五感を揺さぶる奈良への旅。大和四寺巡礼へ。
古くから女性を受け入れてきた女人高野、室生寺。辰年の今年は、龍神様にも願いを託したい。April 12, 2024 /〔PR〕
新幹線を京都で降りて、車窓からの美しい風景を眺めながら向かったのは、奈良県中央部の大和エリアに位置する「大和四寺(やまとよじ)」の巡礼旅。そこは穏やかな隠れ里で、触れられるほどの近さで歴史や文化を体感でき、リフレッシュできる場所です。古くから女性に開かれてきた龍神信仰の霊地、室生寺を訪ねます。
室生寺
奈良県宇陀市室生78 ☎︎0745-93-2003 拝観4〜11月8:30〜17:00 12〜3月9:00〜16:00 拝観料¥600 近鉄大阪線室生口大野駅から室生龍穴神社行きバスで「室生寺前」下車徒歩5分。
室生の山に抱かれる仏教美術の宝庫。
室生山のふもとに立つ室生寺の歴史は古く、奈良時代末期へと遡る。皇太子の山部親王(後の桓武天皇)の病気平癒のため、室生で僧侶が祈願したところ回復したことから、後に天皇の命で興福寺別院として建立されたのだ。境内の五重塔の西側にある如意山には弘法大師・空海が師より授かった如意宝珠を埋めたことから、後に様々な宗派の修行の場となり、江戸時代以降は真言密教の寺院に。真言密教の聖地である高野山が女人禁制だったのに対し、女人にも開かれていたことから女人高野として広く親しまれることとなった。
門前から太鼓橋を渡って境内へ。仁王門の先にある鎧坂(よろいさか)を登るにつれ、空気はしんと静まってくる。柿葺寄棟(こけらぶきよせむね)造りの金堂、灌頂堂(かんじょうどう)とも呼ばれる本堂、丹塗り(にぬり)の朱の色が周りを囲む木々の緑に映える五重塔と、3つの伽藍(がらん)は国宝に指定されている。安置されている仏像は漣波式(れんばしき)と呼ばれる衣紋が優雅な釈迦如来立像、薬師如来の従者として12の方向を守る十二神将立像など歴史的にも美術的にも見ごたえのあるものばかり。4月半ばから5月にかけては、境内で華やかに咲く石楠花も見頃。女人高野の古刹に漂う、清らかさに浸りたい。
室生寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
室生龍穴神社
室生寺から室生川沿いに約1km。奥宮の吉祥龍穴を御神体とする古社が龍穴神社だ。その歴史は室生寺よりもさらに古く、山部親王の病気平癒を祈願したのがこの龍穴で、室生寺は龍穴を守る神宮寺として建立されたとも伝わる。さらに遡れば、かつて奈良の猿沢池に棲んでいた龍王が池を出て、春日山を経てこの龍穴へと移ってきたという伝説もある。御祭神は雨を司る高龗神(たかおかみのかみ)。拝殿の奥にひっそりとある本殿は、寛文12(1672)年に建てられたもの。春日大社から譲られた旧社殿を用いた“春日移し”のひとつとしても知られている。境内から吉祥龍穴のある奥宮遥拝所までは、車ならば6分ほどの距離。鳥居から階段を下りて川の水音を耳にしながら参拝すれば、心も清々しく穏やかになるはずだ。
奈良県宇陀市室生1297 ☎︎0745-93-2177 拝観自由 社務所は基本的に15日(2024年10月は14日*例大祭、11月は23日)と連休及びゴールデンウィーク、1月1日〜5日に開かれる。 9:00〜15:30 拝観無料 近鉄室生口大野駅から室生龍穴神社行きバス終点下車。徒歩1分。
橋本屋
室生寺の門前、太鼓橋のたもとにある明治4(1871)年創業の料理旅館。長年にわたり室生寺の撮影をライフワークとした写真家・土門拳の定宿でもあったことから、館内には数多くの作品が残されている。「やはり土門さんの目力はすごかったですね」と振り返る店主の奥本裕さん。現在は食事のみの提供で、奈良特産の大和芋や、うど、わらびといった山菜をはじめ、地元の素材をふんだんに使った素朴な山里料理が用意されている。とりわけ粘り気が強く濃厚な大和芋を使った料理は店の名物。さっくりもちもちの天ぷらや、粘り気と旨味に驚くすまし汁などで、それぞれ違った味わいを楽しみたい。
奈良県宇陀市室生800 ☎︎0745-93-2056 10:00〜16:00 不定休
室生山上公園 芸術の森
室生寺を出て、20分ほど坂を歩いた山上に2006年に誕生した公園にも、ぜひ足を延ばしてほしい。そこには室生出身の彫刻家 井上武吉(1930〜1997年)が構想していた「森の回廊」のイメージを、井上との親交のあったイスラエル生まれの彫刻家ダニ・カラヴァン(1930〜2021年)が、その意志を継ぎ完成させた、自然とアートが調和した風景が待っている。豊かな自然の中に大きなスケールのモニュメントがいくつも配置され、鳥の声だけが響く静謐な空間は、どこか室生寺の境内で過ごした時間につながるようで、光、空、気、風、土、木々の香りなど自然の気配を、日常の何倍も身近に感じることができるはずだ。ここでは大和という土地の季節や時間の移り変わりを、五感を通して心ゆくまで味わうことができ、まさに「室生の村を人間と自然が共存する美術館にしたい」という井上の願いが実現した美しい空間となっている。
奈良県宇陀市室生181 ☎︎0745-93-4730 10:00~17:00(3・11・12月~16:00)火休(祝日の場合、翌日休) 入園料¥410。室生寺から徒歩20分。駐車場あり。室生寺から車で5分。
Informationいざいざ奈良 大和四寺編
「いざいざ奈良」キャンペーン、今回は大和四寺をピックアップ。豊かな自然や文化が守られて息づいているエリアで五感で楽しむ唯一無二の旅をしてみませんか。キャンペーンの特設サイトでは、大和四寺エリアでの旅の楽しみ方を紹介。
さらに、奈良への旅行が楽しくなる「いざいざ奈良」だけの特別な旅行プランも登場。大和四寺を巡るスタンプラリーキットと併せて巡礼を楽しみたい。室生寺では、僧侶のご案内で特別に金堂外陣に入り拝観できるプランも。
photo : Yoshiki Okamoto text : Mako Yamato edit : Akira Ikeda