はよく話を聞いてくれる。ただ、ぼーっと座っているから暇なのかなと思い、つい話しかけに行ってしまうだけなのだけど。たまに「ほら、話してみ~」という顔をしているので、その日あったことをつらつらと喋ってしまう。問いかけも交えてみるけど、問いかけに応じることはほとんどなし。つい熱弁してしまい、ふと顔を見ると、なんだか目が合っているようで合っていない。しらすの得意な“聞いているふり”だ!! 「ねぇ聞いてる~!?」と、問いかけたくなる。「え? もちろん聞いてるよ~」なんて上の空な声が返ってきそうだ。
同居人は、度々無視してくる猫のおかげで鍛えられているのでハートが強い。かまわず話し続ける。多分(というか絶対)話を聞いていない猫に向かって。朝起きた時間から、何を食べ、どこに行き、何を思ったか、最近あなたのことをどう思っているのか、やめてほしいことを(壁の角ではなくちゃんと爪研ぎで爪を研いでほしいこと、肘をかじってくるのはやめてほしいことなど)ずっと話し続ける。
最初の「ほら、話してみ~」顔はどこへやら、気づいたらやっぱりしらすは寝ている。いつも聞き流してくれてありがとう。
July 05, 2022 夏来たる、猫シャンの日。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.05
暖かいというより暑い、そんな夏みたいな日が増えて、それに伴うように猫も夏毛に替わっていく。猫も人間と同じように衣替えをするのだ。長時間寝転がっていた場所には必ずケサランパサランのような毛玉が落ちている。その衣替えに終止符を打つのが、年に一度行われる大イベント「シャンプー」。
今年は、猫シャンのプロ(同居人の母)が訪問していた日と、いいお天気の日が重なって、時は突然やってきた。空っぽの浴槽は大好きだけど、シャンプーされるのは大嫌いなしらす。数分の戦いを経て浴室から出てきたしらすの顔は、明らかにキレている……。キレ顔で一生懸命身体を舐め回す、シャンプー後の安心する香りが漂う猫。本人的には一大事だと思うけど、半乾きの毛が束になってギザギザしているしらすは、パンクでおもしろかわいい。
無事に綺麗さっぱりふわふわになった翌朝、しらすの姿が見当たらない。探してみると、なんとソファ下の隙間にいるではないか。ソファ下にいたのはしらすだけではない、掃除機から逃れた彼の分身ケサランパサランたちも……!衣替えが完了した後に、思いもよらないところからしまい忘れたニットを見つけてしまった気持ちになった。今年の夏、シャンプーイベントはアンコールがあるかもしれない。
June 28, 2022 ドライタン対策。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.04
同居人の重要な役割、それは舌を出したまま眠る愛猫の舌の乾燥、ドライタンを未然に防ぐこと。すやすやと気持ちよさそうに眠るので、邪魔しちゃいけないと思いながらも舌がパリパリになってしまうのは見ているこちらが心配だ。人間でいうと唇が乾燥してしまうようなことなのではないかと思う。リップクリーム塗らなきゃって思うでしょ。
そして、寝ている角度によってはボフボフの胸毛が口に入ってしまいそうになることも。胸毛も一応整える。なんでも当事者の気持ちになって考えると解決してやらねばと思ってしまう。本当はそんなに世話を焼かなくても、たぶん猫は自分で勝手にやる。でも、眠っている時くらいは、世話を焼かせてほしいのでこちらも勝手にやる。
June 21, 2022 アラーム係、のはずが……。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.03
目覚ましが鳴る寸前、何かを察知してか、よく起こしに来てくれるアラーム係のしらす。子猫の頃は朝4時に朝ご飯くれくれアラームな猫だったけれど、人間の生活リズムに寄り添ってくれるなんて、大人になったなぁと成長を感じる。気付くとスッと足元に座っていたり、時には顔を踏まれたり、かじられたり。起こし方はさまざまだけど、この足元で朝の光を受けて鎮座している姿はなんとも神々しい。
ただ、すぐに起きないと、このアラーム係は再び人間を眠りに引きずり込む。神々しさを漂わせていたあの表情も、実は眠いだけなのだ。ほら、どんどん眠くなって、寝てる~。
June 14, 2022 胸元ブラックホールへの妄想。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.02
いつも気になっている、胸元にスッと入っている線。掻き分けてみたらチャックがあって、着脱可能で、暑い日に家に誰もいないときはジャンプスーツのように上半身だけ脱いで腰に巻いて涼んでいるんじゃないかとか、とても気になっている。背中にトレードマークの白い線が入っているパターン、背中が水玉柄のパターン、お出かけ用の一丁羅は豹柄かもしれない。本当は家のどこかにいろんなパターンの猫毛ジャンプスーツがかかっているクローゼットがあるんじゃないかとも思っている。
胸元に入った毛の割れ目だけでこんなにも妄想してしまう、胸毛ブラックホール。いつもそこを掻き分けるチャンスを狙っているのだけど、猫パンチを受け、手の甲に勲章が増えるばかり。
June 07, 2022 どうしていつも舌がはみ出ているんだろう。モデル・小谷実由としらすのペロリな日々。 vol.01
いつも舌を出しながら過ごしている猫、しらす。家に来たばかりの時はそんな素振りも見せなかったのに、いつの間にか舌を出すようになっていて、お決まりの光景である。初めて舌出しを確認したのは生後3か月のこと。寝ている時にチラリと出ているのを発見。怒られても、寝ていても、真顔で部屋の隅から人間たちを見つめる時も、本人の喜怒哀楽とは別で、舌は可動する。いつでもチョロンと出ているピンク色のそれ。これがまた良いピンクで、同居人はそのピンク色の口紅が欲しい。
寝ている時に舌を出していると乾いてパリパリになってしまうので、指でそっと舌を押している。そうすると、条件反射なのか舌をぺろぺろと出し入れする。こちらはパリパリになる舌(通称:ドライタン)が心配なのできれいに収納して欲しいのだけど、舌の長さと口の中の広さが合っていないようで、仕舞ったかと思うとほんの少しだけ出る。そしてまた舌を指で押して舌出しをお知らせする。これは同居人としてわりと重要な役目です。
しらす しらす

モデル・小谷実由さんと暮らすしらす。名前の由来は、グレーの背中の真ん中に白い毛が生えている様子が、背中にしらすを乗せて歩いているように見えたことから。跳ね上げアイラインのような丸い目で美猫と思われがちだが、本当は舌が年中出ているおとぼけ猫。同居歴は7年目。特技は引き戸を人間と同じようにガラリと開けること、住み慣れた場所を初めて来たような顔でうろうろすること。本誌2022年7月号にて、わたなべとしふみさんによるしらすの紹介イラストを掲載しています。