BOOKSHOP 自由港書店


選・文 / 自由港書店 / November 10, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『かぜはどこへいくの』シャーロット・ゾロトウ 作 ハワード・ノッツ 絵 松岡享子 訳 (偕成社)

This Month Themeひとり旅に出たくなる本。

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シャーロット・ゾロトウが書いた温かい物語にハワード・ノッツが描いた柔らかい鉛筆画があわせられた不朽の名作童話だ。2022年1月にこの世を旅立たれた松岡享子さんの訳文は、なめらかに心に沁みこんでくる。じっくりと読み進めるうちに、雪が解けるように純真な童心が蘇ってくる。風は、木の葉を散らして去っていく。風は、どこへいくのだろう。子どもの頃は、そんなことを考える。母は子に、自然はめぐり命もめぐる、なにかの終わりはなにかの始まりなのだよ、ということを、優しく教えていく。この世界は、果てしない。終着点は、次なる旅の出発点でもあるのだ。風のように、旅しよう。旅をして、風を感じよう。風のように、どこまでも自由に。


選・文 / 自由港書店 / November 03, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『星野道夫 約束の川』星野道夫 著 (平凡社)

This Month Themeひとり旅に出たくなる本。

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19歳ではじめてアラスカを旅してから、誰もいない極北の大地の懐深くまで旅をし続けた写真家・星野道夫。43歳で自然に還るまで、心のままに冒険を続けた。本書は、星野道夫が遺した著作の中からエッセンスとなる短篇を集めて編みあげられたもので、果てしなく広がる星野道夫の世界に初めて入り込もうと試みる読者を優しくガイドしてくれる本だ。星野道夫は、人間を拒絶するかのような厳しい自然の中で、狩猟をし、生命を食べることで生命をつないでいく人間の姿を——時空を超えて——発見する。そして、旅の過程で、数多くの、かけがえのない友人との縁を得る。ひとりで旅をしてきた星野は、やがて、友人達と、約束の旅へと出かけていく——。


選・文 / 自由港書店 / October 27, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『庭とエスキース』奥山淳志 著 (みすず書房)

This Month Themeひとり旅に出たくなる本。

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ひとり、北海道の丸太小屋で庭を育てながら絵を描いて暮らす弁造さん。弁造さんがひたむきに生きる姿に魅せられ、14年もの歳月を通じ、津軽海峡をフェリーで往復して弁造さんのもとへと通い続けた岩手在住の写真家・奥山淳志氏が、弁造さんと過ごした日々を振り返って作りあげた「旅の記録」が、この本だ。旅は、他者としての弁造さんが生きた記憶を辿る旅でもあった。旅は深まってゆき、ひとり切実に生きてきたふたりの人生は、やがて交わり、溶けあっていく。あなたは、探し求めていた土地に辿り着けるだろうか。自分の場所を見つけることはできるだろうか。本書を読めば、「弁造さん」に会いたくて、旅に出たくて、たまらなくなるはずだ。


選・文 / 自由港書店 / October 20, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 著 上遠恵子 訳 川内倫子 写真 (新潮社)

This Month Themeひとり旅に出たくなる本。

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「センス・オブ・ワンダー」。日常の風景の中にある「不思議」を感知するちから。そうした鋭敏な感受性は、年齢を重ね世界に幻滅するたびに鈍麻していき、やがてはその動きを完全に停止させてしまう。レイチェル・カーソンのエッセイ『センス・オブ・ワンダー』は、読み手の心の中に眠る、目に映るすべてのものが新鮮だった幼い頃の、みずみずしい記憶を呼び覚ましてくれる。読み進めるうちに、感覚の回路が開かれてくるのが感じられるはずだ。いつもの道を歩いているだけなのに、遠くに鳥の声が聞こえてくるようになるだろう。見えていなかった花の存在に気付くようになっていくだろう。そう、玄関の扉を開ければ、もう、旅は始まっているのだ。


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神戸・JR須磨海浜公園駅南方面口正面、須磨ヨットハーバー・スマスイ(須磨海浜水族園)に向かって真っ直ぐ伸びる青い一本道の途中、ブルーグリーンのタイルが美しいレトロビルの1階にある5坪弱の小さな書店。絵や絵本、詩や小説、暮らしの本、ZINEを中心にセレクト。自分の気持ちに正直に生きる「自由」を大切に選書している。
住所:神戸市須磨区衣掛町4–2–12 内田ビル1階
営業時間:木:11:00-18:00、金土13:00-18:00
定休日:月火水日

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