おいしいに出合える8冊の本。THINGS FOR BETTER LIFE #43
THINGS FOR BETTER LIFE #43 おいしいに出合える8冊の本。
おいしいに出合える8冊の本。THINGS FOR BETTER LIFE #43January 30, 2025
手軽に作れるおうちごはんのレシピ本や、温泉と楽しむ旅館料理の話、チキンライスが歩き出す絵本まで。
本を読むだけで「おいしい」体験が味わえる、思わずお腹が空いてくるような8冊を、これまでの記事からまとめて紹介。
「THINGS FOR BETTER LIFE」、今回のテーマは「おいしいに出合える8冊の本」。
『MITTS Fine Book Store』が届けるベターライフブックス。今週の本『おなかがへった』
BOOK 2023.12.28「いただきます」。なんていい言葉なんでしょう。マメイケダさんの絵は本当に手が出そうになる。「あんこときなこ」というテーマを聞いて、真っ先に思い浮かぶのがおはぎ。そのおはぎが、見開き２ページに渡り大きなお皿に、しかもあんこときなこ２種が不揃いに並べられていて今すぐ食べたくなる。とにかく、食べるものとその場面設定が本当に素晴らしい。目玉焼きを焼いてる音や匂いが今にもしてきそうな朝ごはん、みんな大好きな給食のカレー、しかもチキンカツ付き。給食でカレーを選ぶところが侮れない。さらにおはぎはやっぱりおばあちゃんの家、最後はお母さんのお誕生日で終わるという、幸せな日常が詰まっている。描かれているものすべて …
『蟹ブックス』が届けるベターライフブックス。今週の本『またたび』
BOOK 2024.6.13平坦で低空飛行な生活を送っていると、食まで無味無臭になっていく気がする。さっき食べたコンビニのおにぎりがどんな味だったか記憶にないなんてことも、もはや私たちにとっては“あるある”かもしれない。異国の地・カリフォルニアで、育ち盛りの娘たちと夫のために毎日大量の料理を作り、食べる日々を描いた本書は、日常を描いているだけのはずなのになぜか獰猛でワイルド。まるで食べ物と人間が汗だくになって噛みつき合っているかのようだ。食べることへのピュアな情動を思い起こさせてくれる。This Month Theme自炊の哲学を感じる本。 Book of the Week『またたび』伊藤比呂美 著（中公文庫） 平坦で低 …
料理家・野村友里さんによる初の子ども向けレシピ集『とびきりおいしいおうちごはん 小学生からのたのしい料理』が発売。
BOOK 2023.7.3東京・原宿の『restaurant eatrip』や『eatrip soil』を手掛けるほか、ケータリングや料理教室、ドキュメンタリー映画『eatrip』では監督を務めるなど、食をテーマに幅広く活動する料理家の野村友里さん。そんな野村さんの料理を、小学生でもつくれるようにアレンジしたレシピ集が登場。7月5日に発売される。 東京・原宿の『restaurant eatrip』や『eatrip soil』を手掛けるほか、ケータリングや料理教室、ドキュメンタリー映画『eatrip』では監督を務めるなど、食をテーマに幅広く活動する料理家の野村友里さん。そんな野村さんの料理を、小学生でもつくれるようにアレ …
『街々書林』が届けるベターライフブックス。今週の本『温泉ごはん 旅はおいしい！』
BOOK 2024.7.11温泉旅なら旅館、旅館なら料理も楽しみ。この連想はまったく正統だと思う。国内はもちろん32か国・地域、1000か所以上の温泉を訪ねている著者が語る温泉の魅力と温泉場の食事紀行。ただの食レポと違うのは、和食が多い旅館料理を実に豊かで多彩に描き分けているのだ。それは著者が「食いしん坊」である以上に、各地の温泉に友人知人がいて、通過客としての旅行者を超えた交流を基に記しているから。旅館の外の温泉場の食べ物にも言及しているし、もちろん温泉の特徴や泉質、浴場の様子も丁寧に触れている。番外編として海外の温泉とごはんも登場。読んでいると、次はどこか温泉旅がしたくなってくる。This Month Theme日本 …
『HUT BOOKSTORE』が届けるベターライフブックス。今週の本『チキンライスがいく。』
BOOK 2023.12.14チキンライスに足が生えて、てくてく歩いていく。カメさんと挨拶を交わし、チャーハンくんにグリンピースをあげて、さらに歩いていくと目の前に黄色のまばゆい何かが見えてくる。米、鶏肉、玉ねぎ、グリンピースの細部まで描かれたチキンライスは、ケチャップとバターが混ざった鮮やかな橙色をしていて、目を喜ばせる。食べることが大好きなイラストユニット「はらぺこめがね」ならではの描き方。今日の夕飯はオムライスを食べよう！ そんな思いが溢れてくる絵本ですThis Month Theme台所でおいしいものを作りたくなる本。 Book of the Week『チキンライスがいく。』はらぺこめがね 著 (あかね書房) チキ …
フードディレクター・平野紗季子さんにインタビュー。新たなエッセイ集『ショートケーキは背中から』が発売に。
BOOK 2024.8.292014年に『生まれたときからアルデンテ』を刊行し、今も食にまつわるエッセイを様々な媒体に寄稿しているフードエッセイストの平野紗季子さん。満を持して、これまでの10年間の食エッセイをまとめた『ショートケーキは背中から』が2024年8月29日に発売に。まるでクッキー缶のようにいろんな味が詰め込まれたエッセイの数々は、どこから読んでも楽しめる。 いろんな味の話を自由に味わいたくなる、クッキー缶のようなエッセイ集。 2014年に『生まれたときからアルデンテ』を刊行し、今も食にまつわるエッセイを様々な媒体に寄稿しているフードディレクターの平野紗季子さん。これまでの10年間の食エッセイをまとめた『ショー …
本屋が届けるベターライフブックス。『よあけのたび２』まご 著
BOOK 2023.3.9イラストレーターとして活躍するまごさんによる京都の喫茶店のモーニングメニュー紹介本です。これ、すでに第一集が出たのですが、恐ろしく売れて絶版になってしまっています。そして第二集も予想通り好調に売れています。朝早くから、あちこちの喫茶店を歩き回り、写真を撮り、文章を書いてそのモーニングの素晴らしさを紹介してくれます。大手の観光雑誌でも、有名カフェのモーニング記事をみることがありますが、こちらは一冊丸ごとです。そして、まごさんのハートウォーミングな文章が心地よく響いてきます。カフェ巡り好きな人からは、「こんな店知らない」というお店が数多く載っていると賞賛です。散歩ついでに訪れて下さい
作家・くどうれいんさんが大切にしている、料理の本。『ノルウェイの森 (下) 』
BOOK 2023.8.17主人公のワタナベが恋人の父の病室を訪ねる場面。持参したキュウリに海苔を巻き、醤油をつけてポリポリと食べるワタナベを見て、それまで食欲のまったくなかった父は「キウリが食べたい」と言う。そしてこの会話が繰り広げられます。死と隣り合わせにいる人間の食欲を掻き立てたものは愛情のこもった料理でも消化に良さそうな食事でもなく、この武骨なキウリだったことに感動しました。これを初めて読んだ高校生の私は、フラペチーノや海鮮丼などカロリーの高い食べ物を魅力的に書くことで読者の食欲を掻き立てたいと思っていましたが、シンプルな野菜の描写だけでそれができることに衝撃を受けたんです。この小説に出合ってから食べ物への眼差し …